岩手県大船渡市

- 従業員数:
- 388名(2025年4月時点)
- 業種:
- 官公庁
- 課題:
- 初期選考
- 面接
- 内定者フォロー
- 採用振り返り
適性検査SPI3導入事例
採用だけではなく、SPI3を全職員が受検
一人ひとりの力を生かす人物理解ツールとして活用

大卒応募者の減少に課題。周囲とコミュニケーションを取りながら仕事を進める力も確認したい
働きやすい職場を目指し、マネジメントや日々の業務場面においても「自己理解・他者理解」が重要だと考えた
職員採用の第1次試験にSPI3テストセンターを導入。面接では、報告書をもとに応募者の特性を理解
全職員がSPI3の性格検査を受検。結果は全員に返却。幅広い場面で活用
管理職の部下理解を支援するため、SPI3 for Employeesも段階的に導入
応募者数が約3倍に増加。面接の質が向上し、採用の公平性も高まった
管理職・職員双方からSPI3の報告書により「自己理解が深まった」「仕事を進めるうえでの安心感につながった」という声

岩手県大船渡市は、岩手県の沿岸南部に位置する人口約3万人の町です。私は平成17年に入庁し、令和3年度から総務課で採用担当を務めています。
私たちが職員採用にSPI3を初めて導入したのは、私が担当になる前の令和元年度です。当時、大卒応募者数の減少が課題となっていました。平成30年度には、応募者を増やすために採用試験の回数を従来の年1回から、前期・後期の年2回に増やしましたが、大きな効果はありませんでした。そこで前任者が、民間企業や青森県黒石市などのSPI3導入事例を参考にし、応募者数の改善に向けて職員採用の第1次試験にSPI3を導入しました。
ちょうどその頃に庁内で、「公務でも民間企業でも、仕事を進めるうえで求められる素養はそれほど違わないのではないか」という認識が広がりつつあり、そのこともSPI3導入の後押しになりました。実際の業務においては、知識だけではなく、周囲とコミュニケーションを取りながら仕事を進める力が重要です。民間企業で広く使われているSPI3なら、そうした力を測れる――そう考えたのです。
※青森県黒石市の導入事例:https://www.spi.recruit.co.jp/spi3/case/000368.html

SPI3を導入した結果、一般事務職員採用の大卒応募者は大幅に増えました。応募者数減少に悩んでいた平成30年度と比べて、約3倍の応募者を確保できるようになりました。また、応募者が増えただけでなく、面接の質の向上にもつながっています。
導入以前の面接では、面接官が自身の感覚を大切にしながら質問を重ねていました。経験豊富な面接官であれば柔軟に対応できる一方で、質問が一定のパターンになり、応募者の特性を十分に引き出せない場面もありました。特に面接経験の浅い面接官からは、どの観点から深掘りをすればよいか迷う、という声も上がっていました。
導入後は、面接前にSPI3の報告書で応募者の特性を把握し、気になる点を意図的に掘り下げるプロセスへと変わりました。報告書には、採用選考をするうえで必要な情報がしっかりとまとまっており、応募者一人ひとりの理解に役立っています。さらに、「面接支援報告書」には、具体的な質問例も示されているため、面接官の経験に関係なく、一定の観点で面接を進められるようになりました。
現在では、面接官から「SPI3の報告書は人物像を理解するために欠かせない」という声が上がるほど、面接の質を支える重要なツールとして定着しています。このようにSPI3を活用することで面接官による評価のばらつきが抑えられ、採用の公平性も高まったと考えています。
さらに昨年度からは、内定者に本人用フィードバック報告書を返却しています。当市が求める人材像とどのような点が合致しているかを個別に伝えることで、入庁への納得感を高めることを目指しています。
SPI3を導入して数年が経ち、庁内でのSPI3に対する信頼感は着実に高まっていきました。報告書を通じて理解した人物特性が、入庁後も変わらず発揮されていたからです。SPI3導入は、応募者数が増えただけでなく、採用の質の向上にもつながっているという手応えがあったのです。その実感が、「SPI3の活用を、採用だけで終わらせるのはもったいない」という次のステップへの確信につながりました。
現在では、新人職員の初期配属の際にもSPI3の結果を参考にしています。本人の希望は踏まえつつ、どのような組織に適応しやすいかというSPI3の組織適応性タイプの結果(創造重視タイプ・結果重視タイプ・調和重視タイプ・秩序重視タイプ)なども、検討材料の1つとしています。

また、人物理解という観点から、在職職員にもSPI3を活用できると考え、令和2年からSPI3の性格検査を順次実施しました。現在では全職員が受検を終えています。背景にあったのは、働きやすい職場環境を整えたいという思いです。私たちは、働きやすさとは、職員一人ひとりの特性を本人や周囲、上司が理解し、日々の関わり方に生かせている状態だと捉えています。
地方分権が進み、自治体には主体的な判断や成果がこれまで以上に求められるようになりました。また、管理職は少子高齢化・人口減少対策等の新たな施策に取り組みながら、働き方改革に対応した組織運営も担うことから、マネジメントの難度が高まっています。そうしたなかで、成果を出し続けるためには、職員それぞれの力をどう引き出すかが重要です。
私たちの仕事の多くは、周囲の人と協力しながら進めるものですが、無意識のうちに「自分の考えや意図は、相手に十分に伝わっているはずだ」と思い込み、行き違いやミスが生まれることもあります。コミュニケーションの機会が限られるなかでは、互いを理解し合うことは簡単ではありません。
だからこそ、マネジメントの場面でも日々の協働の場面においても「自分自身の傾向を知り、互いの違いを理解すること」が重要だと考えました。SPI3の結果は、そうした人物理解を支える手がかりとして活用できると考え、全職員への実施に至りました。
受検後は、全員に「本人用フィードバック報告書」を渡しています。報告書には自身の傾向や持ち味、その生かし方のアドバイスが書かれており、自己理解だけでなく周囲との関わり方を見直す参考にもなります。私自身も報告書を常に手元に置き、仕事がうまくいかなかった時などに読み返すことがあります。見直す度に自分の傾向に気づかされ、関わり方を意識するきっかけになっています。こうして自身を振り返る材料があることの大切さを実感しています。
現在では、SPI3の結果をさまざまな場面で活用しています。管理職向けのマネジメント研修では、部下理解を深める手がかりとして取り上げており、「具体的にどう生かせばよいかイメージできた」という声も聞かれます。また、研修の場にとどまらず、毎年新しい職員の結果も共有し、日常の関わりのなかでも参考にできるようにしています。
また、令和4年から実施しているセルフマネジメント研修では、SPI3の結果をもとに、互いの持ち味や違いを共有しています。「自分を見つめ直す機会になった」「お互いへの理解が深まり、仕事を進めるうえでの安心感につながった」という声も寄せられています。
さらに現在、「SPI3 for Employees」の導入も進めています。段階的な取り組みとして、まずは入庁3年目の職員から実施し、結果を本人と上司それぞれに返却しています。いち早く活用している管理職からは、SPI3の報告書以上に、部下一人ひとりを理解しやすいと好評です。
本市には日々の業務に丁寧に向き合う職員が多くいます。一方で、「本人が何を大切にしているのか」「どのように仕事を進めたいのか」といった思いや価値観は、日常の業務のなかでは意外と表に出にくい部分です。SPI3 for Employeesではそういった点が可視化されるため、伝え方や仕事の任せ方を考える際の参考になっているようです。
伝え方や任せ方が変わることで、部下が力を発揮しやすくなり、そのことが結果として組織としての成果にもつながっていくのではないかと期待しており、忙しい管理職にとっても部下理解の助けになると考えています。
SPI3とSPI3 for Employeesの報告書の見方はイントラネットにも掲載し、活用を呼びかけています。ただ、まだ全員が十分に活用できているとは言えません。今後も日々の対話を支える共通言語として根付いていくよう、さまざまな施策を実施していきたいと考えています。
