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調査・研究レポート

2011年09月02日キャリア採用とキャリア人材の定着を成功させるためには

主任研究員 山田香

企業におけるキャリア採用数は年々増え続けています。その一方で、キャリア採用を行った企業の満足感とキャリア入社者自身の満足感は、残念ながらどちらもそれほど高くないという現状があります。キャリア採用はなぜなかなかうまくいかないのでしょうか。そして、どのようにすれば企業にとっても、キャリア入社者にとってもより満足できるものとなるのでしょうか。

キャリア採用を取り巻く現状

従来、日本企業の採用は新卒を主体にしてきました。就業経験のない人材を採用し、時間をかけて自社らしい仕事の仕方、人間関係、物事の判断の基準である企業文化やDNAを浸透させていくという新卒採用は、企業の組織としての求心力・凝集性を高める上で有効に機能してきました。しかし、企業経営をめぐる環境変化のスピードが飛躍的に高まり、社内には存在しない技術・ノウハウ・人脈を素早く獲得する必要性があったり、多様性を生かすことで新しい発想の幅を広げていくことが求められるようになる中で、キャリア採用が占める重要度がしだいに高まってきています。このことは、景気による伸び率の変動はあるものの、日本におけるキャリア採用の実施事業所割合が一貫して増加傾向にあることにも表れています(図表01)。

図表01:キャリア採用の時期別実施事業所割合の推移

幸せな転職は難しい~企業とキャリア入社者側それぞれの意識~

弊社が2006年10月に行った、キャリア採用にかかわっている人事担当ならびにライン責任者571人を対象にしたインターネット調査の結果、回答者の約 60%はキャリア採用について何らかの不満を抱えていることが分かりました(図表02)。特に「なかなか即戦力化しない」「すぐに辞めてしまう」という項目に対する回答が多くなっています。

図表02:あなたの会社において、キャリア入社に関する課題があればお答え下さい。

一方で、同時期に行った入社して半年から2年までのキャリア入社者1000人を対象にしたインターネット調査の結果では、約23%の人が「職場になじめていない」と回答しており、「自分が納得できるレベルで仕事を続けていけそうか」という問いに対しては、約39%の人が「いいえ」と回答しています。キャリア入社者側から見ても、転職後に自分の力を十分に発揮できていないと感じている人が一定の比率でいることがわかります(図表03・04)。

図表03:「現在の職場(風土・人間関係)になじんでいますか」と図表04:「自分が納得できるレベルで仕事を続けていけると思いますか」

また、なじんだと感じた時期を聞いてみたところ、仕事よりも職場になじむ時期のほうが早いことが分かりました(図表05・06)。なお、併せて聞いた「なじんだ/なじんでいないと感じた場面」という質問から確認された、うまくいく/つまずくポイントの例は図表07のようなものでした。

図表05:「あなたが職場になじんだと感じた時期はいつごろですか」と図表06:「あなたが仕事でやっていけると感じた時期はいつごろですか」

図表07:フリーコメント

キャリア採用やキャリア人材の育成で陥りがちなこと

なぜ、このようなことが起きているのでしょうか? 前述の調査結果や今までの知見からキャリア採用の難しさ、キャリア入社者の力を十分に引き出すことが難しい理由を、大きく以下の3つのポイントにまとめてみました。

(1)企業側が採用時に「いま募集の対象となっているこの仕事を遂行できるか」という視点を意識しすぎてしまい、スキル・職歴に偏った採否の判断を行ってしまうことがあげられます。新卒ではどのような職種や部門に配属するかが明確に定まっていないため、「将来、社内のどのような仕事を担当したとしてもうまくやってくれそうな人材」という意味合いが強いのに対し、キャリア人材では「目の前にあるこの仕事を担当できる人材」という色彩が強くなります。つまり、キャリア採用は「育成せずにスキルや経験のある人を採用できる」という意識が大きいのではないでしょうか。そのため、スキルがないとまず不採用になったり、反対にあればすぐにOKと判断しがちになり、その人の人柄や、自社に合うか、配属先の職場でうまくやっていけるかどうか、といった点になかなか目が向かないと考えられます。即戦力として新しい職場で活躍するためには、仕事に必要な知識やスキルがあることはもちろん、その会社固有の仕事の進め方を覚え、関係者と協働していくことが大切です。そのためにも自社に合いそうか、職場メンバーとうまくやっていけそうかといった観点も重要となってきます。

(2)キャリア入社者側に入社前のイメージと現実とのギャップ(リアリティショック) があることがあげられます。キャリア入社者は職務経験があるため、新卒と違って、会社や仕事・職場・上司などに対して「こうであるものだ」という仕事観・組織観ができあがっています。また、「○○の仕事がしたい!」といった転職するにあたって叶えたいもの、「前職のような職場はいやだ!」といったこれだけは避けたいと思うものが明確である場合が多いと思われます。リアリティショックは新卒であれ、キャリアであれ生じるものですが、前職で培われた価値観や指向がキャリア入社者は明確であるために、それが入社後に思っていたものと違っていた場合のショックは大きく、「こんなはずではなかった」「前職ではこうだったのに......」とキャリア入社者が感じてしまう場合があるのではないでしょうか。

(3)企業側とキャリア入社者側どちらにもいえることですが、フォローやかかわりに関する意識が薄いことがあげられます。第2新卒は別としても、これまで述べてきたように上司や周囲、また本人自身も「キャリア採用であること=即戦力」という意識で入社してきます。そのため、フォローが必要だという意識がなかったり、必要だと思っても新卒と違ってどこまでをフォローしたらよいか分からずに放っておかれがちになるのではないでしょうか。新卒入社者に対しては、一般に手厚くさまざまな育成プログラムやOJT担当などの制度が整っており、職場で育てていこうという意識があるため、手取り足取り育てていくのに対して、キャリア人材は仕事の基本は身につけていることが前提とされていることが多く、その会社のルールを知らず、人間関係などのネットワークがまだできていない中で「自分で仕事を身につけていってほしい・いくべき」というかかわりになることが多いように思われます。また、本人も今までの経験に基づいた自負心や気負いがあるため、周囲の人になかなか聞きにくいといった状態にあるようです。ローカルルールや人間関係など、時間の経過とともに解決される部分は大きいですが、即戦力として期待するのであれば、自然と慣れるまで待つというのももったいないのではないでしょうか。

キャリア人材の採用~定着あるべき姿~

このようなことから、キャリア人材の採用から定着までを成功させるために、面接時・採用時において気をつけるべきポイントをまとめてみます。

(1)面接でスキル・職歴だけでなく、応募者の深い人物理解を行うことです。限られた面接時間の中ではあるものの、応募者の人柄、新しい仕事や新しい環境に入ってもうまくやっていけそうか、どんな期待を持って自社に応募してきているのかなどをきちんと確認しておく必要があるでしょう。

(2)さらに、面接時や内定フォロー時に魅力的な面だけでなく、厳しい面も含めて自社に関する情報をきちんと伝えることです。このように組織や仕事について、悪い情報も含めて情報を誠実に伝えることをRJP(Realistic Job Preview)といい、定着促進や入社後のギャップを軽減させるのに、効果的なことだと言われています。応募者も配属先の状況を理解した上で、入社を決意した場合とそうでない場合とでは、受けとめ方がかなり違ってくるのではないでしょうか。また、入社以降にギャップを感じて、本人自身がそれにうまく対処できず戸惑っていそうな場合は、速やかに仕事の意味など全体観について情報を提供したり、フォローすることが大切になります。

(3)最後に、キャリア入社者の育成についてです。キャリア入社者本人が仕事や職場についてやっていけると思える感覚を早く持たせることが重要となります。そのために、次の3つの節目を意識したかかわりや仕事の割り当てによるきっかけ作りが大切となってきます。

図表:キャリア入社者の育成について

キャリア採用というと、足りないマンパワーを補う(人員補充、人員補強) ことが目的になりがちですが、キャリア入社者の持っている他社での経験や自社にない技術・ノウハウを取り入れて自社のものと融合することによって、新しい価値を生み出していくことが可能になります。「キャリア採用=即戦力」と考えほったらかしにしたり、目の前の仕事をやってくれる人という短期的な目で見てしまうことは、可能性のある人材を生かしきれないことになり、企業にとってもキャリア入社者にとってももったいない状態ではないでしょうか。また、キャリア入社者が効力感を持って働いていくためにも、採用時において仕事や職場への適応のしやすさ、入社した場合の配慮ポイントを確認した上で見極め、入社後は即戦力といえどもポイントを押さえたかかわりや育成の観点を持つことがキャリア採用でも大切でしょう。

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