お役立ちコラム

内定者の辞退を防ぐフォロー例を解説
SPI・適性検査を活用しよう!

2024年04月23日
  • SPI3の活用

採用難の時代に「ぜひ自社に入社してほしい、と思った内定者に辞退されてしまう」ということは、人事担当者として大きな痛手です。内定者フォローを強化するには、内定者が辞退に至る理由をしっかりと理解したうえで、自社の採用活動を見直していく必要があります。

SPIの検査結果を利用した内定者のタイプ別のコミュニケーションのとり方や、SPIの分析機能・報告書を利用した内定者フォローのやり方をご紹介します。

1.内定の辞退率は半数以上に上っている

就職先から内定を取得後に辞退する内定者の割合は「就職内定辞退率」と呼ばれ、例年10月頃に発表されます。2023年卒の就職内定辞退率は65.8%と、半数以上の内定取得者が内定辞退していることがわかります(株式会社リクルートキャリア「就職プロセス調査」より)。

2.内定辞退の理由

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前提として、学生にとって、新卒で入社する企業は非常に重要な意味を持ちます。学生は様々な理由で内定辞退の意思決定を行っています。内定者の辞退を防ぐには、「なぜ内定者が辞退を選んだのか」という理由を知る必要があります。

以下に、一般的な内定辞退の理由をまとめましたのでフォロー時の参考にしてください。

2.1. 給与や勤務地などの条件が希望と合わなかった

就職活動の際に、学生は給与や勤務地、福利厚生などのさまざまな条件を比較して、その中からできる限り希望にマッチする企業を選び、応募します。

しかし、就職活動を進めているうちに希望の条件が変わったり、条件の優先順位が上下したりすることは少なくありません。こうした条件面の希望に変化があった場合、内定後に「この企業では自分の希望する条件で働けない」と考え、内定を辞退することがあります。

2.2. 社風が合わないと感じた

社風とは企業の従業員が共有する価値観や働き方、社内の雰囲気などを指します。

例えばライフワークバランスを重視し、「できるだけ効率的に働きたい」や「プライベートと仕事は分けて考えたい」と考えている学生がいるとします。そこで、チーム全体の仕事が残っている際には残業をしてフォローし、仕事終わりに会社の同僚と食事会や飲み会を開くような風土の企業に入社すると、「自分には合わない」と感じることもあるでしょう。これが社風が合わないということです。

内定者説明会などで企業に対して社風が合わないと感じると、内定者は「入社してからも働きづらさを感じるかもしれない」と考えます。結果、自ら内定を辞退することがあります。

2.3. 企業のイメージと実態にギャップがあった

学生は、会社説明会や選考を通して徐々に企業への理解を深めていきます。理解が深まった結果、当初持っていた企業のイメージと実態とのギャップを感じることも多いです。

例えば、先進的な製品を開発している企業で、製品のイメージからすぐに新しい製品を生み出せるのではというイメージをいただいていたものの、実際に製品を生み出すには10年スパンでの取り組みが必要で、自分の望んでいた働き方とはずれそうだ、と入社意欲が低下するケースなどがあります。

企業規模に限らず、イメージと実態のギャップが大きいほど内定辞退の可能性は高くなることでしょう。

2.4. 印象が悪く感じた

会社説明会や選考で企業を訪れた際に、何らかの原因で企業に対して悪印象を抱き、その結果として内定辞退をされてしまうケースもあります。

特に多いのは従業員の態度の悪さに起因する内定辞退です。

・面接官が横柄だった
・すれ違っても挨拶を返されなかった
・連絡が遅い

このような出来事があると、企業全体の印象が悪くなり、内定辞退につながります。

2.5. 志望度の高い企業が他にあった

就職活動時は、複数の企業に応募し、同時並行で選考を進めるのが一般的です。このため、学生にとってより志望度の高い企業から内定を得た場合に自社の内定を辞退されてしまうことがあります。

内定辞退を防ぐには、自社の志望順位を高めてもらうための努力も欠かせません。

3.選考中からできる内定辞退を防ぐ方法

本章からはより具体的に、内定者とのコミュニケーションを強化し、内定辞退を防ぐ方法をご紹介します。
まずは、選考中から取り組むことができる、フォロー強化施策です。

前章でまとめた内定辞退の理由から自社のケースに合うものを見つけ、それを踏まえた上で以下の対策の中からもっともベストな方法を選択してください。

3.1. 学生の不安解消に努める

入社した後の仕事内容や職場環境について、学生は内定をもらう前から気にかけ、さまざまな不安を抱いています。「どのような仕事をするのか?」「会社の雰囲気は?」などの疑問が残っていると、選考中や内定後に不安感が高まり、辞退を意思決定することになります。

また、不安な点・心配な点は、学生からは言い出しづらいものです。このため、選考中から積極的に、学生の不安解消に努めることが大切です。

3.2.迅速なレスポンスをおこなう

レスポンスは迅速におこなうように努めましょう。

レスポンスが遅ければ遅いほど、相手は不安や不信感を抱きやすくなります。就職活動中という大事な時期に身を置いている学生ならば、なおさらナイーブになりやすい状況となります。

こうした不安や不信感が企業の印象低下につながり内定辞退の可能性を高めるてしまうため、一般的なビジネスシーンと同様に学生のメールに対しては1日以内に返信をするよう心がけましょう。

また、採用決定後の内定通知が遅れることで学生が他の企業を先に選び、意思決定を進めるケースがあります。事前に内定通知の日時を伝えていたとしても、採用決定後は速やかに内定通知を出すことが大切です。

3.3.自社に対する理解を深めてもらう

特に、イメージと実態のギャップを防ぐための対策方法です。

たとえば会社説明会を実施するほか、パンフレットやノベルティを用意して配布したり、選考途中で従業員に会って質問ができるイベントを設定したりするなど、自社に対する理解を深めてもらうための機会を設けてみましょう。

自社への理解が深まることで、選考過程で自社の魅力を再発見してもらうことにつながり、学生の志望度を高めることができるでしょう。

3.4.内定出しに工夫を施す

一般的な内定出しは電話や書類送付によっておこなわれますが、ここに工夫を施すことでも内定辞退を減らすことができます。

具体的には採用決定の通知を自社に呼んでおこなう、その際に従業員からも祝福や歓迎の言葉をかけるなどの方法があります。このような方法を取り入れることで、内定者が「歓迎されている」「必要されている」と思うことができ、安心して入社の意思を固めることができます。

4.内定辞退を防ぐには内定者フォローも大切

前章で紹介した内定辞退を防ぐ方法は、主に内定通知を出すまでの学生に対する取り組みです。

しかし、学生の中には内定が決まってから辞退を検討する方もいることから、内定辞退を防ぐためには内定が決まる前の学生だけではなく、内定者のフォローも大切です。

内定者には、内定が決まる前の学生とは異なるアプローチ方法があります。学生の選考状況に合わせて適切なアプローチ・フォローをしましょう。

5.内定辞退を防ぐ内定者フォローの例

続いては、内定が決まった学生に対する内定者フォローの例をご紹介します。

5.1.内定者の意思確認をおこなう

入社において最も大切なことは、内定者が納得感をもって意思決定を行うことです。人生において重要な意思決定となるため、内定者が自分で意思を固めるには一定の時間がかかりますし、定期的なコミュニケーションが必要となります。

継続的な面談によって、内定者と信頼関係を築きながら、必要な情報提供を行い、意思決定に伴走していきます。意思決定を行うのは内定者ですが、よい意思決定を行う上での不安解消や、情報提供を行っていくイメージです。
内定者が抱く不安には、「うまく会社になじめるのか」や「能力面で不足はないか」などがあります。このような不安に対しては、寄り添って情報提供を行うなど、採用時にどういった点の評価が高く、入社した後にどんな風に活躍できそうかを言語化して伝えることで、解消するためのサポートやアドバイスを行うことが有効です。
内定者が前向きな気持ちで入社できることは、内定辞退防止にも、入社後の活躍促進にもつながります。

5.2.懇親会や内定式でイベントをおこなう

内定承諾後に親睦会や内定式を開催することも内定辞退を防ぐ方法の1つです。定期的に会う機会を設けるだけでも入社に対する不安が募りにくくなります。

加えて懇親会や内定式でイベントをおこなうと、内定者同士が親睦を深めたり、連帯感を高めたりできてより効果的です。

イベントの内容には、たとえばSPIを活用したコンテンツがあります。内定者同士でSPI結果を予想して意見交換したり、内定者同士の性格傾向を共有したりすることで同期との仲間意識を高め、内定者の自己理解・相互理解を深めるきっかけになります。

5.3.企業理念や事業内容を説明する

内定者が安心して入社できるよう、自社選考の振り返りや社内報送付を通して、企業理念や事業内容を改めて説明することも立派な内定者フォローです。自社に対する理解をさらに高めてもらうことができ、自社選考の振り返りについては次年度の採用活動のブラッシュアップにもなります。

5.4.各部署の業務内容を説明する

内定者に各部署について説明することも内定辞退を防ぐカギになります。説明する内容としては社内の各部署の業務内容、部署ごとの関係や役割など、企業の内部かつ内定者に関連が深い事柄が望ましいです。「入社したらどのように仕事をするのか?」を、この時点で具体的にイメージできるような説明をおこないましょう。

5.5.入社後の準備をサポートする

前述の通り内定者は、入社に際して「能力面で不足はないか」と悩んでいることがあります。その不安を解消するために通信教育の受講を支援したり、合宿研修をおこなったりする方法で入社後の準備をサポートしましょう。

このような能力面を高めるサポートは入社後のスムーズな立ち上がりにもつながっていきます。

6.【内定者タイプ別】コミュニケーションのポイント

内定者フォローを行うにあたっては、内定者一人ひとりのタイプに応じたフォローが求められます。

リクルートマネジメントソリューションズの適性検査「SPI3」は、受検者を「仕事の任せ方」「コミュニケーションのとり方」という2軸から4つのタイプに分けて把握します。ここでは、4つのタイプについてそれぞれの特徴と、タイプ別コミュニケーションのポイントや、相性の良い人事担当者の選び方について解説します。

適性検査について詳しく知りたい方は、以下の記事をご参考ください。
>>適性検査とは?押さえておきたい活用方法や検査の種類について

6.1.創造重視タイプ

創造重視タイプは、挑戦的な仕事に、周囲と協力して取り組む傾向があります。

社交的で自分の考えを率直に表現する、周囲と力を合わせて高い目標も達成しようとする、新しいことや興味のあることに対して挑戦しようとするといった長所がある一方で、自分の考えだけで突っ走ってしまう、斬新なアイディアを重視するあまり、現実を軽視するといった面もあります。

創造重視タイプへ接するときには、以下のことに気を付けるといいでしょう。

・気さくに、親しみを持って接する
・熱意を持ってエネルギッシュに話す
・事実だけでなく、気持ちも率直に伝える

6.2.結果重視タイプ

合理性を重視し、高い目標に対しても意欲的に取り組むのが結果重視タイプです。

困難からも逃げず目標達成を目指す、論理的な思考力がある、責任を果たし成果を上げることを重視するといった特徴があります。一方で、他人の気持ちや感情に対する配慮が不足しやすい、とっつきにくい印象を与えるといった面もあります。

結果重視タイプへ接するときには、以下のことに気を付けるといいでしょう。

・論理的かつ冷静に接する
・冗長にならないよう、端的に伝える
・事実や根拠を示しながら伝える

6.3.調和重視タイプ

調和重視タイプは、周囲と協調しながら、着実に仕事に取り組む傾向があります。

温厚で自己主張が控えめ、物事の細部にもよく気が付く、他人のことを思いやるといった特徴があります。しかし、自己主張が弱かったり、物事がうまくいかないと落ち込みやすかったりする一面も。

調和重視タイプへ接するときには、以下のことに気を付けるといいでしょう。

・相手の気持ちに共感していることを示しながら接する
・「押し付ける」のではなく、協力的な姿勢で話す
・穏やかに親しみを持って伝える

6.4.秩序重視タイプ

物事の細部にも配慮し、こつこつと仕事に取り組む秩序重視タイプ。

このタイプには、粘り強く慎重に物事を進める、冷静で安定感がある、真面目な印象を与えるといった特徴があります。しかし、常識的で斬新さやおもしろみに欠ける、融通がきかないといった面もあります。

秩序重視タイプへ接するときには、以下のことに気を付けるといいでしょう。

・真面目に誠実な態度で接する
・相手のペースに合わせた会話をする
・抽象的な内容ではなく、具体的な内容で伝える

7.内定者フォローで重要なポイント

優秀な内定者ほど、たくさんの内定を持っている時代に、企業が内定者との関わり方で最も重視すべきポイントは、何でしょうか?

内定の辞退率を下げるためには、以下の2つのポイントを理解し、内定者フォローを行うことが大切だと考えられます。

7.1.学生が内定に対してのする学生がの「納得感の醸成」を感じられるようにする

内定を取得した学生は、内定を出してくれた企業に対して「なぜ内定を出したのか」「自分のどこを評価したのか」といった疑問を抱きます。選考プロセスも含めて、「この会社の人事担当者は話をしっかり聞いてくれた」「自分の強み、場合によっては弱みも含めて評価をしてくれた」というような実感を持ってもらうことが、学生の安心と入社への意思につながるのです。

7.2.内定者一人ひとりに対して適切な情報提供を行う

誰にでも同じような動機付けや、同じような情報提供をしてしまうと、学生側は「この会社に入社していいのだろうか」という不安を払拭できず、内定辞退の原因となってしまいます。ですから、内定者一人ひとりに対して、適切な情報提供を行うことが重要なのです。

学生が求める情報を会社側が提供し、学生の疑問や気になるポイントを解決できるようにしておくことで、内定に対する納得感の向上にもつながります。

8.内定に対する納得感を深めてもらう方法

前章で内定者フォローをおこなう重要なポイントの1つとして「納得感を感じてもらう」ことを挙げました。

内定に対する納得感を深めてもらうために活用できるのが、SPI3のオプションである「本人フィードバック用報告書」です。

本人フィードバック用報告書は人事用の報告書と比べ、マイルドでわかりやすい表現になっています。また、入社予定者に渡す報告書という位置付けになっているため、本人の能力に関する部分の記載がない点も特徴です。

この本人フィードバック用報告書は、内定者が自身の強みや弱みを認識した上で、どのように職務にあたっていくのかをアドバイスする際に活用することが可能です。内定者フォロー研修などに利用することで、内定者のその企業で採用されたことへの納得感が深まることでしょう。

9.内定者フォローをする適切な人事担当者の選び方

内定者フォローは、懸念や不安を払しょくして安心感を醸成すること、企業に対する理解を促進し志望度を高めることを目的としています。内定者フォローとして、可能な限り、内定者と相性が良い人事担当者が担当したほうが望ましく、相性の悪いタイプは避けられた方が、内定者によってよいやり取りになりやすいです。

内定者と同じタイプの人事担当者を配置するため、人事担当者もSPI3を受検して、あらかじめタイプを把握しておくことをおすすめします。また、簡易チェックリストを使ってタイプを判断することも可能です。

内定者のタイプに対して、相性の良い人事担当者を配置できない場合は、どうすべきなのでしょうか。

違うタイプの人事担当者が内定者フォローを行う場合は、事前にSPI報告書を確認してもらい、「自分とは異なるタイプの人である」と把握した上で接するといいでしょう。

10.内定者フォローでもSPIのご活用を

採用時に受検したSPIの検査結果は、採用だけでなく、その後の内定者フォローや、入社後の新人育成、人材配置、プロジェクトのチームビルディングなどにも活用できます。

最近では、採用時の検査結果をそのまま入社後に活用するのではなく、改めて社員に検査を受けなおしてもらい、結果を本人にフィードバックし、入社後の育成施策に生かす企業も増えてきています。

適性検査の導入をお考えの方は、様々な活用場面でご活用可能なSPI3を、ぜひご検討ください。資料請求をお申込みいただければ、パンフレットや報告書の見本など、ご検討に必要な資料一式をお送りいたします。

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