1. TOP
  2. 特集・コラム
  3. 調査・研究レポート
  4. 評価したいものを測定する適性検査とは

調査・研究レポート

2011年09月02日評価したいものを測定する適性検査とは

研究員 持主弓子

多くの企業で採用や昇進・昇格選考などに利用されている適性検査。適性検査をはじめとする人事アセスメントは人の能力や性格といった目に見えないものを測定するため、その良し悪しはひと目ではわかりにくいものです。しかし意思決定にあたっての情報を提供するものであることを考えると、有用な情報が正しく提示されるものでなければならないはずです。これが人事アセスメントの品質です。

今回は人事アセスメントの品質の重要な指標の一つである妥当性について、適性検査を例に、その概要と弊社のSPI 2を用いた妥当性検証の取り組みをご紹介したいと思います。

良い適性検査とは?

良い適性検査とは「[1]評価したいものを[2]高い精度で測定できる検査」です。 [2]の「高い精度で測定できる」ことは信頼性という指標で示されます。これは検査結果の安定性や測定内容の一貫性を表す指標です。「精度が高い」ということは、「何回検査をしても同じような結果となる」、つまり「結果に安定性・一貫性がある」ということになります。

一方、[1]の「評価したいものを測定できる」か否かを示す指標が妥当性です。もう一歩踏み込んだ定義をすれば、妥当性は、「その検査が、使う目的や対象集団に照らして適切なものかどうか」という指標であるといえます。そのため、同じ適性検査でも、使用場面によって妥当性が違ってくることがあります。採用場面では適切でなくても、配置・配属には有効、という適性検査もありうるでしょう。

適性検査を量りに例えると、「対象に適した量りの選択」が妥当性の範疇の問題であり、「量りの目盛りの細かさ・安定性」が信頼性の範疇の問題であるといえます。妥当性は信頼性と比べてケースバイケースの面があり、このことが妥当性を考える際の難しさの一因になっているともいえます。

「適切さ」を科学する

では、妥当性の定義のうち、「適切なものかどうか」は実際にはどのように考えたらよいのでしょうか?専門的には「構成概念妥当性」「内容的妥当性」「基準関連妥当性」という用語を使って説明されますが、今回は人事の視点に立って書かれた『人事アセスメント論』(二村英幸、2005)を参考に、以下の4つのわかりやすい観点に沿って見てみることにします。

(1)対象になる人物特性の概念の明確さ

測定したいものが、概念的に明確であるかという、妥当性の原点ともいえる観点です。採用での適性検査を例に考えると、まず、採用場面において、どのような人物特性に焦点を当てるべきかが「明解に」定まっている必要があります。例えば「企画力」といったようなあいまいな言葉だけでは、実際にどんな特性なのかはっきりしません。人によってまちまちな解釈を招いたり、想定していたような特性を測定できなかったり、といったことが起こってしまい、「評価したいものが測定できる」という妥当性の根幹が崩れてしまいます。「評価したいもの」を誰にとってもわかりやすい内容で定めることが、妥当性を高める上での出発点です。

(2)質問項目や評定項目の内容の適切さ

測定のための質問項目が定義した人物特性の概念を必要十分に反映しているか、という観点です。一つひとつの項目の内容が適切で誤解のないものであるだけでなく、その概念をいろいろな面から表す項目を十分に集めていないと、定義した人物特性の把握が偏ったものになってしまいます。

(3)目標となる評価基準との相関関係

人事考課など別の基準と適性検査との関係を調べることで、「評価したいもの」が適性検査でどのくらい「当てられて」いるのか、という観点です。関係を見る際には、適性検査の得点と人事考課・職務満足度調査など別の指標との関連を表す相関係数(妥当性係数といいます)がよく用いられます。しかし、人事考課・職務満足度といった指標は、様々な要因が重なった上での数値ですし、誤差も含まれています。したがって、妥当性が高いと思われる検査でも、そう高い相関係数が出てくるものではありません。例えば、職務行動と「まじめさ」にはそれなりの関係があると考えられますが、人事考課と「まじめさ得点」の相関の値は0.1~0.3といった低い水準になってしまいます。職務行動に影響する要因は「まじめさ」だけではなく、人事考課自体にも様々な誤差が含まれているからです。

(4)アセスメント課程の批評価者による心証の検討

評価される場面や過程が被評価者に受け入れられるものであるかどうか、という観点です。アセスメントの質とは直接関係ないように見えますが、妥当な結果を得るという点で、また、被評価者に結果を受け入れてもらうという点で、非常に重要です。項目の内容や表現の適切さや実施手続き、所要時間、心理的・肉体的負荷が許容範囲か、といったことが問題となります。項目の内容・表現・実施手続きなどが適正でないと、被評価者に不快感・不信感を与え、正しい結果を得ることができないおそれがあります。所要時間が長い、心理的・肉体的負荷が大きいといった状況は、被評価者を疲れさせ、いい加減な回答を誘発しかねません。のちのち「あんな検査で評価された」といったネガティブな感情を与え、実施側に対する不信感にまで発展しないとも限りません。

このように、妥当性を捉える観点はいくつもありますが、信頼に足る結果を得るためにはどれも重要です。(3)で触れた「妥当性係数」は、妥当性が数値で表される点でわかりやすいのですが、先に述べたような様々な要因に影響を受ける数字であり、これだけでは「真に評価したいものを測定しているのか」判断できないこともあります。データで検証しながらも、概念的・内容的に広く妥当性を捉える姿勢も忘れず、総合的に検討していく必要があるものなのです。

妥当性に関する研究

弊社では(1)~(4)で述べた妥当性を確認しながら適性検査の開発を行っております。特に適性検査の使用場面を考慮したとき、将来の職務遂行能力の予測ができているかどうかが重要なポイントになると考えられます。そのため、この「適性検査の結果と実際に仕事を行う際の職務遂行能力との間に一定の関係がみられるかどうか」については、コンスタントに確認を行い、学会にもその成果を発表しております(図表01)。

図表01:弊社適性検査の妥当性に関する最近の発表例

ここでは「一般企業人を対象とした性格検査の妥当性のメタ分析と一般化(2002)」の研究内容を簡単に紹介させていただきます。

この研究では2000年7月から12月までの期間に集められた12社での研究を対象としています。これらは、いずれも適性検査に総合検査SPI 2、職務遂行能力評価に、直属上長が対象者の職務遂行能力を1項目6段階尺度で評価した調査票を用いています。のべ対象者数は1607名で、1社あたりの人数は72名から209名で、平均134名でした。

この12社の結果から、より一般的な傾向を導き出すために、個別の研究を総括して全体の傾向を分析し、総合検査SPI 2の妥当性の水準を算出しています。

図表02は分析の結果です。「妥当性係数」は、適性検査の得点と職務遂行能力評価の相関を見たもので、±0.1~0.2程度を基準に妥当性の高低を判断します。「80%確信区間」は企業特性や職種など状況の違いを超えて妥当性が安定したものであるかどうかを示すもので、範囲に0を含まない場合、その尺度は安定して一定方向の妥当性を示すとみなすことができます。

「妥当性係数」および「80%確信区間」の値から、職務遂行能力との関連が高い(つまり妥当性が高い)尺度としてあげられるのは、13の尺度のうち社会的内向性(SO)、身体活動性(AC)、達成意欲(AM)、活動意欲(VI)、自責性(DE)、自信性(OA)の6つでした。これらのSPIの尺度は、企業特性や職種など状況の違いを超えて安定して妥当性を示す尺度であるといえます。また、敏感性(NE)も職務遂行能力と一定の関連がみられます。

この研究で確認された妥当性係数の数値は諸外国の先行研究と比較してほぼ同等のレベルです。1991年に発表された研究(Barrick、M.R. & Mount、M.K.)では、さまざまな職種平均で、Conscientiousness(勤勉性、誠実性)が0.22を示すことが報告されています。また1997年の研究(Salagado、J.F.)では、同じくConscientiousnessについて0.15、Emotional Stability(情緒安定性)について0.13を示すことが報告されています。

図表02:SPI 2の妥当性の水準

適性検査の品質の確認、有効性の検証はここまで行えば終わりという類のものではありません。時代が変われば「評価したいもの」も変わりますし、適性検査の利用のされ方も、当初考えていたものから離れていくことがないとは言えないからです。弊社では、適性検査が変わらず有用で精度の高い情報を提供しているか、常に確認・検証をし続けています。それらの結果についても、次の機会にご紹介させていただきたいと思っております。

※ご注意いただきたい点
上記の研究は、適性検査の結果と職務遂行能力との関連性についての一般的な傾向を確認したものです。個別の企業における分析では、各企業の特徴・職種などの影響により、今回の分析結果とは異なる傾向を示す可能性もございます。弊社では個々のご利用企業に対して、有効性の分析についてもお手伝いをさせていただいておりますので、ご興味があればぜひともご相談下さい。

  • ReCoBookBlog
  • リクナビダイレクト 掲載料、採用決定料0円
  • リクナビ2017 掲載企業数NO.1!
  • 人事向けノウハウサイト 採用成功ナビ 新卒
  • 中途採用なら 採用成功ナビ
  • リクルートキャリアのサービス紹介サイト 人事採用ナビ
  • 就職SHOP

ページの先頭へ

Recruit Career Co.,Ltd.
リクルートグループのサイトへ