1. TOP
  2. 特集・コラム
  3. 調査・研究レポート
  4. 今振り返るSPIの軌跡

調査・研究レポート

2011年09月02日今振り返るSPIの軌跡

研究員 藤田彩子・中西亜弥

広く採用試験としてご利用いただいている「SPI」。実は、弊社のSPIは「日本初の総合適性検査」なのです。パイオニアならではの誕生秘話、大切にしてきた社会との関わり、SPI 2に至る進化の歴史、そして今なお続く品質向上の取り組みについて当時の関係者の生の声を再現しつつご紹介いたします。

SPIの前身「リクルートテスト」開発 当時の採用の2つの「常識」

「僕はね、自分が高卒で就職に苦労したからかもしれないけれど、テストは学歴・性別を問わないでしょう。これは公正な仕事だな、と思ったんだよね。」(当時・営業)

当時の(株)日本リクルートセンター(現・(株)リクルートキャリア)がテスト部を立ち上げ、SPI前身のリクルートテストが誕生したのは1963年。そのころの採用の常識は、今もなお議論のテーマになる"学歴主義""男女差別"でした。

実は、当時の採用事情に問題意識をもっていたのは、企業の人事の方々でした。
「学歴や学業成績じゃわからない」
「お宅、心理学出身者が多いんでしょ? 採用テストつくってよ」

もう一つの常識。それは「適性テストというものは、人権に関わる仕事だから安易に扱うべきではない」「専門家でないと扱ってはいけない」「資格試験をつくって資格者が取り扱うべきだ」という考えが根強くあったのです。

そんな中、20代、30代の若き教育心理学の研究者たちが立ち上がり、「テスト開発委員会」が結成されました。そこで開発されたのが「リクルートテスト」。最新のテスト理論と心理測定技術に基づき、内容的に日本の最高水準のものであっただけでなく、 「企業の人事の方々が使いやすいように、実施、採点、報告までの一貫した利用サービスをシステムとして日本で初めて創り出した」(当時テスト開発委員会メンバー)画期的なものでした。しかし、多くの方に受け入れられるまでには時間がかかりました。

「相手にもしてもらえない企業もありました。名刺を受け取ってくれないなんてしょっちゅう。でも、話をしてとにかくテストを使って初めてテストの価値が理解され、リクルート自体の信頼を得ていったんです。『わが社の採用の質が上がった』と言ってくれた方々が、パートナーとなってくれました。お客様から教えてもらって、『これでいいんだ』と気づきました。」(当時・開発)

SPIの誕生

リクルートテスト開発から約10年、総合適性検査SPIが誕生します。

「当時はまだ、"学歴"でみて"常識テスト"で確認というのが採用の主流だった。 "身辺調査"も流行っていた。ちゃんと個人に焦点を当てる採用選抜のあり方に変えたかった。」(当時・営業)

SPIは、それまで別個のテストであった能力検査・性格検査・モチベーション検査・性格類型検査を統合した「知能で序列していくのではなく、いろいろな側面から見て総合的に判断するテスト」であり、人物中心主義の日本のHRMのニーズに応えた最初の「総合適性検査」だったのです。

(採用される)人の個性を十分に引き出せるものであること。そして(採用する)人が使いこなせるものであること。SPIは採用に革命を起こしたのです。その衝撃は大きく、しかし、お客様にゆっくりとではありますが、着実に受け入れられていくことになります。

事業者としての社会的責任を忘れない

1973年、事業の基盤となる考え方を社内外にアピールする「人事アセスメント5原則」を制定しました。最近でこそ事業憲章を制定している企業・業界は増えていますが、弊社は事業の社会的責任を早くから意識し、その思いが人事測定事業憲章制定に結実したのです。

「一社一社の採用選抜や異動・昇進という場面でお役に立つというミクロの局面だけでなく、全体として社会にどんな影響を及ぼしているか、またテストを受ける人、受検者にとってどんなプラスとマイナスがあるか。最終的に受検者個人に受け入れられる、いや積極的に個人の福祉に寄与する――こういう視点をゴールにしないと、この事業の将来性はないのではないか、私はそう考えています。人事測定事業憲章を制定し、自らの戒めとしてきたこと、これがこの事業の社会的責任の原点だと思います。」(当時・テスト部部長)

学会とのリレーションづくりにも積極的に取り組んできました。事業憲章の中にある「科学性の原則」に則ってアカデミックベースでビジネスをしたい、学会への貢献を通して情報や知識を吸収していきたい、学会発表を通して人材育成・技術開発につなげたい、そのような理由から、現在でも産業・組織心理学会、経営行動科学学会、日本テスト学会などに毎年数件ずつの発表を行っています。

「学会発表はエネルギーがかかるし、学会とのリレーションをやめるという戦略もあるでしょう。確かに、1、2年で困ることはないでしょうが、長期的に見ると、足腰が弱くなると思いますね。」(前・組織行動研究所所長)

1995年には、日本人事テスト事業者懇談会を設立します。採用差別などの問題に対し、テストを開発・提供する事業者自ら自主規準をつくって姿勢を正そうということと、知的所有権をお互いに尊重する業界にしなければならない、という2つの思いがありました。

「人事テスト事業者としての社会的責任を自覚し、遵守すべき規範を共有し節度を持って仕事をしていこうという同業者の集まりをつくり、そこで『自主規準』をつくりました。業界のトップランナーとしてやらなければいけない仕事だと思っていました。
結局、自主規準をつくるのに4年かかりましたが、いろいろと話し合ったことが、よかったと思います。それを掲げて賛同者に集まってもらいました。今では30社くらい集まっています。」(当時・代表取締役)

システム化への挑戦

お客様からのニーズが高まるにつれ、大量のテストをスピーディかつ正確に採点、集計、ご報告することが求められるようになります。われわれのシステム化の追求は1966年に始まります。

「データ処理システムのコンピュータ化の歩みは、光学式マークリーダーIBM1230の導入に始まります。日本では人事院に次ぐ2台目の機械でした。当時は報告書の作成はすべてが手作業の時代でしたから、「字のうまい」ことが、部員の必須の要件であり、全社員総がかりで終日作業しても、1日200名の採点処理が限度でした。IBM1230は、回答の読み取りだけとはいえ、人間の目よりも確かで、しかも1時間に1200枚も判読しましたから、当時はまさに画期的でした。」(当時・品質管理)

SPIが開発された当時は、「24時間報告」、84年には「朝持ち込めば、夕方報告」が、さらに93年には「3時間報告」が可能となりました。新卒採用が一時期に集中する日本の採用事情の中では、早く大量に採点処理・結果報告が行われることがお客様にとっての何よりの利便性でした。 SPIはコンピュータ化だけでなく、オンラインFAX、ネット報告など、最先端の技術を取り入れ、どんなに大量でも、早く正確に、結果をお客様にお届けするシステムを実現していきました。

SPIからSPI 2へ~進化の歴史~

SPIは開発から何度か、大きな改訂がされてきました。中でも、1996年の全面改訂時には、検査時間大幅短縮、質問項目や報告コメントも改訂されました。

「適性検査への期待や要請は時代により変化しており、SPIは規模の大小を問わず幾度となく改訂が重ねられてきました。その中で最大規模の改訂が1996年の全面改訂です。受検者への回答負荷を考慮し、500項目から一気に350項目に項目を削減しました。また、受検者の特徴が現れやすいように質問項目を見直しました。これによって、項目数を削減したにも関わらず尺度の信頼性も向上し、適性検査としての性能向上を実現しました。」(当時・開発)

そして、2002年10月、これまでご利用いただいたお客様の声を反映させたSPI 2が完成します。

「SPIは長い提供の歴史があり、顧客から様々なご要望を受けていたんですね。例えば
・SPIはTI(性格類型)のコメントと情緒面のコメントが分かれており、矛盾して見えることがある
・プロフィールの解釈が難しい。使いにくい
・面接時の質問で何を聞いていいかわからない
・・・・・・
それをまとめ、解決したものがSPI 2なのです。」(当時・開発)

完成に3年。一人ひとりの性格のプロフィールを解釈した1028種類のコメント作成には約3000時間をかけました。開発プロジェクトは、6人体制で3年、最後は全社プロジェクトとして、営業や品質管理も加わりました。関連システムの開発やメンテナンスも約10種類におよびます。 SPIは、開発当初からの理念・品質により一層の利便性を備えたSPI 2となり、次の時代へと移っていったのです。

適性検査は、開発しておしまいというものではありません。信頼に足る精度や妥当性を保ち、向上させていく責任があります。特に採用選考の場面で使われているSPIにとって、検査の品質はお客様のためだけでなく、受検者に公正・公平な機会を提供するためのものでもあります。

「SPI、SPI 2の品質を維持・向上させていくために、毎年毎年、膨大な受検者データを分析しています。例えば、能力検査は数多くありますし、常に少しずつ入れ替えています。常に変わっていく『動的』なものの品質を高く、均一に保つにはどうしたらいいか ――これまで長い間の工夫と努力の蓄積が高度なテストの品質管理技術として継承され、 SPIは多くの方々の信頼を得る適性検査であり続けているんだと思っています。

そして、SPIの品質管理は、多くの受検者のデータに支えられています。多くのお客様に使っていただいているからこそ、高い品質を保つための膨大なデータが得られる ......SPI 2は今もなお、様々な面でお客様に育てられている商品なんだと思います。」(現在・品質管理)

もう1つの挑戦~テストセンター開設~

2004年1月、SPI 2は再び日本の採用に革命をもたらします。弊社が用意したPCを常設した会場で適性検査を受検し、受検終了と同時に採点されて結果報告可能な状態となる、テストセンター方式によるテストのご提供です。テストセンターという仕組みは、お客様にとっては適性検査実施全体を弊社が請け負うことで、手間やコストを削減でき、受検者にとっては都合に合わせて適性検査の受検ができることで、就職活動の自由度を高めることができます。採用に関わる様々な社会的コストを大きく削減したこのシステムは、今では多くのお客様・受検者に受け入れられています。

テストセンターで実施されているCBT(Computer Based Testing)には、弊社が蓄積してきたテスト技術が凝縮されています。受検者一人ひとりのレベルに適した問題を出題すること(適応型テスト)による検査時間の短縮を実現し、なおかつマークシート方式のテストと同じ精度を保っています。また、これまでの運用ノウハウの蓄積を生かし、受検の予約システムや会場管理態勢を構築し、お客様・受検者の利便性を図っています。

「現代のテスト理論である項目反応理論を利用した適応型テスト技術は、理論的には早くからありましたが、コンピュータ性能の向上に伴って2000年前後から急速に実用化が進みました。弊社ではすでに80年代から実用化の研究を始めており、グループ企業に限定的に提供していました。CBTの実用化にはテスト理論だけでは解決できない課題も多く、長年にわたる実用現場からの数多くのフィードバックにより、CBT技術を蓄積してきたことが大規模なテストセンターの実現に大きく寄与しています。」(当時・開発)

テストセンターを支えているCBTは、弊社が長い間地道に研究してきた技術が、機会を得て一気に花開いたものです。そしてまた、これまで蓄積してきた問題項目や、毎年分析を重ねてきたデータが真価を発揮したものでもあります。

そして未来へ

SPIの軌跡は、その価値の実現に誠実にかつ挑戦的に取り組んだ歴史であり、今もなお挑戦は続いています。世の中のニーズの移り変わりに応えて変化していきつつも、採用選考場面で十分活用していただけるだけの品質を変わらずに守り、利便性も高めていく、という終わりのない挑戦。いつの日か、SPIもSPI 2も超えていく適性検査をつくって世に問う日を目指して、研鑽を重ねていきたいと思います。

>>>SPI3の面接での活用 はこちら

>>>「総合検査SPI3」商品ページはこちら

関連商品
  • ReCoBookBlog
  • リクナビダイレクト 掲載料、採用決定料0円
  • リクナビ2017 掲載企業数NO.1!
  • 人事向けノウハウサイト 採用成功ナビ 新卒
  • 中途採用なら 採用成功ナビ
  • リクルートキャリアのサービス紹介サイト 人事採用ナビ
  • 就職SHOP

ページの先頭へ

Recruit Career Co.,Ltd.
リクルートグループのサイトへ