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中途採用のよくある課題35選
チェックリストと解決策を徹底解説
中途採用が上手くいかない原因としては、様々な課題が考えられます。自社の採用を改善していくために、まず重要なのはボトルネックとなっている課題を特定することです。
この記事では、中途採用で起こりがちな課題を網羅的にリストアップし、解説しています。どのような課題が自社に当てはまっているかチェックし、改善のヒントとしていただければ幸いです。いくつかの課題については、詳細な解説記事へのリンクも掲載していますので、気になったらそちらも合わせてご覧ください。
INDEX
中途採用を取り巻く環境と課題
中途採用を成功させるためには、社会や候補者の変化などの流れを理解し、それが自社の採用活動にどう影響しているのかを把握することが重要です。
そのため、まずは本記事を読み進めていく上でのガイドとして、中途採用を取り巻く環境と大きな課題について解説します。必ずしも本記事で挙げている35個の課題をすべてチェックする必要はありません。この章の内容をもとに、自社に当てはまりそうな課題だけでも目を通してみてください。
労働人口の減少と人材獲得競争の激化
日本では少子高齢化が進み、労働人口は年々減少しています。特に若い世代が減ってきているため、新卒採用では人材を確保できず、中途採用に力を入れ始めた企業も多いのではないでしょうか。その結果、専門スキルや経験を持つ中途人材の争奪戦も激化し、優秀な人材を確保する難易度は高まり続けています。もはや「求人を出せば応募が来る」という考えでは、十分な母集団を形成できません。
【チェックしたい課題】
中途採用を本格的に始めてみたものの、そもそも応募が集まらないと感じている場合は「募集・母集団形成における課題(No.7~15)」から確認してみてください。
漠然と自社の採用活動が上手くいかなくなってきていることを感じていて、全体的に見直したいと考えている場合は、「採用戦略・計画における課題(No.1~6)」をチェックすると良いでしょう。
候補者の価値観・志向の多様化
転職希望者が重視するポイントは、給与や待遇だけではなくなっています。キャリアアップの可能性や働き方の柔軟性、企業文化とのフィット感など、多様な観点で入社先を検討する傾向が強まっています。候補者のニーズを理解し、マッチングの精度を高めていかなければ、他社と比較された際に選ばれなかったり、入社後のギャップ・早期退職などのリスクにつながってしまいます。
【チェックしたい課題】
面接などで自社と候補者の相性を上手く確かめられていない、入社意向を高められていないと感じる場合は、「選考における課題(No.16~21)」を重点的に確認してください。
最終的に内定を出しても辞退されてしまって採用につながっていないケースが多ければ、「内定・入社における課題(No.22~25)」をチェックしましょう。
採用した人材がすぐに辞めてしまう、なかなか思ったように活躍しない、など入社後に問題があるのなら、「定着・活躍における課題(No.26~29)」も確認してみてください。
人事・採用担当の負荷の増大
人材獲得競争が激化して採用担当に求められる役割が増えている中、それに十分対応できるだけの担当者をアサインできている企業は多くありません。特にほとんどの中小企業では、他の人事業務と採用活動を並行して進めなければならない状況となっています。そうして採用担当者の余裕がなくなると、目の前の対応に追われて採用計画を考えられなくなったり、候補者への対応が遅く・雑になって心象を損ねたり、負のスパイラルに突入してしまいます。
【チェックしたい課題】
担当者が忙しすぎて採用が回らないと感じている場合は、「組織・体制における課題(No.30~35)」を重点的に確認してください。
採用戦略・計画における課題
多くの企業が、そもそも採用活動の出発点である戦略・計画の段階でつまづいています。この段階における課題は、採用活動全体に影響を与えますので、特に注意が必要です。
【1】採用計画を立てられていない
事業計画と採用計画が分離し、「欠員が出たから補充する」という場当たり的な採用に陥ってしまう。これは、多くの企業で見られる最初の課題です。なぜなら、採用の目的が「欠員の穴埋め」という短期的な視点に終始し、「入社後の活躍」という本来のゴールを見失ってしまうからです。これでは採用が常に後手に回り、事業成長のボトルネックになるだけでなく、必要な予算の確保や現実的なスケジュール設定も困難になります。
【解決のポイント】
重要なのは、採用を「事業計画を実現するための手段」と位置づけることです。経営層や事業責任者を巻き込み、「中途採用で事業にどのような貢献を期待するのか」という採用のありたい姿を定義しましょう。そこから逆算し、「いつまでに、どんな能力・価値観を持つ人材が、何名必要か」を盛り込んだ採用計画に落とし込むことが不可欠です。
採用計画の立て方(テンプレート有)内容、ポイント、新卒と中途の違いを解説
https://www.spi.recruit.co.jp/spi3news/000470.html
【2】適切な目標を立てられていない
採用計画と合わせて陥りがちなのが、目標設定に関する課題です。採用人数という最終ゴールだけを追いかけ、その目標が非現実的であったり、達成に向けた段階的な指標が抜け落ちているケースが見られます。また、採用人数の目標は達成できていても、入社後の定着・活躍につながっていなければ本末転倒です。
【解決のポイント】
採用の目標は、量と質の両面から設定することが重要です。量の観点では、採用人数というKGIだけでなく、過去のデータから推測して応募数や内定承諾率といったKPIも設定しましょう。そして「選考の通過率(マッチ度)」「入社後の満足度・定着率」「配属先での評価」といった、質の観点での目標も忘れずに立てましょう。
【3】ターゲットを明確にできていない
「どんな人を採用したいか」というターゲットの解像度によって、採用活動の成否は大きく左右されます。ターゲットの定義が曖昧なまま進めてしまうと、採用チャネルの選定や求人の作成、選考における見極めなど、様々な観点で判断の軸にできるものがなく、上手くいかない状態につながりやすくなります。
【解決のポイント】
現場へのヒアリングなどによって活躍している社員の特性を分析し、その内容をターゲットの人物像の土台としましょう。業務経験や資格などのスキル要件だけでなく、「転職に何を求めているか」「現職の何に不満を感じているか」といった価値観についても現場へのヒアリングや過去の応募者をもとに定義することが重要です。
【4】自社の価値を整理できていない
候補者から「この会社で働きたい」と思ってもらうために不可欠な、自社ならではの魅力が言語化・整理できていないのも、よくある課題と言えます。給与や福利厚生といった表面的な価値だけでなく、社員の「働きがい」につながる価値を伝えられないと、他社との差別化が図れず、候補者の心を動かすことはできません。
【解決のポイント】
社員へのアンケートやインタビューを実施し、自社に応募した理由・入社の決め手や、仕事へのやりがい、会社に愛着を感じる理由を特定しましょう。その中から、特にターゲット人材に響く要素を抽出し、採用活動全体で一貫して伝えるべきメッセージとして整理することが有効です。
【5】採用市場や競合他社を分析できていない
外部環境の分析を怠ることは、いわば地図を持たずに航海に出るようなものです。市場の需要と供給を無視していると、非現実的な採用活動につながります。ほとんどの場合、候補者は相対的に見て魅力的な企業を選ぶため、比較対象となる他社を知らないと、選ばれる確率としては低くなってしまいます。
【解決のポイント】
各種調査レポートや転職サイトのデータに加え、人材紹介会社からの情報も活用し、マクロな市場動向を把握しましょう。競合企業の求人情報や採用サイト、オウンドメディア・SNS等での発信内容を定期的にチェックし、自社の訴求方法を相対的に見直す視点も重要です。
【6】振り返りができていない
採用活動が「やりっぱなし」で、成果やプロセスを振り返ることができていないケースも多いです。過去の失敗から学ぶことができないと、同じ過ちを繰り返してしまいます。また、採用ノウハウが組織に蓄積されず、活動が常に属人的になるため、採用の精度や効率がいつまでも向上しません。
【解決のポイント】
採用活動をデータで振り返る仕組みを構築しましょう。設定したKPIに基づき、「計画と結果の差はどこで生まれたか」「どのチャネルが最も有効か」「問題が起きているのはどの段階か」などを分析します。中途採用は新卒採用と違って決まったスケジュールがないため、定期的な振り返りのタイミングを意識的に用意する必要があります。
募集・母集団形成における課題
十分な数の応募が集まらない、要件にマッチした候補者が少ない、といった悩みも多くの企業で見られます。そうなってしまう要因には、どのような課題があるのでしょうか。
【7】人材要件を具体的に設計できていない
自社が求めるスキルや価値観とは異なる候補者からの応募が多い、あるいは有望な人材から見過ごされてしまう。こうした問題の根源には、人材に求める要件が具体的に設計できていないという課題があります。人材要件があいまいだと、母集団形成の狙いも甘くなってしまいますし、候補者も自身がそのポジションで活躍できるか判断できません。
【解決のポイント】
現場の責任者と協力し、単なるスキルや経験の羅列ではなく、「入社後どのような業務で、どんな成果を出すことを期待するのか」を具体的に言語化しましょう。ハイパフォーマーの行動特性(コンピテンシー)を分析して要件に反映することが、活躍人材の採用につながります。
人材要件の入門ガイド 目的から項目・フレームワーク・設計方法まで総まとめ
https://www.spi.recruit.co.jp/spi3news/000542.html
【8】魅力的な求人を作成できていない
数多くの求人情報の中から、候補者が思わず興味を惹かれるような求人を作成できていないと、応募にはつながりません。自社が伝えたい情報だけを記載した求人票では、その会社で働く意味や価値が伝わらず、見過ごされてしまいます。
【解決のポイント】
採用のターゲットとする候補者が「何に魅力を感じるか」を第一に考えましょう。仕事のやりがいや得られる成長機会など、整理した自社の魅力を候補者が得られる価値として表現することが重要です。一方的にアピールするのではなく、候補者の疑問やニーズに答える内容を意識しましょう。
採用広告を活用するコツは? 応募率を高める求人広告の作り方・選び方
https://www.spi.recruit.co.jp/spi3news/000266.html
【9】市場環境に見合った待遇を提示できていない
どれだけ事業や仕事の魅力を伝えても、待遇が他社に大きく劣っている場合、候補者は応募を踏みとどまってしまう可能性が高いです。「自社ではこれくらいに決まっている」「そういうものだから仕方ない」と思って待遇面を見過ごしていることが、応募が集まらない最大の要因になっているかもしれません。
【解決のポイント】
まず、転職サイトのデータや人材紹介会社からの情報をもとに、採用したいポジションの「給与相場」を把握することが重要です。その上で、必要に応じて経営層とも交渉して、採用市場での競争力を維持するための待遇・条件を検討します。むやみに高い金額を提示する必要はありませんが、相場から大きく乖離していないかは確認するようにしましょう。
【10】有効な採用チャネルを選べていない
転職サイトやエージェントに「ただ求人を出しているだけ」になっているのも、応募が集まらない要因となる課題です。そのチャネルでは自社がターゲットとする人材と出会える可能性が低いのに求人を出し続けていると、どんどん採用活動の予算がムダになってしまいます。
【解決のポイント】
過去にどのチャネルからどれくらい応募があったのか、どのチャネル経由で採用した人材が活躍しているのかを分析しましょう。その上で、各チャネルの特性(得意な職種・料金体系など)を比較検討し、自社の予算や目的に合わせて最適な組み合わせを考えることが重要です。
【11】ダイレクトリクルーティングを活用できていない
企業から候補者に直接するダイレクトリクルーティングは、自社の採用ターゲットに対して効率的にアプローチできる手段です。しかし、テンプレ通りのスカウトメールを送るだけでは、他社からの大量のスカウトに埋もれてしまいます。その結果、採用担当者の工数をかけても応募につながらず、費用対効果が悪化します。
【解決のポイント】
候補者のプロフィールを丁寧に読み込み、「なぜ、あなたの経験や価値観に魅力を感じたのか」を具体的に伝える個別性の高いスカウト文面を作成しましょう。そのためにはダイレクトリクルーティングを片手間でやるのではなく、採用担当者の工数をしっかりと確保しておく必要があります。
採用手法の一つ「ダイレクトリクルーティング」とは?メリットや採用力を高めるポイントを紹介
https://www.spi.recruit.co.jp/spi3news/000521.html
【12】リファラルやアルムナイ採用を活用できていない
社員の紹介(リファラル)や元社員の再雇用(アルムナイ)は、上手く機能すれば採用コストを抑えつつ、自社への理解度が高い人材を獲得できる、非常に費用対効果の高い手法です。企業によって相性はありますが、そもそも検討すらしていない場合、外部サービスに依存した採用活動から抜け出す貴重な機会を逃していると言えるでしょう。
【解決のポイント】
リファラル採用は、社員に紹介を依頼するだけでなく、インセンティブ制度や紹介手順を明確に整備することが成功の鍵です。アルムナイ採用は、退職者との良好な関係を維持するための定期的な情報発信や、専用のネットワークを構築することから始めましょう。
リファラル(社員紹介)採用とは?メリット・デメリットを紹介
https://www.spi.recruit.co.jp/spi3news/000276.html
【13】応募のハードルを下げられていない
まだ転職を具体的に考えていない優秀な潜在層にとって、履歴書・職務経歴書を準備して臨む正式な「応募」は、心理的なハードルが高いものです。しかし、企業との接点がその「応募」しかない場合、彼らは情報収集の段階で離脱してしまいます。これにより、水面下で転職を検討している層との貴重な出会いの機会を逃しています。
【解決のポイント】
選考を前提としない「カジュアル面談」や、会社説明会、ミートアップイベントなどを設け、応募の前に気軽に企業と接点を持てる機会を作りましょう。まずは会社のことを知ってもらうというスタンスで間口を広げることが、将来の応募者候補を育てることにつながります。
【14】採用広報ができていない
求人媒体に情報を掲載するだけで、自社の魅力や文化を積極的に発信する「採用広報」の視点が欠けている企業は少なくありません。候補者は応募前に企業の情報を収集するため、情報発信が不足していると、いつまでも自社の認知度が上がらず、母集団形成に苦戦し続けます。
【解決のポイント】
オウンドメディア(採用ブログ)やSNSなどを活用し、社員インタビューや社内イベントの様子、企業文化といった「求人票だけでは伝わらない生の情報」を発信しましょう。重要なのは、一度きりで終わらせず、継続的に発信できる体制作りです。担当者を決め、定期的な情報発信を仕組み化することが、将来的な母集団形成へとつながっていきます。
【15】採用サイトを整備できていない
求人やスカウトで候補者の興味を惹いても、その「受け皿」となる採用サイトに情報が少なかったり、内容が古かったりすると、せっかく高まった候補者の応募意欲も削がれてしまいます。採用サイトの整備に手を抜いていることで、非常に費用対効果の高い「採用サイトからの直接応募」を逃している可能性もあります。
【解決のポイント】
採用サイトでは、候補者が必要とする情報を網羅し、求人やスカウトの内容よりも詳しい情報を伝えられるようにしましょう。採用プロセスのどのタイミングで、どんな候補者が訪れても、求める情報にスムーズに辿りつけるような導線の設計も重要です。
選考における課題
選考の課題は、「見極め」「動機づけ」「候補者体験」の3つに集約されます。それぞれに関する課題を、より詳しく見ていきましょう。
【16】選考プロセスを設計できていない
選考の内容や回数を決めずに、場当たり的に実施していると、候補者とのマッチングを十分に見極めきれず判断に迷ったり、余計に選考が長引いて候補者に辞退されてしまうリスクが高まります。一方で、選考プロセスを完全に画一化すれば良いわけでもなく、候補者の状況に合わせられる柔軟性も必要です。
【解決のポイント】
「一次面接では何を見るか」「二次面接では誰が何を確認するか」といった各段階の目的を明確にして、職種やポジションごとに標準的な内容と回数を決めましょう。さらに「〇〇が不安な候補者の場合は追加で面接をする」「この選考は見込みが高い候補者には実施しなくてOK」といったように調整のパターンも考えておけると理想的です。
採用フローの見直しで採用成功の確率が上がる?一般的な流れとは
https://www.spi.recruit.co.jp/spi3news/000263.html
【17】選考担当者の認識を揃えられていない
選考を担当する社員の主観や経験則に頼った評価が行われ、人によって評価の基準がバラバラになってしまうのは、選考でよくある課題です。これでは、本当は採用すべき優秀な人材を見送ってしまったり、逆に自社に合わない人材を通過させてしまったりと、見極めの精度が安定せず、採用のミスマッチを引き起こします。
【解決のポイント】
設定した「ターゲット」や「人材要件」に基づき、具体的な評価項目と基準を社内で議論し、明文化して共有しましょう。そのポジションに求められる能力・経験だけでなく、会社全体で共通するカルチャーフィットに関する基準も検討することが重要です。あらかじめ選考を担当する社員の中で目線を合わせておけると、評価のブレを最小限に抑えられます。
採用基準の決め方とは?正しく設定して活躍する人材を採用しよう
https://www.spi.recruit.co.jp/spi3news/000258.html
【18】見極めの質問ができていない
面接で「長所・短所」といった定番の質問に終始し、候補者の本質的な能力や人柄を深掘りできていないのも大きな問題です。表面的な回答しか引き出せず、入社後に「こんなはずではなかった」というギャップが生じる原因となります。
【解決のポイント】
まずは事前に候補者の情報を読み込んで、「何を見極めたいか」を明確にしてから面接に臨むことが重要です。行動面接の手法を取り入れて、「過去の困難をどう乗り越えましたか?」など、具体的なエピソードを深掘りすることで、候補者の思考のクセや行動様式、ストレス耐性などを見極めるのも有効です。
中途採用の面接で使える質問例を紹介!採用担当者の役割や見極めるポイントについても解説
https://www.spi.recruit.co.jp/spi3news/000525.html
【19】動機づけができていない
面接を企業が候補者を一方的に評価する場としか捉えていないと、入社意欲を高めるための重要な機会を逃してしまいます。多くの候補者は複数の企業を同時に比較検討しているため、面接で自社の魅力を伝えられなかったり、不安や疑問を解消できていないと、結果として他社に惹かれてしまい、選考辞退や内定辞退につながります。
【解決のポイント】
面接は「相互理解の場」と位置づけましょう。企業側から一方的に質問するだけでなく、候補者の質問に真摯に答え、仕事のやりがいやキャリアパス、チームの雰囲気などを具体的に伝える時間を確保します。冒頭に会社説明の時間を用意するもの良いでしょう。
【20】応募者の管理ができていない
Excelやスプレッドシートでの応募者管理に限界が来ると、連絡の遅れや対応漏れが発生しやすくなります。こうした不手際は、候補者の不信感を生み選考辞退に繋がるだけでなく、採用担当者の業務負荷を無駄に増大させる原因にもなります。
【解決のポイント】
ATS(採用管理システム)の導入を検討しましょう。応募者情報の一元管理や、選考進捗の可視化、面接日程の自動調整などが可能になり、採用業務を大幅に効率化できます。これにより、担当者は候補者とのコミュニケーションなど、より本質的な業務に集中できます。
【21】面接官のトレーニングができていない
現場のマネージャーや社員に面接を依頼するだけで、面接官としてのトレーニングを実施できていない企業は少なくありません。そうすると面接の内容や品質が個人の能力に依存してしまい、評価のブレや候補者への不適切な対応を引き起こすリスクがあります。
【解決のポイント】
外部の研修サービスなども用いて、面接官トレーニングを実施しましょう。自社の評価基準の共有、NG質問の周知、候補者の本音を引き出す質問方法の練習などを行います。模擬面接や、良い面接官の評価を共有することも効果的です。
内定・入社における課題
募集と選考を経て、ようやく内定を出しても、入社に至らなければ採用活動は成功ではありません。このフェーズでのコミュニケーションが、候補者の最終的な意思決定を大きく左右します。
【22】オファー面談を実施できていない
内定通知という重要な局面で、メールや電話だけで済ませてしまい、候補者の背中を押す「オファー面談」ができていないのは問題です。候補者が抱える最後の不安や疑問を解消する機会を逃してしまいます。その結果、候補者は懸念を抱えたまま他社と比較し、内定辞退を決断する可能性が高まります。
【解決のポイント】
必ずオファー面談の機会を設けて、改めて条件を提示するだけでなく、候補者の意思確認や懸念点のヒアリングを行いましょう。入社後に関する候補者からの質問に答えたり、配属予定の上長から期待を伝えたりするなど、最後の一押しとなるコミュニケーションが重要です。
【23】内定者の不安をフォローできていない
内定を承諾してから入社日までの期間、候補者へのフォローが何もできていないと、「本当にこの会社でよかったのか」という不安を増大させてしまいます。この期間に他社からより良い条件のオファーがあれば、気持ちが揺らいでしまう可能性も十分にあります。
【解決のポイント】
定期的な連絡はもちろん、懇親会や現場社員とのカジュアルな面談、社内イベントへの招待など、入社前に会社との接点を作りましょう。会社の雰囲気を感じてもらい、一足先に人間関係を築くことで、入社への期待感を高め、不安を和らげることができます。
【24】辞退の理由を把握できていない
候補者から内定辞退の連絡があった際に、その理由を深くヒアリングできていないというのも見過ごせない課題です。「本人の都合」や「縁がなかった」で片付けてしまうと、自社の採用活動における根本的な課題に気づくことができません。同じ理由での辞退が繰り返されてしまいます。
【解決のポイント】
辞退者には、可能であれば電話などで丁寧に理由をヒアリングしましょう。「他社のどこに魅力を感じたか」「自社の選考のどこに懸念があったか」などを聞くことで、自社の弱みや改善点が見えてきます。そのデータを蓄積・分析し、次の採用戦略に活かすことが重要です。
【25】入社の手続きが円滑にできていない
入社に必要な書類の案内が遅れたり、手続きが複雑で分かりにくかったりと、入社時の事務手続きがスムーズに行えていないのも問題です。入社直後の体験は、会社への第一印象を決定づけるため、ここでの不手際は入社したばかりの社員のエンゲージメントを低下させる原因となります。
【解決のポイント】
入社手続きに必要な書類や手順をリスト化し、事前に分かりやすく案内しましょう。近年は、労務管理ツールを導入し、手続きをオンラインで完結させる企業も増えています。社員の負担を減らし、歓迎の意を示すことが大切です。
定着・活躍における課題
採用は、候補者が入社したら終わりではありません。採用した人材が組織に定着し、早期に能力を発揮して活躍することで、初めて採用は「成功」したと言えます。
【26】現場の意見を採用に取り入れられていない
人事と現場の間で認識のズレが生じ、実際に中途入社者を受け入れる現場の意見が、採用基準に反映されていないことがあります。これにより、「人事が採用した人は、現場が求めているスキルとズレている」といったミスマッチが生じ、現場の不満や、採用された人材の孤立に繋がります。
【解決のポイント】
採用計画の初期段階から、現場の責任者やキーマンを巻き込みましょう。求める人物像のすり合わせだけでなく、選考プロセスにも積極的に関わってもらうことで、当事者意識が芽生え、採用と現場の連携がスムーズになります。
【27】受け入れ・オンボーディングの体制を整えられていない
中途入社者に対し、入社後の教育やサポートを本人任せ・現場任せにしてしまい、組織として体系的な受け入れ(オンボーディング)ができていないという大きな課題があります。これにより、新入社員は企業文化や独自のルールに馴染めず、本来のパフォーマンスを発揮するまでに時間がかかったり、孤独感から早期離職に至ったりするケースが多くなります。
【解決のポイント】
入社初日から数ヶ月間のオンボーディングプログラムを設計しましょう。会社の理念共有、各部署の役割紹介、業務に必要なツールの研修、1on1ミーティングの設定、メンター制度の導入などが有効です。組織全体で新入社員を歓迎し、支える体制を構築することが重要です。
オンボーディングとは?メリットや具体的な施策を事例とともに解説
https://www.spi.recruit.co.jp/spi3news/000285.html
【28】期待値調整・ギャップの防止ができていない
採用選考の段階で、企業の魅力や仕事の良い側面ばかりを伝え、厳しい面や泥臭い業務について十分に説明できていないケースが見られます。これにより、入社後に「こんなはずではなかった」というリアリティショックが生まれ、モチベーションの低下や早期離職の直接的な原因となります。
【解決のポイント】
RJP(Realistic Job Preview:現実的な仕事情報の事前開示)を取り入れましょう。良い面だけでなく、仕事の厳しい側面や現在の組織課題なども、選考段階で正直に伝えることが重要です。誠実な情報開示が、候補者の適切な意思決定を促し、入社後のギャップを防ぎます。
【29】早期離職の原因を分析できていない
中途入社者が早期に離職してしまった際に、その根本的な原因を分析できていないまま放置してしまうと、組織や採用プロセスに潜む問題点を見過ごすことになります。「本人の問題」として片付けてしまうと、同じ原因での離職が繰り返され、採用コストが無駄になるだけでなく、社内の士気低下にも繋がります。
【解決のポイント】
退職時には、可能な限り正直な退職理由をヒアリングする「退職者面談(エグジットインタビュー)」を実施しましょう。オンボーディングの課題、人間関係、業務内容、キャリアパスなど、多角的に原因を探り、その分析結果を採用活動や受け入れ体制の改善にフィードバックすることが不可欠です。
組織・体制における課題
個別の採用プロセスだけでなく、採用活動全体を支える組織や仕組みそのものに課題が潜んでいるケースも少なくありません。これらの課題は、採用活動の効率性や持続可能性に大きく影響します。
【30】採用の効率化・負荷軽減ができていない
「採用担当者が多忙を極めて疲弊している」という悩みは、採用業務の効率化ができていない典型的な兆候と言えるでしょう。担当者が日程調整やデータ入力といったノンコア業務に時間を費やしていると、本来注力すべき戦略策定や候補者とのコミュニケーションといったコア業務に時間を割けなくなってしまいます。
【解決のポイント】
まずは、現在の採用業務をすべて洗い出し、「なくせる業務」「自動化できる業務」「人にしかできない業務」に分類しましょう。日程調整ツールの導入や、ATS(採用管理システム)の活用によってノンコア業務を削減し、コア業務に集中できる環境を整えることが重要です。
採用業務を効率化するには?成果を落とさず採用工数を削減する方法を解説
https://www.spi.recruit.co.jp/spi3news/000533.html
【31】データにもとづく意思決定ができていない
「これまでこうだったから」「なんとなく応募が少ない気がする」といった、勘・経験・度胸(KKD)に頼った採用活動では、課題の真の原因を特定できません。打ち手も主観的になり、施策の効果測定もできないため、採用活動が改善されず、成功の再現性も生まれないでしょう。
【解決のポイント】
採用目標(KPI)を基点に、データを収集・分析する文化を醸成しましょう。「どのチャネルからの応募者が最も採用に繋がっているか」「選考のどのフェーズで離脱率が高いか」などを可視化することで、客観的な根拠に基づいた意思決定と、効果的な改善アクションが可能になります。
【32】経営陣や現場社員を巻き込めていない
採用活動が人事部門だけの「孤独な戦い」になってしまい、経営陣や現場の社員を十分に巻き込めていないことがあります。これにより、現場からの協力が得られず選考が滞ったり、経営層の理解不足から採用予算が削減されたりします。結果として、採用は「全社で取り組むべき重要課題」ではなく、「人事の仕事」という認識が広まり、会社の採用力そのものが低下してしまいます。
【解決のポイント】
採用活動の進捗や成果を、定期的に経営層や全社に共有しましょう。特に、採用が事業にどう貢献しているかをデータで示すことが重要です。現場社員には面接官やリファラル採用の協力者として積極的に関わってもらい、採用を「自分ごと」として捉えてもらう文化を醸成します。
【33】社内での人材配置を検討できていない
ポジションに空きが出た際、すぐに外部採用に動いてしまい、社内の人材を育成・登用する可能性を十分に検討できていないケースです。これは、成長機会を求める既存社員の意欲を削ぎ、エンゲージメントの低下や離職を招く一因となります。社内に適任者がいたにも関わらず、不要な採用コストと外部人材のカルチャーフィットというリスクを負うことにも繋がります。
【解決のポイント】
社内公募制度を設けるなど、社員が自律的にキャリアを築ける仕組みを整備しましょう。また、「社内に必要なスキルを持つ人材はいないか」「育成すれば担える人材はいないか」を、外部募集の前に必ず検討するプロセスを定着させることが、社員の成長と組織の活性化につながります。これから採用する人材についても、入社後にキャリアチェンジする可能性を考慮しておきましょう。
【34】ツールを活用できていない
ATS(採用管理システム)やWeb面接ツールなどを導入したものの、その機能を十分に使いこなせていないという課題も散見されます。多機能なツールを導入しても、結局は一部の機能しか使えていなければ、投資対効果が得られていません。また、ツールが連携されておらず、かえってデータの二重入力など非効率な業務が発生しているケースもあります。
【解決のポイント】
まずは自社の採用課題を明確にし、「その課題を解決するために、どんな機能が必要か」という視点でツールを選定・見直しすることが重要です。導入後は、社内での活用ルールを定めて関係者への説明会を開くなど、利用を促進する働きかけが不可欠です。
【35】パートナーを活用できていない
人材紹介会社(エージェント)や採用代行(RPO)といった、外部のパートナーとの連携が上手くいっていないという課題も挙げられます。採用活動のすべてを自社で何とかしようとすると、必要以上に採用担当者が疲弊してしまいます。また単なる「外注先」として扱っていて、パートナーが持つ専門的な知見やノウハウを引き出せていないケースもあるでしょう。
【解決のポイント】
パートナーを「採用チームの一員」と捉え、密な情報共有を行いましょう。採用の背景やターゲット、自社の強みや魅力を丁寧に伝えることで、パートナーの動きの精度は上がります。定期的なミーティングで、成果や課題を共有し、二人三脚で採用成功を目指す関係性を築くことが大切です。
まとめ
中途採用における課題は、本記事で見てきたように、戦略から募集、選考、定着、そして組織体制に至るまで、あらゆる領域に存在し、それらは複雑に絡み合っています。
重要なのは、まず自社の課題が「どこに」「なぜ」存在するのかを、本記事を参考にしながら正確に診断することです。そして、すべての課題を一度に解決しようとするのではなく、最もインパクトの大きい課題から優先順位をつけて、一つひとつ着実に対策を講じていくことが、採用成功への唯一の道と言えます。
本記事が、採用活動を前進させるための一助となれば幸いです。
中途採用でも活用できるSPI3
リクルートマネジメントソリューションズの適性検査「SPI3」は新卒採用のイメージが強いかもしれませんが、実は中途採用においても多くの企業様に活用されています。
選考における見極めはもちろん、人材要件の設計や、採用業務の効率化・負荷軽減、入社後のオンボーディングなど、中途採用の様々な場面における課題解決の助けとなります。
ぜひ中途採用にも、適性検査SPI3をご活用ください。
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