
茨城県つくば市

- 従業員数:
- 2024年度 2,172名
- 業種:
- 官公庁
- 課題:
- 初期選考
- 面接
多様な職員の活躍が、つくば市発展の力に
~さまざまなバックグラウンドの職員の力を生かす
人材採用・人材開発へ~
つくば市の発展に向けて、多様な職員の採用を強化したい
限られた時間で深い相互理解を実現し、より応募者の可能性を確認できる採用面接にしたい
面接における人物理解・質問サポート材料、面接官同士でのすり合わせの材料として活用
内定者フォローや、入庁者研修における自己理解・相互理解の促進材料として活用
応募者から「つくば市の面接は人物をじっくり見てくれている」という感想があるなど、面接における相互理解が促進された
公平・公正さの維持、応募者の受験負荷低減の両方を実現できている
筆記試験の運用工数削減により、人事の時間を応募者に向き合う時間に割くことができている
菊地様:私は平成20年に新卒で入庁して、いくつかの部署を数年ずつ経験しました。人事部門に携わって8年目で、現在は人材育成係を担っています。
もともと大学で教育関連を専攻していたこともあり、福祉の分野で子供の教育に関わりたいと思っていました。
そこで、通っていた高校の地域で縁深さを感じた、つくば市役所が候補になったという経緯です。
飯田様:つくば市役所では中途採用も積極的に展開している関係で、私のように民間の金融機関から入庁した職員もいます。
実は大学での就職活動時も公務員は検討していたのですが、採用スケジュールの関係で断念していました。
そこで金融機関の営業職に従事していたのですが、福祉の分野に関わりたくなって転職を検討していたところ、つくば市が10月採用を行っていたので、チャレンジしました。
私たちが人材採用で大事にしていることは、地域の成長と共に、市役所もそこで働く職員も成長していくという点です。
つくば市の人口は約26万人で、近年も増加傾向にあります。
国際色が豊かな学術都市というイメージが強い一方で、歴史があり長年ここに住まれている方が多いことも特徴です。
地域発展と連動しながら、市役所という組織も進化させていきたいという思いがあります。つくば市役所に入庁いただく方は、市役所の今後の未来を創り進化を支える重要な存在です。
採用場面では応募者と丁寧に対話をしながら、その方の個性や強みが入庁後に発揮できるかどうかを見ることを重視しています。
もちろん、受け入れ側の私たちとしても、入庁後にその方が活躍できるような環境整備を行うことが必要であり、注力していきたいテーマだと考えています。
つくば市は、かつては新卒採用のみだったのですが、「民間企業や他自治体の経験を、市役所の業務に生かしていただけるのではないか」という考えで、平成25年から中途採用をスタートしました。
年齢制限を設けていないため、何歳であっても活躍できる可能性がある方には、門戸を開いていることも特徴です。
おかげさまで、中途採用の職員も増えてきて、各々の経験を仕事に生かしていただいています。
求める人材像としては「自ら考えて行動できる」ことを重視しています。
具体的には、経験や前例を参考にしながらも、一度立ち止まって「本当に最適・最善の策は何なのか」を考えられるような方です。
そのため面接では、受験者のより本質的な部分に触れられるかということが非常に重要になりますし、限られた面接時間を、より応募者の可能性を確認できるような時間にしていきたい、という思いがありました。そこで、面接をさらに補強できるようなツールを探しはじめたのです。
面接の補完ツールとしてSPI3を導入したのは、令和2年からです。
市役所は、定期的な部署異動があるため、関わる人の数も多く、また携わる業務分野が多岐にわたるのが特徴です。
入庁前の面接での活用はもちろんのこと、SPI3なら入庁後の職場や仕事変化への適応についても、定量データで確認できるのではないかと思ったことが決め手の1つです。
特にSPI3を最も活用しているのは、最終面接の場面です。
複数の面接官がコミュニケーションを大切にしながら面接を実施していますが、面接官によって主観や印象が多少ばらつくのは自然なことかと思います。
そんな時に客観的なSPI3のデータがあることで、面接官同士で共通言語ができ、地に足がついた建設的なやり取りができています。
具体的な活用方法としては、面接前にSPI3を面接官に配布し人物理解の参考としたり、面接時に報告書の「質問例」を参考にして、質問を投げかけたりしています。
面接後の、面接官同士でのすり合わせや振り返りの際にも、目線合わせが非常にしやすくなったと感じています。
また、もともと人物理解に重きを置いた面接を実施したいという思いがあり、数年前から面接官へのトレーニングも実施しています。
深掘り質問やNG質問などテクニカルなスキルの付与もできましたが、何より面接官自身が「どうやったら限られた時間で、応募者の理解ができるか」と前向きになってくれる効果がありました。
SPI3は面接でのチェックポイントや職務への適応性など、さまざまな角度で情報提供される点がメリットだと思います。
データで提示されることで、人の目での確認と相まって、面接の時間が豊かになり、会話の質が上がっている手応えを感じています。
SPI3導入の決め手になったのは、「テストセンター方式で、オンラインであっても本人認証ができること」です。
公務員試験は「公平・公正」を保つ必要があります。
もともと紙試験を実施していた際のこだわりである「不正ができない環境」については外せない、と考えていました。そのため、テストセンター方式でしっかり不正防止ができる、という点はSPI3導入において重視した観点です。
全国のさまざまな場所にテストセンター会場がある点と併せて、WEB試験の利便性は保ちながらも有人監督がついており信頼できる受験環境がある「テストセンター・オンライン会場」があることも、受験者の利便性と安心感の両面の実現という意味で評価していたポイントです。
SPI3を導入したもう1つの理由は「応募者の受験負荷を下げられること」です。
公務員試験は長期化しやすい傾向がありますが、会場で紙試験を受験する形式と比べると、テストセンターは受験負担の面で、応募者の応募ハードルを下げることにつながっていると思います。
受験負担という観点では、一度SPI3を受検したらその結果を再送信できる機能があることも、受験者の負担軽減につながっているのではないかと感じます。
申し込みから一次試験の受験までオンラインで完結するため、全国各地の方から応募があります。
ありがたいことに、つくば市に魅力を感じ、移住先として選択してくださる方も多く、ここへの引っ越しを先に決めている方からの応募もあります。
もちろん採用を担当する職員の私たちにとっても、会場の手配などの事務作業がなくなるメリットもあります。テストセンターを導入したことで3~4カ月も採用スケジュールを前倒しすることができました。
入庁者からも「受験のハードルが下がった」「オンラインで助かった」と、前向きな声が聞かれています。
自治体の採用は、昔ながらの対面・紙形式の印象が強いかもしれませんが、応募者に負荷を掛けない、時代に合わせたスタイルに変化する必要性を実感しています。
SPI3の活用は、採用面接だけでなく、入庁者のフォローにも広げています。
具体的には、本人用フィードバック報告書を用いて、新任職員研修で本人にフィードバックしています。
中途採用などにより、最近の入庁者は年齢もバックグラウンドもさまざまです。初対面での緊張感もあるかと思います。
そんななか、SPI3の報告書を使った相互理解を進めることで、コミュニケーションのきっかけとなり、和やかな雰囲気が醸成されていると思います。
他にも、汎用的に提供されるガイダンス資料を、研修プログラムに活用しています。
例えばSPIの測定領域をマクレランドの氷山モデルを使いながら説明し、あらためて自己理解を進めるなど、ガイダンス資料はフル活用しています。
また、グループワークも実施しているので、入庁者同士の相互理解やコミュニケーション促進にもつながっているのではないでしょうか。
採用面接でのSPI3活用はかなり進んできており、応募者から「つくば市の面接は人物をじっくり見てくれているように感じる」との嬉しい声もいただいています。
内定者で希望した人には、SPI3の本人フィードバック報告書の結果を返却し、「あなたのこの点に活躍可能性を感じた」など、内定理由もセットにして伝えています。
自身の理解を深める機会にしてもらうことで入庁後の活躍に生かしてもらうことを意図して進めています。
SPI3を導入して数年が経過したので、今後のデータ活用も考えています。
入庁後の動きと絡めて分析をすることで、蓄積できたデータから活躍しやすい方の特性を客観的に捉えられる可能性もあります。
入庁後の活用が進んだ先では、採用場面のみならず、配属・入庁後のフォローアップや人材開発にまで展開していければと考えています。
真の意味で、つくば市の成長と共に職員の可能性を開花させられるよう、今後も人事としての支援を模索していきたいと考えています。