お役立ちコラム

新入社員の早期離職を防ぐポイント
本人理解と周囲のフォローがカギ

2023年03月17日
  • SPI3の活用

「入社当時は元気な様子の新入社員だったが、現場配属後に覇気がなくなった気がする」
「現場に新入社員のフォローを任せたいものの、具体的な依頼方法が分からない......」

少子高齢化が進む昨今の日本では、新入社員はどの企業にとっても貴重な戦力でしょう。
ただし仕事経験がない新入社員の立場に寄り添いながら成長を促すのは、勘所が分からないとお悩みの人事担当の方も多いのではないでしょうか。

不安と期待を抱えながら勤務をしている新入社員の早期離職防止には、必ず押さえるべきポイントがあります。
一律でフォローをしているだけでは、本人にとって響きにくいだけでなく、無駄な労力を使っている可能性も生じているでしょう。

今回は新入社員の特性に着目しながら、早期離職の実態から防止のポイントまでを解説します。
現在早期離職でお悩みの方も、今後入社する新入社員のためにフォロー施策を検討中の方も参考にしていただければ幸いです。

新入社員の早期離職の実態とは

早期離職とは、企業に就職もしくは転職してから数年以内に離職することをさし、多くの場合は、3年以内に離職した場合を「早期離職」と定義しています。
厚生労働省の調査によると、新卒の3年以内離職率は31.5%です。新入社員のうち、3人に1人は早期離職している状況がうかがえます。

参考:新規学卒就職者の離職状況(平成31年3月卒業者)【厚生労働省】

着目すべきは、早期離職した結果だけでなく、早期退職をする可能性がある人の多さでしょう。
新入社員へのある意識調査で「現在の勤務先を辞めたいと思うかどうか」を聞いたところ、辞めたいと思うことがない人は25.7%に対して辞めたいと思うことがある人(「辞めたいと思うことがある・計」)は74.3%と、4人に3人が辞めたいと思っています。

企業としてきちんとフォローをしないと、いわば"早期退職予備軍"と見なせる70%以上の新入社員をも失う可能性があるのです。

参考:2020年入社 新入社員の就業実態【リクルート】

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 新入社員の早期離職のインパクト

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新入社員の早期退職は、どのような企業にとっても避けたい事態でしょう。
具体的にどのようなネガティブなインパクトがあるのかについて、解説します。
 

●他社員への影響が大きい

早期離職のデメリットとして挙げられるのが、残った社員の業務負荷と精神的なダメージです。
退職者が担当していた業務は、他の社員の誰かがしばらくは代替する必要があります。
昨今は人員面で余力がある企業は多くないため、退職者による他社員へのしわ寄せの影響は大きいでしょう。

さらに、せっかく育成を施した新入社員が辞めてしまうことは、他社員のモチベーションにも悪い影響を与えます。

新入社員の育成は、就労経験がないだけに他の中途社員よりも手厚く施す企業がほとんどです。社会人マナーなどゼロから育成したにもかかわらず、その効果を自社で発揮することなく辞めてしまっては、周囲は意気消沈してしまいます。

最悪のケースでは、新入社員1人の退職をきっかけに他の社員も辞めていく「芋づる式退職」現象に発展するリスクもあります。

●コスト面でデメリットが生じる

早期離職は、コスト面でもマイナスのインパクトを企業に及ぼします。
コストの内容や額は各企業でさまざまですが、例えば、入社者が3年で辞めた場合、ざっと以下のようなコストが考えられます。

  • 3年間の給料
  • 求人に関わるコスト
  • 現場社員や役員などの稼働コスト
  • 育成のコスト

新入社員が一人前の戦力として独り立ちするまでには、教育研修制度が充実している企業でも4年以上かかるといわれています。

新入社員が一人前になるまでにかかるコストは、将来的に自社の戦力になってもらうためのいわば「投資」と見なせます。
つまり3年以内の早期離職は、投資先企業の倒産のようなもので、新入社員にかけた採用コストや育成コストがすべて無駄になってしまうのです。

新入社員が早期離職する原因

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新入社員が早期離職する理由には、一定の傾向があります。
手当たり次第に対策するのではなく、まずは早期離職する原因を探ることが重要です。ここではよくある2つの早期離職の原因を紹介します。

●仕事が合わない、向いていない

日々目の前にある仕事内容が、自分にフィットしていないと感じて、早期退職を決断するケースです。
ただし、新入社員といえども最初の配属はある程度想定できているため、仕事そのものが嫌だということは稀かと思います。
多くの場合、本人が持っている本来的な資質や適性部分と仕事がミスマッチになっている点が、問題点として挙げられます。

特に就労経験のない新卒採用の場合、本人が「自分はこの仕事に向いている」という適性を勘違いしているケースも多いでしょう。

したがって、現場の仕事を熟知している企業側が、新入社員本人も気がついていない適性を把握して、適切な配属先を決める必要があるのです。

●周囲や上司とのコミュニケーションがうまく取れない

職場の人間関係に悩んで、早々に退職を決意する新入社員も少なくありません。

まだ一人前に業務を担えない新入社員にとって、周囲や上司とのコミュニケーションは想像以上に影響が大きいものです。
特に直属上司の新入社員への理解が浅く、誤ったコミュニケーションを取り続けてしまうことは、新入社員のストレスに直結しやすいでしょう。

新入社員にとって上司は、職場メンバーのみならず他部署との人のつながりをつくるハブ的な存在です。
したがって、上司は新入社員の性格の傾向を特によく理解する必要があります。
そのうえで、本人が受け入れやすいコミュニケーションを心がけたり、あるいは本人との相性が良さそうなメンバーと組ませたり、などの工夫が求められます。

早期離職の防止には周囲の関わりがカギ

原因が理解できたとしても、対策できないと意味がありません。
どのような企業でも対策できそうなポイントの1つとして「周囲の関わり方」が挙げられます。

社会人歴3年未満の方を対象にした「離職につながる要因の調査」を確認すると、早期離職への対策の示唆が得られます。
職場におけるさまざまな変数が、離職に与える影響をメカニズム化した図が以下となります。

【離職につながる要因調査】

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参考:早期離職の緩和に効く職場のサポートとは【リクルートマネジメントソリューションズ】

この調査で着目したいのが職場のサポートの影響の大きさです。
具体的には、調査結果から以下の2点を読み取ることができます。

● 同じような仕事のストレスがあったとしても、上司が仕事の範囲や量に配慮してくれていたり、同僚によるサポートがあったりるとストレス反応は軽減する

● 上司や同僚によるサポートがあると、仕事に前向きに取り組める状態になる

「仕事への前向きさ」や「心理的ストレス反応」なども離職意思に影響を及ぼしますが、本人の受け止め方や仕事の性質も関連するので、なかなかコントロールは難しいでしょう。
しかし、上司や職場からのサポートであれば、対応可能な範疇といえます。
早期退職を防ぐために、職場からのサポートがいかに重要かがご理解いただけるかと思います。

新入社員の見えにくい本質が理解できるSPI3とは

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前述したように新入社員の離職を防ぐためには、職場や上司からのフォローが重要です。フォローをするためには、新入社員本人の特性を理解する必要があります。
仮に採用場面でSPI3をご利用いただいているのであれば、新入社員育成に展開することが可能です。
多くの企業では、適性検査は採用選抜のためにしか活用できないと思い込む傾向があります。しかし、目に見えにくい本質をあぶり出すSPI3であれば、新入社員の育成にも活用できるのです。

具体的に、SPI3があることで新入社員の理解がどこまで深掘りできるかについて解説します。

●本質的な配属ミスを防ぐことができる

人間には、努力によって変えがたい性格の特徴があります。
特徴は時に強みにもなる一方で、仕事次第では弱みにも転じます。

仮に社交性が低い新入社員であれば、毎日多くの人と会議をするような職務環境では、強みが発揮されにくいでしょう。

配属時には本人が持つ強みを生かし、苦手なポイントを回避するような部署を検討することで、初期のミスマッチを防ぐことができます。

●一人ひとりに適した関わり方が分かる

同じ情報伝達であっても、聞き手の新入社員一人ひとりで注視しているポイントは変わります。

例えば当該期の目標を伝える場面においても、チャレンジングさを強調するか、気をつける点を強調するかなどで、聞き手の性格によって浸透度合いが異なります。

SPI3の結果には、新入社員の性格特徴が一人ひとり分かりやすく記載されています。したがって、本人に相応しい、響きやすい関わり方がイメージできるはずです。

すべてのコミュニケーションを本人に合わせることは難しいかもしれませんが、面談など象徴的な場面で「Aさんには、こういう言い方の方が伝わりやすいかな」と確認する拠り所となるでしょう。

【コミュニケーション上の注意点】

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●新入社員がつまずきがちなポイントが分かる

残念ながら、人間は誰しも苦手分野や弱みがあります。

SPI3の結果からは、新入社員の資質や適性だけでなく、つまずきやすいポイントも確認することができます。

あらかじめ、マネジメント側が新入社員のウィークポイントを把握することで育成計画が立てやすくなり、伸び悩みの回避や弱点克服にも役立てられるでしょう。

場面に合わせ、SPI3なら3種類の報告書が活用できる

SPI3で新入社員育成のための情報を得るには、「人事用報告書」と「育成支援報告書」、SPI for Employeesでは「志向・仕事観報告書」の3種類の報告書が活用できます。

●人事用報告書で、新入社員の基本特徴を理解できる

SPI3の通常の報告書は、採用担当者や新入社員の配属先上司に向けて、本人が持つ基本的な特徴を分かりやすく解説しています。
人事用報告書を育成場面で利用するには、「コミュニケーション上の注意点」や「職務への適応のしやすさ」の欄を確認してください。

NGなコミュニケーションポイントや、仕事の進め方への向き・不向きがあるのかが参考になるでしょう。

●育成に特化した報告書で、新入社員の才能開花が支援できる

SPI3の開発背景として、採用場面だけでなく、新入社員が持つ本来的なポテンシャルを開花させてほしいという思いがあります。
そのため、SPI3には育成場面に特化した「育成支援報告書」も提供しています。

育成支援報告書は、配属先の上司など、新入社員の育成担当者に向けた情報提供をしています。
専門的な用語や数値を使わず、育成における各場面で必要な情報に焦点をしぼり、コンパクトに結果をまとめています。
現場の上司やメンターが見ても実践で活用しやすい内容となっているでしょう。

●志向・仕事観報告書で、新入社員のやる気を引き出すコミュニケーションを実現

必ずしも行動に表れないため、周囲から見えにくいこともありますが、本人の志向・仕事観に合ったコミュニケーションを取ることはやる気を引き出すことにつながります。 

▼SPI3 for Employeesの公式サイトはこちら

SPI3を新入社員育成に利用した事例

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SPI3を新入社員育成に利用し、成功した中小企業での2つの事例をご紹介します。

ケース1 若手社員のストレス軽減の手段として活用【メーカーA社】

自動車部品メーカーA社は、入社後に単調な作業が多いため、早期離職が常々課題となっていました。

「メンタル不調のケアに力を入れる」という人事方針を持つ同社は、SPI3をメンタルヘルスケアの取り組みに活用することにしました。具体的には、従業員のメンタルコンディションを把握するための調査や、メンタルヘルスケア研修、現場の管理職層にSPI3の育成支援報告書の読み方をレクチャーするなどの取り組みです。

先に紹介した調査のとおり、慢性的なストレスは早期離職につながりやすいです。

仕事そのものは変化させることが難しいため、同社では「部下一人ひとりのタイプに合わせたコミュニケーションの取り方を変化させ、ストレスを軽減する」という考え方に基づき、SPI3の結果を活用することにしました。

仕事上のストレスはある程度やむなしとしながらも、SPI3があることで、一人ひとりにフィットしたフォローができるようになったそうです。

ケース2 配属後の育成計画づくりに活用【ブライダルB社】

沖縄にあるブライダル会社B社は、現場に出てからのギャップに問題があるのではないかと課題感を抱えていました。

できれば現場なりの新入社員の育成計画を立案してほしいとの人事の思いがあり、現場のマネジメントに、SPI3の育成支援報告書を提供することにしました。

何も情報提供をせずに、初対面の新入社員の育成計画を依頼することには無理があるため、SPI3の情報を活用してほしいとのねらいがあったのです。
現場からはSPI3の情報があることで、まず新入社員の客観的な性格傾向が理解できた点がメリットとの声が上がりました。

SPI3のフレームがあることで、新入社員と接した際も、思い込みだけでなく、本人の特徴を考慮した育成計画が立てられるようになったそうです。

早期離職防止には、新入社員が持つ本質を理解することが第一歩

長年一緒に働いていた社員であっても、意外な一面を感じるという経験をお持ちの方は多いのではないでしょうか。

就労経験がない新入社員の場合、本質の理解にはなおさら時間がかかるでしょう。時には、本人も自分の持ち味を誤認している場合もあるため、適切なコミュニケーションの難度は高まります。

「世代間ギャップ」「転職アタリマエ世代」などいろいろな単語が飛び交っていますが、早期離職を防ぐ本質は本人理解、および本人に合わせた周囲のコミュニケーションにほかなりません。

SPI3であれば、採用選考で把握できた人物特徴に、配属されてからの実際の動きが伴い、さらに豊かな人物理解に役立つはずです。

 
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