適性検査SPI3お役立ちコラム
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「適性検査の対策に意味はある?」SPIの開発者に、気になる疑問をまとめて聞いてみました
適性検査は今や多くの企業が採用選考で導入しており、一般的な採用選考プロセスとなっています。一方、開発意図や活用方法についての疑問もある状況かと思います。
採用担当者の方からは、「対策されたら正確に測れないのでは?」「結果はどう活用すればいい?」といったご質問をよくいただきます。また、応募者から「何か準備・対策した方がいいの?」「本心と異なる回答をするとどうなる?」という質問を受けた際にどう答えたらいいのか、というお声をいただくこともあります。
そこで今回は、リクルートマネジメントソリューションズの適性検査「SPI3」の開発を担当する仁田光彦さんに、受検者・企業の双方が気になる疑問をまとめて伺いました。
採用担当者の方は、学生・候補者から適性検査について質問された際の回答例としてもご活用いただけます。気になる質問だけでもぜひご覧ください。
仁田光彦(にた みつひこ)
株式会社リクルートマネジメントソリューションズ
測定技術研究所 主幹研究員
リクルートマネジメントソリューションズにて、入社から15年以上に
わたってSPIの開発・改善に関与し、若手の適応やメンタルヘルス
領域についての研究も行っている。
日本テスト学会理事、日本テスト事業者懇談会代表幹事。
INDEX
- 適性検査について基本的な疑問
- 適性検査を受検する候補者からのよくある疑問
- 適性検査を実施する企業のよくある疑問
- 適性検査と言えば「SPI3」
適性検査について基本的な疑問
Q.そもそもSPIなどの適性検査は、何のためにありますか?
A.学歴や職歴などの属性に囚われず、個人の資質を公平・公正に確認し、ミスマッチを防ぐため。
仁田:採用選考における適性検査が普及する前、1960年代の日本の大手企業の大卒採用活動は、特定の大学だけに求人票を送り、その大学の学生だけが応募する方式でした。合否は、面接、学業成績、縁故、身上調査などで決まり、それが当たり前とされていました。
こうした時代背景の中で、「学校・学部名、性別、家庭環境などだけに左右されない科学的で客観的な情報をテストを通じて提供することで、公平でより望ましい採用選考を実現したい」という考えから、SPIの前身となる適性検査が作られました。
現代ではかつてのような採用選考ではなくなってきていると思いますが、それでも選考で候補者一人ひとりとコミュニケーションを取れる時間は限られています。だからこそ、様々な観点から総合的に個人の資質を深く理解するための手段として、SPIなどの適性検査が活用されています。
Q.適性検査の良し悪しは、何で決まるのですか?
A.検査内容の精度と品質を測るための指標がある。
仁田:適性検査は、実態のない心理的な特徴をデータとして可視化するものです。測定対象の性質上、「どういう検査が良い/悪い」を定義するのは難しいのですが、適性検査の精度や品質についてはいくつかの観点があります。
その1つが「信頼性」です。信頼性とは、「同じ人がその性格検査を何度か受けた時に、安定して同じような結果が出るかどうか」という観点で、測定結果の安定性や一貫性を示す概念のことです。
他には「妥当性」という概念もあります。これは測定したいものがちゃんと測定できているか、を表します。たとえば、採用選考という場面や入社後の職務と照らした際にふさわしいテストになっているか、テスト結果と入社後のパフォーマンスは実際に関係しているかなど、様々な視点で多面的に確認されるべき観点です。
このような研究や検証を経た上で、SPIは提供されています。また、こうした品質の確認は、一度実施すればよいものではありません。測定項目が劣化することもありますし、時代の変化によって得点が影響を受けることもあります。SPIの提供にあたっては、こうした品質に目を光らせつつ、常に改善とアップデートを行い、質の高い検査を継続的に提供するための努力を行っています。
適性検査を受検する候補者からのよくある質問
Q.適性検査を受検する前に、何か準備や対策をしたほうがいいですか?
A.過度な対策は不要。回答形式に慣れるための準備をしておくのがよい。
仁田:本番でご自身の実力をきちんと出せるように、受検方法や回答形式に慣れておくことが重要と考えています。
能力検査は、特別な知識や解法が求められる内容ではなく、出てきた問題を正しく理解し、処理することが求められる内容となっており、過度に対策する必要はないと考えています。実際、能力検査に関しては、過去に対策本による学習効果の実験を行いましたが、数点程度の得点上昇は見られたものの、問題の慣れによる影響が大きいという結果となっていました。
性格検査は、質問に対して自分が感じた通り率直に回答すればよい内容になっていますので、事前の準備は全く必要ありません。
Q.SPIの性格検査で本心とは異なる回答したらどうなりますか?
A.回答の矛盾は検査結果で見えるようになっている。本来の特性と異なる結果で選考が進むと、入社後のミスマッチにつながる可能性がある。ご自身のためにも、素直にお答えいただくことを推奨。
仁田:SPIの性格検査には回答の矛盾を検出するロジックが組み込まれているので、本心を偽って回答していると「自分を良く見せようと回答している傾向がある」という結果が出る可能性があります。
また、本心を偽って回答することは、中長期的に見るとご自身の損につながるのではないかと思います。SPIの結果は様々な場面で見られますから、仮に本心を偽った回答で初期選考を通ったとしても、面接でも本来の自分とは異なる人物像を演じなければならないですし、企業においては、入社後の配属・人材配置や、現場でのコミュニケーション支援としてSPIの結果が参考にされることもあります。そうした可能性も考えて、素直に答えることをおすすめします。
Q.時間が足りないと焦ることがあるのですが、とにかく早く解いた方がいいですか?
A.たくさん回答できれば良いわけではないため、焦って無理に回答する必要はない。
仁田:各問題にしっかりと向き合って回答いただくのがよいと思います。テストセンターやWEB形式のテストにおいては、適応型テストという仕組みを導入しています。出題した問題に対する回答結果をもとに、受検者の能力レベルを推定し、次に最適な問題を選んで出題するという仕組みで、よく視力検査のような方法として例えられます。
回答を重ねるほど推定の精度は上がっていきますが、「何問正解できたから何点」という仕組みではありません。焦らず、各問題にじっくり向き合って回答していただくのがよいかと思います。時間をかけても全くわからない問題は、飛ばして次の新しい問題を解いていただいても問題ありません。
Q.以前の受検結果を、他社の選考でも使って大丈夫ですか?
A. 以前の結果に納得しているなら、そのまま使ってよい。コンディション不良などで納得のいく結果が出なかった場合は再受検も可能。
仁田:SPIについて、過去1年以内にテストセンターで受検したことがある方は、前回の受検結果を企業に送信することが可能です。企業側には前回結果かどうかの通知は行われませんので、必要に応じて気兼ねなく使っていただければと思います。
もちろん、前回の受検時に体調やコンディションが優れず上手く回答できなかった、といった状況があれば、改めて受検していただくことも可能です。
Q.適性検査の結果は、どういう場面で企業に見られるのですか?
A. 初期選考に限らず、面接での対話や入社後の配置・育成など、候補者と企業・配属先のマッチングに関する、様々な場面で活用されている。
仁田:SPIというと、初期選考場面での見極めに活用されるイメージがあるかもしれません。しかし実際には、面接で履歴書やエントリーシートと合わせて補助資料として見られていたり、入社後の人材配置や育成の参考にされていたりと、幅広い場面で活用されています。
SPIの結果が、経歴や面接からは見えにくかった長所を見つけるきっかけになったり、その人の特性に合わせて配属先の上司が育成を進めるためのヒントになったりすることもあります。企業の選考のためだけに受けるものではなく、企業の人事施策の様々な場面で使われる可能性があるツールとして、ご理解いただけますと幸いです。
適性検査を実施する企業のよくある疑問
Q.SPIは、どのような点が特長の適性検査ですか?
A.品質の高さ、活用場面の幅広さ、受検者の個を活かす理念、の大きく3つが特徴。
仁田:品質の高さは1つの特長と考えています。結果の安定性や一貫性を示す「信頼性」については、必要な水準を備えていることを毎年確認していますし、入社後の評価との関係性(妥当性の一種)も定期的に確認しています。加えて、受検者全体と相対的に比較することができるかどうかを示す「標準性」という観点も、豊富な受検データを用いて確認を行っています。こうした取り組みを継続的に実施し、品質の維持・向上を行っているところは、SPIの強みであると思います。
また、面接支援報告書、ストレス分析報告書、本人フィードバック用報告書、育成支援報告書など、様々な結果報告書のバリエーションがあって、初期選考以外でも幅広い場面で活用しやすいのも特長の1つと思います。
加えて、直接的な製品特長ではありませんが、「個をあるがままに生かす」という理念をもって開発されているというのも特長かもしれません。個人の特徴を理解し、その個人が企業の中で生き生きと働くことを支援するツールとして活用いただけることを理想として開発しています。
Q.SPIの問題は、どれくらい入れ替わっていますか?
A.短期的なスパンと、中長期的なスパンで、常にアップデートし続けている。
仁田:能力の問題については、定常的に新作問題を作成しています。社内検証やデータ検証を行ったうえで、一定の基準をクリアした問題を定期的に追加しています。また、SPIの対策本や各種WEBサイトの確認も行っており、近しい問題については、取り下げることも行っています。
より中長期的なスパンでいうと、時代の潮流や社会変化に応じて、検査全体の見直しを行うこともあります。SPIは現在SPI3へと進化しておりますが、測定尺度の見直しや問題数の削減、新機能の追加など、これまでにも時代の変化に合わせたアップデートを行ってきています。
Q.適性検査は、対策されたら正しい結果を測れないのでは?
A.事前に対策しても結果は大きく変わらないため、気にしなくても問題ない。
仁田:SPIの能力検査は、特別な知識や解法が求められる内容ではなく、出てきた問題を正しく理解し処理することが求められる内容となっており、測定領域としては一般知的能力、いわゆる地頭と表現される領域を測定しています。そのため、短期的な対策では得点への影響を受けづらく、実際に過去に対策本による学習効果の実験を行いましたが、数点程度の得点上昇は見られたものの、問題の慣れによる影響が大きく、過度な得点上昇は見られませんでした。
我々もチェックして問題の更新を行っており、解答を暗記すれば正解できるといった状態が起こらないように日々努めています。そのため、事前に対策されることに対して、そこまで気にされなくてもよいかと思います。
Q.替え玉やカンニングなどの不正受検には、どう対処したらいいですか?
A.監督者のいるテストセンターの利用を推奨。テストセンターにはオンライン会場もある。
仁田:替え玉受検やカンニングだけでなく、昨今は生成AIを用いた不正受検など、不正受検の方法も多様化しています。こうした不正受検への対策という観点でいえば、テストセンターでの実施をおすすめします。テストセンターであれば、弊社の監督者が受検の様子をチェックしていて、不正行為があった場合は即座に中断するようになっています。また、不正行為が発生したことは企業側へ連絡を行います。
現在SPIのテストセンター方式では「オンライン会場」もご用意しており、受検者はご自宅などで受検いただきながら、PCのWebカメラや画面共有を利用して、リアル会場と同水準での監督を行うことが可能です。
Q.適性検査の結果と面接の印象が違うときは、どう受け止めたらいいですか?
A.印象が異なるときこそ、理解を深めるチャンス。そのギャップを重点的に深掘りしていく。
仁田:ぜひ、適性検査の結果と面接での印象が異なる点を中心に、面接で深めていただきたいと考えています。
そもそも、適性検査は対象者を多面的に理解するツールです。面接の印象と全く同じ結果が出ているのであれば、わざわざ適性検査を利用する意義も薄れてしまいます。たとえば、適性検査の結果はおとなしい方ですが、面接では活発な印象を与える方がいるとします。面接でご本人を深掘りしていった結果、性格的にはおとなしいことを自覚しているが、過去の経験を踏まえて他者とは積極的に関わるように心がけていることがわかりました。このように、同一人物でも適性検査の結果と面接での印象の不一致は起こる可能性があり、むしろこうしたギャップを面接などで確認することで、対象者の理解を深めることができます。
SPIの結果報告書には、「面接で確認すべきポイントと質問例」という内容も書かれているので、ぜひそちらも参考にしてみてください。
Q.入社後に何年か経ったら、適性検査を受け直してもらったほうがいいですか?
A. SPIの測定領域は変化しづらいが、前回から数年以上経っているなら、個人によっては結果が変わる可能性アリ。現在の特性を知りたいなら再受検を推奨。
仁田:SPIで測定しているような性格特性は比較的変化しづらい領域と言われています。実際、弊社内のデータを用いて3年間の個人内の変化を追ってみたことがあるのですが、データ全体としては大きな変化はありませんでした。一方で、個人に着目した場合、人によっては結果が変化する方もいらっしゃいました。大きなライフイベントを経験した、社内での役割が変わったなど、経験によって変化する可能性も秘めています。
このように考えると、適性検査は比較的安定的な側面を測定してはいるものの、改めて受検いただくことには一定の意義があると考えています。特に、ご本人へのフィードバックや育成などでの活用を想定した場合は、施策に応じて改めてご実施いただく方がよいかと思います。従業員向けの適性検査「SPI3 for Employees」をご利用いただくのもおすすめです。
適性検査と言えば「SPI3」
SPI3はリクルートマネジメントソリューションズが提供している、導入社数単年(直近1年)No.1の適性検査サービスです(※)。
「学歴や職歴などの表面的な情報だけではなく、個人の資質をベースとした採用選考に寄与したい」という考え方から、人材を採用する企業だけでなく、受検する候補者の方にとっても価値のある検査であることを目指しています。
これから受検される方は、無理に対策をせず、リラックスしてありのままお答えいただくことが、ご自身にとっても最善の結果につながります。企業の方も、あまりSPIの対策について気にしすぎることなく、あくまで採用や入社後における総合的な判断の一要素として、SPIの結果を様々な場面でご参考にいただけますと幸いです。
※調査概要及び調査方法:適性検査サービス(採用入社試験に利用するテスト)を対象としたデスクリサーチ及びヒアリング調査
調査実施:株式会社東京商工リサーチ
調査期間:2025年6月26日~9月26日
比較対象企業:適性検査サービス展開企業 主要5社
※2025年3月期実績
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