導入事例

軸のある採用戦略の実現
~事業を継承・発展させていくための採用
適性検査で人物理解のさらなる深化を~

武蔵野銀行
大卒採用
目的・課題

【採用活動の刷新】人事・採用の施策全体に太い軸を通したい

【適性検査データの活用推進】選考場面以外でもデータを活用し、HRアナリティクスへと発展させたい

SPI3の
活用方法

【面接での人物理解を深める】面接官のよき相棒に、そして学生本人も気づいていない特徴・良さを見つける

【オンボーディングのサポートに】SPI3の結果をもとに新入社員一人ひとりを理解し、受け入れ体制を整えられた

効果

【入行への納得感・マッチング精度の向上】内々定付与前にも学生本人に結果をフィードバックすることで、相互理解・自己理解が促進された

無形商材だからこそ、介在する「人」が重要

私は2009年に新卒で武蔵野銀行に入行し、営業部門に配属されました。支店で窓口業務から、預金・資産運用業務、融資業務まで一通り経験した後、法人の営業担当を長く務めました。

人事に異動する直前に在籍していた支店では、初期管理職として支店に配属される若手行員の育成にも携わりました。当時は当行も支店によって育成方法や定着状況にバラつきがあり、支店や時期による若手行員の定着状況が課題となっていました。

一般的に「ある分野のエキスパートになるには 1万時間が必要」といわれていますが、法則を仕事にあてはめると、1万時間は約5年の年数に相当します。そのため、入行5年未満で離職する若手社員を見て「もったいない」「残念だ」と感じることもありました。そこで、当時所属していた支店で、上司と共に「1年間、誰も辞めない期間・職場にしよう」と決め、さまざまな取り組みを行い、実現することができました。この経験から、離職防止や自行の魅力を伝えるなど、本業以外の仕事に対してもやりがいを感じるようになりました。

その後に、採用と育成を担当する「キャリア開発室」に異動となりました。銀行は無形商材を扱っているため、介在する「人の価値」が重要であり、人事・採用事業推進上も重要なテーマとなります。実際に、人事・採用の業務に着任し、施策全体に一本太い背骨のような軸を通す必要を感じました。点として存在していた各施策に軸をしっかりと置き、それらをつなぐことで採用活動全般を大きく変えていけるとの確信が得られたため、採用活動の刷新に着手することにしました。

点で存在していた採用施策をつなぎ、戦略的採用の実現へ

当時、行内でも事業内容の多様化や複雑化にともない、年々若手に任せる仕事も大きくなり、「人材の早期戦力化」の必要性も叫ばれていました。そういった行内の動きも採用活動の変革への後押しとなり、母集団形成~面接、入行後の研修(育成・教育)も含め、新卒採用のプロセス全体を見直すことになりました。加えて、軸の通った戦略的採用を実現するためには、大方針と合わせてツールの統一化も必要だと考えました。

HRアナリティクスに耐え得る適性検査選び

ツールを見直すなかでまず着目したのが、「適性検査」でした。すでに他社の適性検査を活用し、選考要件を設定していましたが、選考の最終意思確認の際に参考にする程度でした。そこでこの貴重な人事データを、もっと有効活用できないものかと考えるようになりました。

また、当時、人事データの利活用に着目していたこともあり、入行後のパフォーマンスと採用時に実施していた従来の適性検査結果を分析してみたところ、関連性が薄く、データの信憑性に疑問を感じることがありました。

そこからさまざまな適性検査について調べ始め、現在利用している総合検査SPI3が候補に挙がりました。決め手の1つは、認知度の高さに裏打ちされる安心感です。適性検査の通称が「SPI3だ」と勘違いされているケースもあるほど広く社会に普及しているのは、それなりの背景や根拠があるのだろうと思い、トライアルを実施しました。

SPI3のトライアル受検は、キャリア開発室の数人で実施しました。その結果を見たときの納得感・フィット感も非常に高いものでした。例えば、私と仕事やコミュニケーションスタイルが似ていると日々感じていたある同僚について、SPI3のデータ上も近しい結果が出ており、「腑に落ちた」ということがありました。他の行員からも「占い師のようだ」などと結果への納得感につながる感想が多く集まり、導入決定時の大きな後押しとなりました。また、この信頼感の高さは受検する学生の納得感にもつながると考えています。学生にとっては適性検査も選考の1ステップです。合否が決まってしまう方法への納得感は、結果にかかわらず重要だと感じています。

「もう1人の面接者」が加わり、人物理解に特化した面接へ

SPI3を主に活用しているのは「面接」の場面です。以前は適性検査の結果を面接時に活用しきれていなかったため、面接者ごとに甘辛などの評価のバラつきが生じてしまうといった点も課題に感じていました。

SPI3の導入後は、結果の活用方法をしっかり伝えることと合わせて、選考要件も設定し直しました。とはいえ、SPI3だけで結果を決めるのではなく、面接官が実際に会話して定性的に感じた情報と、SPI3で見られる定量的なデータとのギャップを確認し、双方を合わせて総合的に判断するといった使い方をするようにしています。さらに、SPI3の定量データ活用に加え、面接者トレーニングも実施しながら、面接における人物理解力を向上させるための取り組みも継続して実施しています。

当行にとって、適性検査は「もう1人の面接者」のような位置づけです。
学生も慣れない面接で緊張していたり、面接のための回答を準備していたりするので、短時間の面接では見極めづらい情報もあります。それらを適性検査の結果で補いながら、学生本人も気づいていない特徴・良さを見つけるためにもSPI3の結果を活用しています。私たちは、地銀という特性上、地域の企業や住民の方々と深く対話し、人同士の関係性を深めていくことが最も大切になります。これを入行後に実行できるかどうかは、人間性の深い部分まで見極めないと判断がつきません。そのため、採用面接でも学生を深く理解し、お互いにとって最善のマッチングができることを重視しています。

人の成長につながるフィードバックへ

当行では、SPI3は、面接だけでなく他の場面にも活用の幅を徐々に広げています。
例えば、最終面接後の意思確認面談では、SPI3から分かるその学生の特徴をフィードバックしています。「こういう特性を仕事に生かせると思っている」「この点があなたの良さだと感じる 」などと本人に直接伝えることで、学生本人を深く理解していること・理解したうえで一緒に働きたいと思っていることを伝えられるようになりました。また、学生は自身の結果をフィードバックされる機会が少ないため、「自分にはこういう特徴があるのだ」と新しい発見にもつながるようです。このような採用選考を通じたコミュニケーションが、学生の自己理解も促進しています。

本人理解のツールとして育成支援へも展開

SPI3の信頼感は行内にも浸透しており、入行後のデータ活用も進んできています。
まず、新入社員の受け入れ施策の一環として、上司には結果を共有しています。結果の読み取り方のガイダンスも行い、メンバー一人ひとりの特徴を理解したうえで受け入れ態勢を整え、スムーズなオンボーディングをサポートしています。

上司にとっても、大人数のメンバーを理解するのは大変な面もあるでしょう。労働時間の制約もありますし、以前に比べて「飲みニケーション」のような業務外でのコミュニケーションを取りにくい事情もあります。そのような状況であってもメンバーを深く理解し、本人の成長を支援するためのサポート材料として、適性検査SPI3を活用してもらいたいと考えています。データの一人歩きには配慮しつつ、今後は配置配属でのマッチングなどさらに幅広い場面に活用を展開していくことも検討しています。

採用は相互理解し相性を確認する機会

私たちは採用活動を通して、学生からの納得感を重要視しています。
SPI3もコロナ禍は WEBテスティング形式で実施していましたが、昨年からは学生の公平性を担保するために、テストセンター方式に切り替えました。テストセンターにはオンライン会場もあるため、これまで足を運べなかった留学中の学生に門戸を広げることにもつなげられています。私たちが学生の受け止め方や納得感に配慮する背景には、採用時に出会った後にも、どこでご縁がつながるか分からないので、できる限り誠実に対応したいという考えがあります。

また、就職活動は学生個人にとっては重要な意思決定場面であり、彼ら自身の納得がいくように進めてほしいという思いもあります。就職経験のない学生にとって、就職活動で見えた一部の情報のみで会社を選ぶというのは難しいことだと思います。だからこそ、武蔵野銀行の採用活動では、きれいなところばかりを見せず、あえて生々しい部分を伝えるようにしています。

就職活動の成否は決してその人自身の優劣ではないですし、内定はゴールでもありません。採用活動は、相互理解をし、相性を確認する機会です。自然に、自分らしく輝ける会社を見つけ、社会人への第一歩を踏み出してほしいと心から思っています。

人事部 キャリア開発室 柿島様 

武蔵野銀行

従業員数:
1,987名(2023年9月30日時点)
業種:
金融 
課題:
  • 育成支援
  • 人材要件設計
  • 面接
  • 内定者フォロー

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