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SPIの実施目的と効果は?
候補者を取りこぼさない活用方法を解説

SPI3は、非常に多くの企業に導入されている適性検査サービスです。しかし、適性検査の導入を検討しながらも、「本当に採用でSPIを実施する意味はあるのか」「自社でSPIを導入して効果があるのか」と迷われている方もいるかと思います。
「SPI」と聞くと、「選考での見極めに使って候補者を絞り込むもの」というイメージが強いかもしれませんが、実はそれ以外にも幅広い活用シーンがあります。「もっと候補者の良い面を見つけて採用できる可能性を高めたい」「せっかく応募してくれた候補者を取りこぼさないようにしたい」と考えている企業にとっても、導入する意味のあるサービスです。
この記事では、SPI3を実施する意味・目的から、様々な活用方法、それによって期待できる効果、実際の活用事例までを解説します。ぜひSPI3の導入検討の参考にしてください。
SPIとは
SPI3は、リクルートマネジメントソリューションズが開発・提供している適性検査サービスです。サービス名は「Synthetic Personality Inventory(総合適性検査)」の略で、「学歴や職歴などの表面的な情報だけではなく、個人の資質をベースとした採用選考に寄与したい」という考え方から、1974年に誕生しました。
2025年の時点で、導入社数が1万8100社(※1)、受検者数が257万人(※1)と、非常に多くの企業で活用されていて、適性検査サービス導入社数単年(直近1年)No.1(※2)となっています。
SPI3について詳細はこちら
https://www.spi.recruit.co.jp/
※1 2025年3月期実績
※2 調査概要及び調査方法:適性検査サービスを対象としたデスクリサーチ及びヒアリング調査
調査実施:株式会社ドゥ・ハウス
調査期間:2023年9月8日~22日
比較対象企業:適性検査サービス展開企業 主要20社
SPIの特徴
SPI3には、他の適性検査サービスとは異なる、いくつかの特徴があります。
精度の高さ
豊富な利用実績と、約50年の測定技術研究の積み重ねがあるため、人材の特徴を高い精度で測定することができます。受検者の事前学習や不正受検の対策も徹底しています。
豊富な受検形式
WEBテスト・テストセンターなど、様々な受検形式が選択できます。なるべく企業と候補者の双方にとって負担の少ない方法で実施可能です。
幅広い活用場面
初期選考での見極めだけでなく、採用の前段階から入社後まで様々なシーンで活用することができます。活用場面について詳しくは後ほど解説します。
SPIの結果からわかること
SPI3では、主に「性格検査」と「能力検査」の2つによって、受検者の特性を定量的に測ることができます。
性格検査
環境や状況によって変わりにくい様々な行動のベースとなる性格特性を測定します。日常の行動や考え方に関する複数の質問項目が提示され、どのくらい自分にあてはまるかを選択していくことで、仕事や組織への適性を把握します。
能力検査
思考力、新しい知識・技術の習得などのベースとなる能力を測定します。言葉の意味や話の理解力を測る言語分野の問題と、数的な処理や論理的思考力を測る非言語分野の問題が出題されます。
この2つを組み合わせた受検結果から、候補者について以下のような内容を把握できます。
- どんな仕事に向いているか
- どんな組織に馴染みやすいか
- 基礎的な能力はどの程度か
- 面接でどんな質問をすればよいか
- コミュニケーションで注意すべき点は何か
SPIを実施する目的
なぜ採用においてSPIを実施するのか、実施することにどのような意味があるのかを解説します。SPIを実施する目的は、主に以下の3つです。
①ミスマッチの防止
②候補者体験の向上
③採用業務の効率化
ミスマッチの防止
SPIの実施目的として、最もイメージしやすいのがミスマッチの防止かと思います。SPIの受検結果からは、履歴書や職務経歴書からは見えにくい候補者の特性がわかり、選考担当者の感覚だけではない客観的な指標をもとに判断できるため、自社の業務や組織に合った人材を採用しやすくなります。
ミスマッチな人材の採用を防ぐだけでなく、本当は自社にマッチした人材を掘り下げ不足で落としてしまわないようにする、という観点も重要です。
候補者体験の向上
現在の売り手市場において、企業は候補者に選ばれる側でもあり、選考プロセスが候補者にとって良い体験であることが求められます。SPIによって候補者への理解を深めることで「この企業は自分のことをわかってくれている」と感じてもらえれば、選考中に志望度を高められます。
また、自社独自の筆記試験や候補者にとって馴染みがない適性検査だと、受検のために来社することが負荷になったり、検査内容に不安を感じられるケースもあります。そうした場合はSPIに切り替えて、適性検査の受検に対する心理的・物理的なハードルを下げ、採点や結果送付の対応スピードを早めることも、候補者体験の向上につながります。
採用業務の効率化
採用活動におけるムダの多くは、関係者での意思疎通が上手くいっていないことから生まれています。SPIを導入・活用すれば、個人の感覚に左右されない客観的な指標を判断の軸にでき、その項目や尺度を共通言語とすることで、どんな人材を採用したいか、面接でどこを見るか、何を評価して合否を判断するか、といった採用の方針や基準を社内で揃えられます。
それによって判断や意思決定のスピードが早くなり、ムダな議論やコミュニケーションに時間を使わなくて済むようになります。採用業務を効率化したい、採用担当者の負担を軽減したい、という企業にとってもSPIは有用です。
SPIの活用方法
SPIは、採用の計画段階から入社後まで幅広い場面で活用できます。ここでは、初期選考における見極め以外の、意外と知られていないSPIの活用方法を、いくつかご紹介します。
求人原稿の制作・改善のヒントに
候補者の興味を惹き、応募につなげる求人原稿を作るには、採用ターゲットを明確にして、求める人物像の解像度を上げることが重要です。過去のSPIの受検結果を分析すると、どんなタイプの人が採用につながっていて、入社後に活躍しているのか、といった傾向を把握できます。その傾向を参考にすることで、自社にマッチする人材の要件が明確になり、採用のターゲットとなる人の性格や、仕事・職場に求めるものを想像しやすくなります。
面接での動機づけのコミュニケーションに
(SPIの受検結果で見える特性の傾向)
面接は、候補者が自社に合っているか見極めるだけでなく、自社の魅力を直接伝えて志望度を高めるための場でもあります。SPIの受検結果報告書には、受検者の性格特性に合わせて「率直に伝えましょう」「根性論だけでは動きません」といったように、コミュニケーション上の注意点も書かれています。そうしたSPIの結果を参考にすることで、候補者一人ひとりに合わせて、的確に自社の魅力を伝えやすくなります。
内定から入社後にかけてのフォローに
応募が集まり、選考を通過しても、内定を承諾してもらえなかったり、入社後に活躍してもらえなければ、採用活動は成功とは言えません。SPIは、内定後に本人へ採用理由をフィードバックする際の補助資料として、採用への納得感を高めるために活用することもできます。入社後には、配属先の現場の上司にSPIの結果を共有することで、新入社員への理解を早めて円滑なオンボーディングを助け、定着・活躍に貢献することも可能です。
SPIによって期待できる効果
改めて、SPIを導入・活用することによって、企業が得られる価値をお伝えします。「そこまで応募人数が多いわけでもないし、本当にSPIの導入が必要なのか...」と迷われている方こそ、ご覧ください。
候補者を取りこぼさない
人材要件が定まっていなくて採用ターゲットに募集時点で振り向いてもらえない、候補者の本当のポテンシャルを見抜けずに表面的な理由でお見送りにしてしまう、選考中に志望度が上がり切らず辞退されてしまう...。そうして自社にマッチした人材を逃してしまう可能性を、SPIの活用によって下げられます。大量に応募を集めるのが難しい企業こそ、候補者の欠点ばかりを見て絞り込むのではなく良い面に目を向けて、貴重な人材を取りこぼさないようにすることをおすすめします。
入社後の定着率を高める
採用人数が多くない企業は、せっかく採用した人材が早期離職してしまった場合のダメージが大きいです。SPIを活用すれば、自社で活躍できる可能性が高い人材の要件を明確にした上で採用ができ、選考の段階から企業と候補者お互いの認識のズレを抑えて、入社後のオンボーディングも円滑にすることが可能です。それらによって、入社後のギャップによる早期離職を防ぎ、定着率の向上に寄与できます。
SPIの活用と効果の事例
最後に、SPIを活用している企業の事例と実際に感じられている効果を、いくつか紹介します。
■ 候補者の隠れた魅力の発見(サッポロビール)
目的・課題
- 早期離職をなくす
- 面接でのマッチング精度の向上
SPI3の活用方法
- SPIデータを分析し、求める人財像を明確化
- SPIを基に、面接官に「より魅力を引き出せる」質問事項をアドバイス
効果
- エントリーシートには書かれていない、応募者の隠れた魅力を数多く引き出せた
- 互いにとってのミスマッチ防止と魅力の新発見につながる選考を実現
事例の詳細はこちら
https://www.spi.recruit.co.jp/spi3/case/000435.html
■ 候補者本人へのフィードバック(武蔵野銀行)
目的・課題
- 【採用活動の刷新】人事・採用の施策全体に太い軸を通したい
- 【適性検査データの活用推進】選考場面以外でもデータを活用し、HRアナリティクスへと発展させたい
SPI3の活用方法
- 【面接での人物理解を深める】面接官のよき相棒に、そして学生本人も気づいていない特徴・良さを見つける
- 【オンボーディングのサポートに】SPI3の結果をもとに新入社員一人ひとりを理解し、受け入れ体制を整えられた
効果
- 【入行への納得感・マッチング精度の向上】内々定付与前にも学生本人に結果をフィードバックすることで、相互理解・自己理解が促進された
■ 人材要件の共通言語化(三菱地所レジデンス)
目的・課題
- 求める人財像を明確にし、人事と面接担当者の間の観点を揃えたい
- 面接以外で得られる情報も用いつつ、一人ひとりへの理解を深めたい
SPI3の活用方法
- SPI3データ分析で人財要件を明文化し、関係者間の共通言語化を図った
- 面接で得られた情報にSPI3結果を加え、応募者の活躍を具体的にイメージ
効果
- 人事から採用関係者に対し、選考観点をより正確に伝達可能になった
- 一人ひとりにより多くの活躍可能性を見出せ、多才な人財を採用できた
事例の詳細はこちら
https://www.spi.recruit.co.jp/spi3/case/000438.html
■ 採用担当者と候補者の負担削減(河合楽器)
目的・課題
- 採用における候補者の負担軽減と人事内での事務工数の削減
SPI3の活用方法
- 適性検査を市販のもの(紙媒体)からSPI3(WEB実施)に切り替えた
- 面接官が質問を考えるための参考情報としてSPI3結果を事前共有
- 面接後の合否判断で意見をすり合わせる際の定量的な補足情報として活用
効果
- 採用選考における候補者の負担軽減につながった
- 人事内での面接後の合否判断の正確性の向上と迅速化につながった
■ オンボーディング・OJTの円滑化(バンダイ)
目的・課題
- OJT担当が新入社員の育成方法について共通認識を持つことで、バラつきをなくしたい。
SPI3の活用方法
- OJT担当と新入社員の合同研修を実施し、SPI3 for Employeesの結果を基にした相互理解セッションを実施。
効果
- それぞれの立場や個性への理解が進んだことで、互いに本音で話し合える関係性への兆しが表れている
事例の詳細はこちら
https://www.spi.recruit.co.jp/spi3em/case/000353.html