お役立ちコラム

新入社員の配属先の決め方は?
真の「適材適所」を実現する2つの観点

2023年03月30日
  • SPI3の活用

「本人にフィットしそうな部署に配属したつもりだが、職場で居心地悪そうにしている」
「新入社員本人が強く希望した部署に配属したのに、ものの数ヵ月で退職意向を示されてしまった......」
「なんでこの配属なのか?と新入社員や現場上司から質問されるが、本人希望と面接時の所感をもとに決定しているので説明が難しい」

縁あって入社に至った新入社員が、生き生き働いてほしいと願うのは、どの企業でも同じでしょう。
最初の部署が新人の始動に重要であることは十分認識しつつも、部署の意向・本人の希望などさまざまな変数があり、配属先選定に苦慮している方も多いのではないでしょうか。
就労経験がない新入社員の配属先を「適材適所」に落ち着けるのは、実はかなり難しいことです。
頭では「きっと適応するはずだ」と思いつつも、明確な根拠や決め手に欠けると不安を抱える人事の方もいらっしゃるようです。

今回は、新入社員が配属先とミスマッチを起こしがちなケースをもとに、適材適所を実現する2つの観点に着目してみました。
正解がない人事の世界でも、「自社なりの適材適所を叶える配属はどうあるべきか」を想像しながら、ご一読いただければ幸いです。

新入社員の配属の決め方は?

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新入社員の配属を決めるには、一般的に3つの方法があります。各々の決め方と、注意すべき点について解説します。

●適性や能力をもとに決める

適性や能力などの本人特性をもとに決める方法は、多くの企業でスタンダードな方法です。

やや古い調査ですが、「新入社員の配属の決定方法」では適性をもとに決める企業がもっとも多く、36%の企業で採択されています。

就労経験がない新入社員が、仕事でどのような動きをするかは未知数といえます。変化しにくい適性をもとに決めるのは、理にかなった方法といえるでしょう。
ただし、適性は人の目では観察しにくいという特徴があります。
適性を正確に把握するためには、面談だけではなく適性検査などのアセスメントも活用することが推奨されます。 

参考:不満を生まない新入社員配属の、たった1つの決め方

●新入社員の希望をもとに決める

本人の希望も、配属検討には重要な材料となります。

最近は新卒採用といえども、欧米で主流な職種別採用も増えてきました。その場合、採用場面から本人は「〇〇職で活躍したい」と決めているため、配属後の早期立ち上がりが期待できます。

ただ「営業職」や「企画職」など、定義や業務範囲が曖昧で、企業によって業務プロセスや求められる力が異なる職種には注意が必要です。新入社員が想像している業務と実態に、ギャップがある可能性が高いからです。

希望する理由をヒアリングしたうえで、本当にその部署で活躍できる可能性があるか十分に検討した方がよいでしょう。

また、本人希望を尊重したい場合は、コミュニケーションも丁寧に行う必要があります。面談などを行い、企業も本人も納得できるよう、意向をすり合わせることが重要となります。

●要員計画をもとに決める

新卒採用の場合はそれほど多くはないと思いますが、欠員補充や組織の事業計画に応じて配属を決める方法もあります。

適性や本人の希望と合致する場合には問題ありませんが、希望に沿わない場合は、伝え方に工夫が必要です。単に「人員が必要」という理由のみで配属先を告げると、本人のモチベーションを下げかねません。

また、組織事情で配属を決める場合は、将来的なキャリアパスを提示することも、忘れてはならない観点でしょう。「〇〇さんが希望する部署に行くために必要なスキルを、最初の配属先で体得してほしい」など、先々を見据えた伝え方をすることも重要です。



新入社員が配属ミスマッチを起こすケース

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将来、自社を牽引するであろうという期待がある新入社員。
本人も気概に溢れる様子で入社してきたにもかかわらず、配属後に元気がなくなる人もいるのではないでしょうか。
「配属先を間違ったのかな」と結論付ける前に、配属ミスマッチを起こす要因をもう少し深掘りして考えていきましょう。

●想像していた仕事と現実にギャップがある

配属先の仕事そのものに疑問を感じると「この仕事は自分には合っていない」とミスマッチを感じやすくなります。

仕事ミスマッチの場合、仕事そのものよりも業務プロセスなどの「仕事の進め方」に要因があることがほとんどです。いくら新入社員といえども、ある程度は当該職種の仕事内容に想像はついているはずだからです。

仕事の進め方でミスマッチを起こす場合、本人は次のような違和感を抱き始めます。

「営業職としてアクティブに動きまわりたかったのに、社内で資料作成ばかりをやらされる」
「開発職はもっとじっくり取り組めると思っていたが、他部署からの問い合わせ対応に慌ただしく追われている」

このようなもやもやした気持ちを抱えながら、日々を過ごさざるを得なくなります。

上記は厳密にいえば仕事ミスマッチというより、「本人が得意な仕事のスタイルとのギャップ」といえます。

例えば、営業職はどの企業でも機動力が求められるとは限りません。職種名だけで「自分はこの仕事が向いている」と表面的に捉えがちな新入社員に起きる、典型的な初期配属のミスマッチでしょう。

●職場の風土や人間関係に馴染めない

企業全体の風土とは別に、「職場」という単位のチームやグループにも、独自のコミュニケーションのクセがあるものです。

新入社員のタイプと配属先の風土が合っていないケースとしては、具体的には以下のようなものがありまです。

「挑戦する風土にフィットしやすい新入社員が、保守的な雰囲気のチームに配属された」
「秩序や規律を守る風土にフィットしやすい新入社員が、立ち上げたばかりの新規事業チームに配属された」

このような状態では、新入社員はなかなか本来の力を発揮することができません。
就労経験がない新入社員にとっては、仕事との相性以上に職場風土との相性は影響が大きい可能性があります。

職場に合わないということは、職場の人間関係にも馴染めないことにつながります。さらに、評価されにくいことで、自信も喪失していきます。

分からないことがあっても周囲に聞けない、アドバイスを素直に受け入れることもできないという状態が続けば、少しずつモチベーションが下がって成長意欲が減退することになるでしょう。


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新入社員の配属を決めるキーワードは「適材適所」

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前提として、新入社員が生き生きと働ける配属を実現するためには「適材適所」であることが求められます。
適材適所とは「人の能力・特性などを正しく評価して、ふさわしい地位・仕事につけること」です。

つまり、"本人の特性"と"仕事の特性"を熟知している人事部門の責任で、根拠を持った配属マッチングをすることに他なりません。

前節のような配属ミスマッチを回避するために、気をつけるべき点は以下の2つに集約されます。

◆本人の持つ適性を見抜き、力が発揮されやすい仕事に配属する
◆本人が馴染みやすい組織風土を知り、相性が良さそうな職場に配属する

ただし、新入社員全員の適性や求める組織風土を把握するのは、それほど簡単なことではありません。人事には配属以外の業務も多くあるうえに、入社前後の時期は多忙を極め、とてもそんな丁寧な情報収集はできないという方もいらっしゃるかもしれません。

適材適所を考える際、人の目や面談だけでなく「適性検査」を活用してはいかがでしょうか。新入社員本人の持ち味から、馴染みやすい風土まで分かりやすく網羅されているSPIなら、報告書を一読するだけで本人の人物像を豊かにイメージできるはずです。

具体例を挙げつつ、SPIを活用すると適材適所がどのように実現するかを解説します。

適材適所を実現するための「本人特性」

人間には努力によって変えがたい性格の特徴があります。
特徴そのものは変化しにくいとしても、その特徴が「強み」に転じるのか「弱み」に転じるのかは、仕事とのマッチング次第です。SPIでは本人の特徴を「職務への適応のしやすさ」として、14のフレームで判別しています。

▼報告書の「職務への適応のしやすさ」一部抜粋
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具体的な活用イメージとしては、配属先の仕事は14のフレームのうちどの特徴が強いのかを、あらかじめ分類しておきます。
その後、新入社員個々人のSPI報告書の結果を見て、仕事とのマッチングを検討します。

そのプロセスを経るだけでも、初期検討のプロセスが効率化できるはずです。結果的に、一人ひとりの配属先についてじっくり検討する時間も確保できるでしょう。

また、仮に本人希望と異なる部署に適性があると判断する場合にも、新入社員へのフィードバック情報の粒度を上げることができます。
単に「A部署の方が向いていると思う」というだけではなく「〇〇さんは、実はチームワーク型の仕事が得意なんだよね。だから、単独で動く仕事が多いB部署よりも、周囲と協力し合って成果を上げるA部署の方が、活躍できる可能性があると考えたんだ」と、より本人の特性を捉えた情報提供ができるようになります。

明確な理由をきちんと伝えられれば、新入社員も自分のことを考えてくれていることを嬉しく思うと共に、どうせなら向いている仕事で成果を上げたいと、前向きに捉えるようになるでしょう。

適材適所を実現するための「組織風土マッチング」

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新入社員に活躍してもらうには、配属先の部署やチームの風土との相性を見極めることが重要です。

組織風土にマッチした配属ができれば、能力を発揮しやすい環境が整ったといえます。少なくとも、「周囲に相談もできず、ひっそりと早期退職する」という最悪の事態は回避できるはずです。

SPIでは、組織風土と個人のタイプをコミュニケーションの取り方、仕事の進め方の2つの軸で分類を行い、4つの「組織適応性」タイプに分けています。

この4つのタイプと、離職意向に関する弊社の興味深い調査結果があるのでご紹介します。

組織風土とSPIの組織適応性の一致/不一致が、離職意向にどのような影響を与えるかを検証した調査研究です。

この結果、組織風土とSPIの組織適応性が一致しているほど、離職意向が低くなることが明らかになりました。またその傾向は、若手であるほど顕著な差として確認されています。

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参考:若年層の離職意向に影響を与える要因の探索的研究

組織風土まで考慮して、配属先を決めている企業はそれほど多くないかと思います。一方で、この調査結果からは、新入社員時代は組織風土とのマッチングの影響がかなり大きいといえます。

SPIを活用して組織風土マッチングを行えば「3年3割」と取り沙汰される、日本企業での新入社員の早期離職問題に、解決の兆しが見えるかもしれません。

志向・仕事観報告書があれば、配属先のヒアリングや意味づけを行うのに役立ちます。
本人の希望と適性にギャップがある場合、本人の希望通りではない配属先に決定することもあります。
本人の希望については、あくまで働いたことがない段階での希望となるため、面談を行い本人の希望職種や組織に対する要望と背景まで聞き取り、何がしたいから、あるいは何にこだわっているから、その部署を希望しているのかまで把握しておくことが重要です。その際に志向・仕事観報告書があると、ヒアリングをスムーズに行いやすくなります。

例えば、「大手向けの営業をやりたい」と希望している新人の背景まで踏み込むと、「早く成長したい」という志向・仕事観があり、それであれば「中小企業向けの営業職として経営者向けに提案していくことも早い成長につながる」ということを面談で伝えておくと、配属先に対する思い込みを少し軽減でき、配属ショックをやわらげ意味づけしやすい状態をつくることができます。

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新入社員の適材適所が実現すれば、企業の中長期成長に寄与する

新入社員の配属は、本人の立場に立つと「初めての会社」「初めての職場」と、人生初の出来事が続く緊張感が高い場面です。

そのようなセンシティブな時期なので、長い社会人人生のなかでも記憶に残りやすい時期といえます。ベテラン社員の方でも、最初の部署のことはずっと覚えているという人は多いのではないでしょうか。
できればその記憶は、社会人人生の門出として前向きなものであってほしいものです。

よく「自分が新入社員時代に教えてもらったことを、自分の後輩にも伝える」と聞きます。新入社員の成長のためにフォローをすることは、その先のそのまた先の新入社員にも受け継がれていくことかもしれません。現場で成長のバトンが受け継がれるようになれば、きっと企業の成長にも寄与するはずです。

そんな中長期の目線を持ちながら、目の前の新入社員の一歩目である配属を考えていきましょう。



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