お役立ちコラム

ジョブ型雇用とは?
重要性と採用のポイント、見極め方を専門家が解説

2022年12月22日
  • 採用のノウハウ

日本の企業では、長年、担当職種を決めない採用を実施し、実務にあたってから適職を見極めていくメンバーシップ雇用を取り入れていました。しかし近年では、メンバーシップ雇用を起因とした生産性の低下などが課題となっており、職務内容などに合わせて人材を採用する、欧米では主流のジョブ型雇用が注目されています。
しかし、雇用方法を切り替えたからといって、必ずしも即効的に採用の課題が解決するわけではありません。ジョブ型雇用を意義あるものにするには、採用のポイントを押さえた人材の見極めと、適切な動機づけがとても重要です。
本記事では、ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用の違いや、ジョブ型雇用が注目される理由を解説。また、リクルートマネジメントソリューションズの採用での事例を、人事担当者へのインタビューを交えて紹介します。中途採用でのジョブ型雇用に欠かせない、職務内容を踏まえた人材の見極めと動機づけを行う際のポイントについて伺いました。

ジョブ型雇用とは、職務内容などにマッチした人材を採用する雇用方法のこと

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ジョブ型雇用は、企業の中で必要な職務内容に対して、その職務に適したスキルや経験を持った人を採用する雇用方法のことです。採用後に、別部署や別職種にキャリアチェンジすることは基本的にありません。
日本ではまだ一般的ではありませんが、実は欧米では、ジョブ型雇用がスタンダードです。近年、日本でも大手企業を中心にジョブ型雇用にシフトする企業が増えたことから、厚生労働省もルール整備に乗り出しました。雇用慣行を見直し、多様な働き方のニーズに応える仕組みとして、少しずつジョブ型雇用の認知が広がりつつあります。


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ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用の違い

 ジョブ型雇用に対して、従来の日本の雇用方法をメンバーシップ型雇用といいます。
メンバーシップ型雇用は、採用後の職務内容を限定せずに新卒者を一括雇用した後、長期的に育成、経験を積ませる雇用方法です。「新卒一括採用」「終身雇用」と合わせて、日本独自の採用・雇用の特徴とされ、ジョブ型雇用と対比されることがあります。従業員は定期的に部署やポジションを異動し、さまざまな業務を経験しながら幅広い知識を習得するのが特徴です。

■ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用の特徴

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ジョブ型雇用が注目される理由

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日本でジョブ型雇用が注目されるようになった理由には何があるのでしょうか。4つにまとめました。

●国際競争力の低下

日本は全般的に国際競争力が低下しているといわれ、その原因のひとつにメンバーシップ型雇用があるのではと考えられています。新卒一括採用で万能型人材を育てるメンバーシップ型雇用は、専門職の育成には適していません。IT化が進む中で国際競争力を高めるために、特に専門的な分野ではジョブ型雇用で専門性の高い人材を採用する必要があります。

●日本経済団体連合会(経団連)の指針

ジョブ型雇用が注目されるようになった理由のひとつに、日本経済団体連合会(経団連)の指針があります。
2018年から2019年にかけて、経団連の第5代会長だった中西宏明氏がメンバーシップ型雇用の限界を唱えました。そして、2020年に「2022年版 経営労働政策特別委員会報告」でジョブ型雇用の導入が提案されたことによって、主に大手企業がジョブ型雇用を検討するきっかけになったといわれています。

●レワークの浸透に対応するため

ジョブ型雇用が注目されるようになった理由として、一般的になったテレワークによる働き方に対応できることも考えられます。
コロナ禍を起因としてテレワークが一般化すると、同じ職場で顔を合わせ、定義が曖昧な業務でも声を掛け合いながら取り組むという仕事の進め方は成立しません。個人が自律的に働き、成果を挙げられるようにするためには、各自が取り組むテーマや業務内容を明確にしたいというニーズが生まれます。ジョブ型雇用であれば業務内容を明確にするというニーズに応えられるため、注目されるようになったと考えられます。

 

中途採用で適切なジョブ型採用を行うには?

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ここからは、中途採用で職務を踏まえた見極め・動機づけを行う際のポイントについて、リクルートマネジメントソリューションズで人事企画・人材開発などに従事している山口東人に話を聞きました。

 

――リクルートマネジメントソリューションズの中途採用の状況について教えてください。

山口:
時期によって増減はあるものの、この1年程は活況で、平均して20ポジション前後の募集をしています。カテゴリーを大きく分けると、「営業」「事業部門やコーポレート部門のスタッフ」「エンジニア」の3つです。

 

――同じ職種でも、担当する領域によって職務内容や必要なスキル、専門性が異なりそうですね。

山口:
例えば営業とひと口にいっても、扱う商品やサービスが違えば、仕事の進め方なども異なります。
「リクルートマネジメントソリューションズの営業」という大きなくくりで求人を出すと、実際に行う業務とのミスマッチが起きてしまう可能性もありますので、採用広報の際には「より正確に、具体的な情報を出すこと」を重視しています。営業ならどのような商材を扱うのか、どういった経験やスキルが役立つのかといったことです。
併せて、業界の専門用語や社内用語もできるだけ一般的な言葉に変換して、わかりやすく伝えることも意識しています。

 

――職務内容に魅力を感じてもらうためにも、具体性は重要ですね。

山口:
そうですね。ですので、求人原稿の草稿や紹介会社に出す要件などは、基本的に人材を求めている現場の社員に書いていただいて、それを私たちがある程度統一された形に整えるようにしています。現場の社員が手掛けるほうが、リアルな魅力がより具体的に伝わると考えています。

 

――求人を精査することで人材はある程度絞り込まれるわけですが、面接の現場で見極めや動機づけを行う際にはどのようなことに気を配っていますか。

山口:
まず見極めにおいては、スキルのスペックに注目しすぎて潜在的な資質を見落とすことがないよう、実際に現場で活躍している人のSPI(リクルートマネジメントソリューションズの適性検査SPI3)の結果から、見るべきポイントを抽出して見極めに活用しています。
例えば「スキルベースで多少の不足があっても、数字で物事を考えるのが好きで、ロジカルな志向ができる」といったことがわかっていれば、入社後に伸ばせる部分が明確です。専門性が高い職務でも必要なスキルだけに目を向けることなく、必要な人材になりえるか、その人材の本質を見極めることが可能になります。

 

――チェックするポイントを事前に整理しておくわけですね。

山口:
面接を実施する現場マネージャーからは、担当する職務についても事前に整理し、SPIの結果のどこに注目すべきかを想定してから面接に臨んでいると聞いています。例えば望む人材が「一人で数字に向き合って成果を出せる人」と、「チームワークを重視して成果を出せる人」とでは、面接で深掘りするポイントが異なってくるからです。
そうやってSPIを活用して準備をしておくと、内定後に「なぜ自分を採用したのか」と聞かれた際に説得力ある答えを返して、入社への動機づけをすることができます。

 

――「聞く」だけでなく「答える」準備も必要ということでしょうか。

山口:
面接は、企業と候補者、双方が思いや考えをすり合わせる場だと思っています。ですから、職務のやりがいや今後の事業テーマ、部署に期待されていることなど、入社後の未来に関するご質問には必ず何らかの答えをお返しすることが大切です。ここも、面接を実施する現場のマネージャーに聞くと、SPIの組織適応性を確認した上で、「このような情報をお伝えしようかな」などと想定して面接に臨んでいるそうです。

 

――では、晴れて入社に至った後のオンボーディングについては、どんな工夫をしていますか。

山口:
入社から1年間、2つのオンボーディング施策を行っています。ひとつは、弊社のビジョン・ミッションの理解も絡めながら同期とのつながりを深めてもらうためのグループワーク研修。もうひとつは、人事との個人面談です。
特に最近では、リモートワークが主流になったことでつながりが希薄にならないよう、バーチャルオフィスなどの取り組みも実施しました。とはいえ、当社はどの事業部も受け入れマインドがとても高いので、リモートになっても特に支障なく組織になじんでいく方が多い印象です。

 

――同期や会社とのつながりを意識するというのがポイントになりますね。

山口:
事業部での丁寧な受け入れやオンボーディングの実施もあってか、当社は中途でも同期の結びつきが強く、お互いに支え合っています。採用時のマッチ度ももちろん重要ですが、長く活躍ただきたいので、そうした関係づくりはとても重要です。当社の場合、特定の職種で採用しても本人のご希望があれば異動も可能ですし、長期的な目線でのフィット感もしっかり見ていきたいと思っています。
ぜひ、中途採用を行う際にSPIを活用いただき、採用やオンボーディングを強化される際の参考になればと思います。

 

<プロフィール>

77_img_04.jpg 山口 東人(やまぐち・はるひと)
株式会社リクルートマネジメントソリューションズ 経営企画部人事グループ 所属。
リクルートグループに新卒入社後、営業・人事・内部監査・内部統制・広報などを 経て、2021年に同社へ。
現在は中途採用を中心に、人事企画・人材開発などに従事している。

 

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