大阪府豊中市

- 従業員数:
- 3,776名(2025年4月1日時点)
- 業種:
- 官公庁
- 課題:
- 初期選考
適性検査SPI3導入事例
魅力的なまちをつくる、多様な人材採用に向けて
SPI3導入でエントリー数が3倍近く増加

多様な人材との出会いを創出するために、 大卒採用のエントリー機会を拡大したいと考えた
全国の応募者の利便性を向上させたい想いがあった
一次試験をSPI3のテストセンター形式で実施
今後は、SPI3を入庁後活躍のための「マネジメント支援」「配置や異動」「データ分析」などにも活用したい
事務職のエントリー数は3倍近く増加
さまざまなタイプの人材を採用することにも成功
20~30代の民間企業経験者のキャリア入庁も増えている

たなか:大阪府豊中市は、大阪市の北に位置する人口40万人ほど(398,278人/2025年11月1日現在)の自治体です。大阪国際空港(伊丹空港)のあるまちとしても知られています。私は10年ほど民間企業で働いた後、約20年前に豊中市に入庁しました。総務部法務・コンプライアンス課、教育委員会事務局を経て、2024年から総務部人事課長を務めています。
しおみ:私は新卒で入庁し、2025年で入庁7年目です。最初の3年は、都市活力部産業振興課で企業誘致や建築物の建て替えなどを担当しました。4年目から総務部人事課で採用を担当しています。
たなか:私たちは令和2年度(2020年度)から、主に大卒者向けの職員採用試験に「SPI3」を導入しました。一次試験を、従来のいわゆる公務員試験から、SPI3のテストセンター形式に切り替えたのです。その目的は、「全国の応募者の利便性を向上させることで、エントリー機会を拡大し、多様な人材を採用すること」にありました。
前提として私たちは、魅力的なまちづくりを進めていくうえで、さまざまな個性を生かした多様な人材を採用したいと考えています。テストセンター形式であれば豊中市まで来て受検する必要がありませんから、応募者の利便性が上がり、近隣地域以外にいらっしゃる、豊中市に関心を持っていただける方との接点が増えるのではと考えました。また、SPI3は多くの民間企業で導入されているため、公務員試験の対策がハードルになっている応募者からの併願が増えるだろう、併願者が増えれば多様な人材の採用につながるだろうとも考えました。
しおみ:導入にあたって、私たちはSPI3などの適性検査を導入した他自治体の事例などを調べ、実際にどのような効果があるのかを分析検討しました。また、SPI3導入の懸念点についても議論しました。その結果、導入効果は十分にあるという結論に達しました。さらに費用面の問題や、途中辞退者・ミスマッチが増えるのではないかといった懸念なども、導入効果と比較すると大きな問題ではないと判断し、導入を決めました。なお、SPI3のテストセンターについては、本人確認をきちんと行っているので公平性の面でも信頼できました。オンライン会場についても、リクルートマネジメントソリューションズは有人監督のもと一人ひとり本人認証も行っている、という説明を聞き不安はなくなりました。

しおみ:導入した結果、応募者は大幅に増えました。事務職では、SPI3導入以前のエントリー数は350人程度でしたが、導入後の現在は毎年1000人程度になっています。エントリー数は3倍近くに増加した計算になります。当初の目的通り、SPI3導入によって応募が増え、さまざまなタイプの人材採用に成功していることに、大きな手ごたえと価値を感じています。
たなか:私たちのような自治体の事務職は、各部署の仕事内容がまったく異なります。例えば、私は教育委員会事務局から人事課に異動していますが、この2つの仕事は転職した感覚になるほど異なります。ですから、庁内にはできるだけ多様な人材がいた方がよいのです。
例えば、グローバル企業の内定をすでに持っている学生が、1つの自治体で働けることに魅力を感じて豊中市の採用試験に応募する、といったケースが見られるようになりました。試験形式を変えたことによる新たな出会いだと感じます。
しおみ: 民間企業との併願が増えたことで、選考途中の辞退が少し増えたことは確かです。しかし、これは制度上想定していたことのため大きなデメリットとは捉えていません。
また、事務職は39歳まで、技術職は59歳まで受験できるため、20~30代の民間企業経験者のキャリア入庁も増えています。こうしたキャリア入庁をめざす皆さんのなかにも、SPI3で受けられることを魅力に感じる人が少なくありません。
たなか:ここまでの話とは違う観点での成果としては、初期選考が筆記試験からテストセンター形式での受検となったことにより、私たちも会場の設営や当日の試験監督に時間を割く必要がなくなったことがあります。結果的に応募者との接点に割く時間を増やすことができた点もメリットだと感じています。

しおみ:さらに、この令和7年度(2025年度)からは、入庁の同意を得た採用予定者に対して「SPI3 for Employees」も導入しました。その最も大きな理由は、内定後のコミュニケーションに活用したいと考えたためです。内定を出した後、入庁の4月まで時間がありますので、入庁前に「採用予定者交流会」を開催するほか、SPI3 for Employeesを使い自分の強みや価値観を可視化することでキャリアイメージを描くきっかけに役立ててもらおうと考えています。
私自身、導入前にSPI3 for Employeesを受けましたが、結果に納得感があり、自分の特徴、自分に不足している点、気をつけた方がよい点などがよく分かりました。自己分析を深めるツールとして間違いなく役に立つと思います。また、SPI3 for Employeesの導入は、職員一人ひとりの特徴をよく理解して、個々に合った育成やマネジメントを行っていきたいという私たちの想いの表れでもあります。内定後から入庁までの期間、学生たちは不安も多いと思います。採用予定者交流会の場や自己理解を深めるツールを使い、その不安を少しでも払拭し入庁までの期間に安心感を高めてもらえたらと思っています。
たなか:今後は、SPI3とSPI3 for Employeesの2種類のデータを、採用選考にとどまらず、新規採用職員の入庁後の活躍にも役立てたいと考えています。例えば、マネジャーにデータを共有して「マネジメント支援」を行い、より良いマネジメントの方法を見つけていってもらいたいと思っています。
また、新規採用職員の「配置や異動」を考える際の参考データとしても活用したいと思っています。能力開発を目的として、採用から一定年数以内に複数の職場を経験してもらう制度があります。もちろん、配置・異動は本人の希望も考慮しますが、向き不向きや伸ばしてほしい資質についても考える必要があります。先ほども触れましたが、自治体の事務職は部署によって転職を想起するくらいの仕事内容の違いがあるため、配置・異動は極めて重要です。私たちは、配置先・異動先の職務に魅力を感じてもらい、やりがいを見つけてもらいたいと願っています。その際、SPI3データが役立つだろうと考えています。
しおみ:それから、数年後には「データ分析」も積極的に行い、人材戦略や採用戦略を考える際に活用したいと考えています。例えば、活躍者と退職者のデータを比較分析し、より適した人材の採用につなげていくというような取り組みを想定しています。

たなか:採用面で言えば、私たちはまだ面接時にSPI3データを活用しきれていません。もちろん、面接官はSPI3の報告書を見たうえで面接しているのですが、活用方法は面接官に任せています。今後は、面接時にSPI3をもっと活用し、人物理解を深めるやり方を追求したいと考えています。限られた時間のなかで実施する面接ですべてのことは分からないので、SPI3と面接を上手に組み合わせることで、人物重視の面接にもっと磨きをかけていきたい、と考えています。
しおみ:それから、民間企業と併願を考える学生はもっと増えるかもしれないと思っています。なぜなら、合同説明会に出て「SPIで応募できます」と呼び掛けると、その言葉に驚いて立ち止まる学生が何人もいらっしゃるからです。つまり、豊中市のようにSPIで受けられる地方自治体が増えていることを知らない学生は、まだまだ多いのです。この事実がもっと広まれば、応募者はさらに増える可能性があると考えています。
これからも、豊中市をもっと魅力的なまちにしていくことに共感いただける方との接点を、より多く創り・深めていきたいと思います。
