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2026年新卒採用 大学生就職活動調査
採用・就職活動の動向と、学生の志向・価値観の変化
昨今の新卒採用は売り手市場であり、学生が複数社の内定を持っていることは当たり前といっても過言ではありません。こうした環境下で企業が学生から選ばれる存在となるには、学生の関心に即した訴求が不可欠です。その前提として、学生がどのような志向や価値観を持って企業を選んでいるのかを、企業側が正しく理解しておく必要があります。それと同時に、就職活動の早期化が進む中、学生がいつ何をしているのかを知ったうえでアプローチする必要があります。この記事では、リクルートマネジメントソリューションズが実施した、「2026年新卒採用 大学生の就職活動調査」の結果に基づき、採用・就職活動の動向と、学生の志向・価値観の変化について紹介します。本稿が学生といつ・どのようなコミュニケーションをとるべきかを考える一助になれば幸いです。
※一部、別調査のデータも含まれます。(別調査のデータには出典を記載)
※この記事の本文では「2026年卒」を「26卒」と表記します。(その他の年も同様)![]()
1. 採用活動・就職活動の動向
まずは、企業と学生、それぞれの活動の動向について見てみましょう。
・企業の採用意欲は旺盛、学生は大手企業の内定を期待
300人未満企業以外のすべての企業期規模で、求人総数が前年度並みもしくはやや増加となっており、採用意欲は引き続き高い状態となっています。また、就職希望者数については、5000人以上規模の企業で2年連続増加し、過去15年で最高水準になっており、学生の大手企業志向が読み取れます。
・採用活動の早期化
企業による学生の獲得競争は激化しており、引き続き採用活動の早期化が進んでいます。25卒と比較して、26卒では企業の面接の開始時期、内(々)定出しの開始時期ともに早まっており、卒業前年の2月までの内(々)定出し開始の割合は4割を超えています。
・就職活動の早期化と二極化
企業の採用活動の早期化に伴い、学生の活動もますます早期化しています。26卒学生は3月1日時点で48.4%が内(々)定を得ており、その2ヵ月後の5月1日には約半数が就職活動を終えています。
一方で、エントリーシートなどの書類提出の実施量(社数)は、26卒は25卒と比べて、1月と6月の応募社数が増加しています(1月:25卒4.23社 → 26卒4.94社、6月:25卒3.69社 → 26卒4.42社)。一方で、3~5月は減少しており、25卒が7.17社→6.74社→6.31社と推移したのに対し、26卒は6.29社→5.44社→5.13社と、いずれの月も下回っています。面接の実施量についても、同様の傾向が確認できます。就職活動全体としては収束時期が早まっているものの、5月までに内定が決まらなかった層が、6月に入ってから活発に活動していると考えられ、二極化の傾向が見られます。
・売り手市場化の進展
26卒採用において、2025年10月1日時点で2社以上から内定を得ている学生の割合は66.9%、5社以上から内定を得ている割合は12.1%となっています。いずれも過去3年で最も高い割合となっており、売り手市場化は引き続き堅調です。
2. 学生の志向・価値観の変化
続いて、調査結果から見られる、学生の志向や価値観の変化について紹介します。
・仕事に求めること
学生が仕事に求めることの1位は「安定」、次いで「貢献」「成長」がほぼ同水準、4位が「金銭」となりました。貢献や成長の前提としてまずは安定を確保しようとする傾向はこれまでと同様ですが、25卒で3位であった「金銭」が4位となっており、多くの企業で初任給が引き上げられ、不安が緩和されたものと考えられます。
・応募(エントリー)のきっかけ
内定企業への応募のきっかけの1位は「興味のある仕事・職種だった」、2位が「希望する勤務地で働けそうだから」、3位は「業界に興味があったから」です。「勤務地」の選択率は22卒以降増加し続けており、コロナ禍でデジタル化が大きく進んだことを機に、「どこかに行かないと何かができない」という地理的感覚が薄れたと考えられます。
一方、「業界への興味」については、20卒頃までは圧倒的1位だったものが徐々に落ちてきています。従来は興味のある業界に絞って就職活動を行うことが基本でしたが、最近では、興味のある仕事という観点でインターンシップに参加したり、SNSをきっかけとして特定企業に興味を持ったりするなど、応募の入り口が多様化していることの表れだと考えられます。
・働くうえで重視したい社風
働くうえで重視したい社風について、26卒と一回り上の世代にあたる14卒を比較すると、「相互の思いやりとあたたかさ」や「オープンなコミュニケーション」の支持率が大きく上がっています。一方で、「理想に向かう情熱と意欲」は減少しており、学生が安心感を重視し、アグレッシブな雰囲気を敬遠する傾向にあると推測されます。
・就職活動中の学生が知りたいと思う情報
学生が就職活動中に知りたかった情報の1位は「実際の勤務時間・残業時間」、2位は「具体的な仕事内容」、3位は「社内の人間関係・職場の雰囲気」となりました。知りたかった情報のうち、実際に知ることができた割合を見ると、「具体的な仕事内容」は90.0%と非常に高く、「社内の人間関係・職場の雰囲気」も79.5%となっており、25卒(75.1%)から増加しています。これらはインターンシップなどのキャリア形成支援プログラムや面接などから感じ取りやすくなっている影響と考えられます。一方で、「実際の勤務時間や残業時間(76.0%)」「仕事とプライベートの両立の実態(68.2%)」「会社への不満、会社の弱み(53.3%)」は相対的に低くなっています。具体的な仕事内容や社内の雰囲気など、実際に自分が働く姿を詳細にイメージしながら意思決定を進める昨今の学生にとって、どのような情報が必要になるのかを考える手がかりといえるでしょう。
・内定受諾の最終的な理由
内定受諾の理由としては、例年通り「自分のやりたい仕事(職種)ができる(12.6%)」が1位となりました。昨年まで2位だった「社員や社風が魅力的」は5位に落ちており、代わりに「勤務地」「福利厚生」「業績の安定性」など働く環境・条件に関する項目の選択率が伸びています。これらは、自分が安心安全に働く姿をイメージできるかを重視する志向の表れと考えられます。
「社員や社風が魅力的」については、先述の安心感のある社風を重視する傾向や、知りたい情報として「人間関係や職場の雰囲気」が上位に挙がっていることから、企業選びにおいて引き続き重要な要素であると考えられます。しかし、その役割は変化しており、安心感のある社風や人間関係は、意思決定の最終的な決め手というよりも、企業を絞り込む際の大前提として機能するようになってきていると考えられます。背景には、インターンシップなどのキャリア形成支援プログラムの普及や広報手段の多様化の影響があると推察されます。
3. 学生個々人の志向・価値観を掘り下げる
調査結果を基に、学生の志向や価値観の傾向について紹介してきました。
先の見えない昨今の世の中において、学生の安定志向は引き続き強まっているようです。勤務地だけでなく、福利厚生や業績の安定性、さらには自分のライフステージやキャリアの変化なども見据えて入社企業を選択していることが分かります。また、その前提として、人間関係は良好か・社風は自分に合っているかなども確かめようとしています。一方で、ただ安定を求めて入社したら終わりではなく、安定した環境を確保したうえで貢献や成長を目指したいという前向きな姿勢も読み取ることができます。これらの傾向から、学生は自身がその企業で「安定・貢献・成長」を確保できるかを確認するために、働くイメージを持てるような具体的な情報を求めていると言えるでしょう。しかし、一見すると相反する安定と成長の両方を求める気持ちは学生のなかでもまだ整理がされていなかったり、就職活動中に断片的に出てきたりする可能性があります。また、それぞれの要素の重視度のバランスは学生によって異なります。そういった個々人の志向・価値観を掘り下げ、優先順位を確認するには、企業側から働くイメージを具体的に提示することが有効です。企業側から情報を提供することで、学生の中で条件が整理されます。また、情報を提供する際に、学生の志向を確かめながら行うことは、動機づけにもつながります。
さらに、学生とのコミュニケーションには、適性検査を活用することも有効です。ぜひ学生の特徴を捉えたうえで、効果的な採用活動につなげていただければと思います。
適性検査(SPI)については以下の記事も併せてご覧ください。
>>SPIの分析で何がわかる?基本的な仕組みと活用方法を解説
執筆
株式会社リクルートマネジメントソリューションズ
HRアセスメントソリューション統括部 研究員
辻 真央
「2025年新卒採用 大学生就職活動調査」の実施・分析および
面接者・リクルーターを対象とする採用関連トレーニングの開発を担当。