導入事例

SPI3の段階的導入
採用から組織改革に向けたデータ活用の展望

福島県郡山市
大卒採用
目的・課題

多様化する社会ニーズに対応し、多彩な人材を確保することのできる採用への進化が求められていた

「職員総活躍」を目指して人材マネジメントをするために、客観的に人物を捉えることのできるツールを求めていた

SPI3の
活用方法

従来の「教養試験コース」と併存させる形で「SPI試験コース」を新設

どちらのコースも、面接前にはSPI3を実施し、面接の場面で活用

採用終了後に入庁者の傾向把握や採用課題の分析に活用

効果

客観的に人物を把握することで、2つのコースそれぞれの特徴や人物像が明らかになり、郡山市の求める人材をターゲティングすることができた

テストセンター方式のSPI3導入で、県外からの応募者も増加した

入庁後の人材育成やキャリアデザインの場面などでも活用でき、また今後さらにデータを蓄積することで休職者のフォローに活かすなど
 利用の幅の広がりを感じている

―まずはSPI3導入に至った背景を教えてください。

(伊藤様)私は採用担当になる前は、職員の研修など人材育成の担当をしていました。以前から他社の適性検査を行っていたのですが、検査結果の情報量が少なく採用試験や採用後の人材育成にうまく活用できていないと思い、採用担当になって1年目の秋の任期付き採用でSPI3を導入しました。

導入にあたっては、いくつかの適性検査を比較しましたが、SPI3を職員数名で試しに受けてみたところ、性格的な特徴や仕事をするスタンスなど、細分化された項目が的確にそれぞれの人物像を捉えており、また、各項目の値が性格の「傾向」として見られる点が良いと思いました。誰しも良い部分と悪い部分があり、良い部分が表面には見えにくい人もいますが、そうした人の良い部分に着眼できる。この検査であれば、個人を客観的に見ることができ、郡山市が必要とする人材を採用・育成するツールであると思い選びました。

―教養試験と併用してSPI3を利用いただいていますが、その理由や使い方の違いなどがあれば教えてください。

(伊藤様)職員のトライアル受検や任期付き採用での導入を経て、SPI3を新たな試験方式として導入することは決めましたが、多様化する社会ニーズに対応するために、多彩な人材を確保するうえでも、あえて画一的な採用試験ではなく、従来の「教養試験コース」と「SPI試験コース」の2つを併用して試験を実施することにしました。

(渡辺様)どちらのコースで採用試験を受けても、面接時に客観的な人物像を把握するため、SPI3を受検いただくフローにしています。「教養試験コース」は教養試験・専門試験が一次試験、二次試験である面接の前に、SPI3の性格検査のみをWEBテスティングで受検していただいています。「SPI試験コース」はSPI3のテストセンター受検が一次試験になっています。テストセンターでは能力検査を受検してもらっていますが、SPI3の能力検査の良いところは、知識の詰め込みではなく、思考力や判断力を見られるところ。また、特別な公務員受験対策が不要なので、幅広い人材に受検してもらえるところです。

どちらのコースも面接での使い方に違いはありません。「面接支援報告書」に表れている顕著な特徴を、載っている質問例を参考にして面接で掘り下げることで、応募者の人物像を具体的にイメージするようにしています。

―「教養試験コース」と「SPI試験コース」を比較して、応募者や入庁者に違いは見られましたか?

(渡辺様)採用の振り返りを行うなかで、2つのコースの応募者を比較してみたところ、特徴に違いがありました。従来型の教養試験を受ける人は法学部など文系の出身が多く、SPI3を受ける人は理系や経済学部出身が多いなど、学びのバックボーンが異なっていました。また、本人のキャラクターとしても、前者は法学の専門知識を役に立てたいという志向が感じられる一方、後者は考えていることも経験も多種多様で、まさしく、多彩な人材が応募してくれている印象です。もちろん、どちらが優れているというわけではなく、「どちらも必要」と考えています。人物重視の採用を行うため、なるべく素の人物像を引き出す面接を心がけながら、「一緒に郡山の未来を創る」同志を採用しています。

2019年にコースを新設し、最初の入庁者は2020年になりますので、仕事の進め方の特徴や実際の成果までは見えていませんが、「SPI試験コース」の入庁者は総じてコミュニケーション能力が高い印象を持っています。コミュニケーション能力は市民に寄り添いニーズをつかむためにも重要なスキルで、決して知識だけでは得られず、いかに学生時代や前職でさまざまな経験をし、多くの人と話してきたのかに左右されると思います。仕事が一人前にできるようになるのはもう少し先になるので、個性を伸ばす育成を心がけ、成長を待ってSPI3の結果と実際の勤務評定を分析して特徴を明らかにしていきたいです。

―導入理由の1つであった、入庁後の人材育成にSPI3を活用されていますか?

(渡辺様)「本人フィードバック用報告書」を、自分の性格を客観的に捉え、他者の理解を深める研修で活用したいと考えています。また、今まさに課題になっている休職者の復職サポートにSPI3が使えないかを検討しています。客観的な情報をもとに自己理解を深めることで、自分自身がどのような場面でストレスを感じやすいのかを認識してもらい、そのうえで所属長向けにも「育成支援報告書」を渡してサポートツールとして活用してもらう、といった内容です。中長期的には、郡山市のSPI3データを蓄積し、不調をきたしたり、休職してしまう職員の傾向分析などもしていきたいと考えています。

もちろんSPI3に表れている結果がすべてではありませんので、「この人はこういう育成をすべきだ」という画一的な使われ方にならないよう、現場への展開は注意して行いたいと考えています。SPI3をデータの1つとして育成の参考材料にしてもらうべく、人事課から現場へ能動的に働きかけられるように整備していきたいと思っています。

―そのほか、今後注力、改善していきたいテーマなどがあればお聞かせください。

(渡辺様)採用、人材育成、適正配置などの戦略的人事を行うためにも、データの蓄積を一番に考えています。人材情報を集約、分析、活用し、職員の中長期的なキャリア形成を支援することで「職員総活躍」による組織力向上の一助にできればと考えています。そのため、将来的にはすでに働いている職員に在職社員向けのSPI3を受検してもらうことも検討しています。例えば主査試験も実施して終わりではなく、SPI3の性格検査も合わせて受けていただき、その結果からその人の性格的な特徴や、どのようなモチベーションで仕事に取り組んでいるかを把握することができれば、エンゲージメントを高めるキャリアデザインもできるようになると思います。データが蓄積されていけば、分析の幅も広がるので、採用だけではない活用をしていきたいですね。

(伊藤様)採用をより良くしていくのはもちろんですが、組織をより良くしていくことにSPI3のデータを使っていきたいです。その点でリクルートマネジメントソリューションズに引き続き支援をしていただけるよう、期待をしています。

郡山市総務部人事課 渡辺 俊之 様  伊藤 佑 様

福島県郡山市

従業員数:
3,408名(2021年4月時点)
業種:
官公庁 
課題:
  • 初期選考
  • 面接

もっと事例を見る