適性検査SPI3導入事例

新入社員・指導社員の合同研修で相互理解を促進、職場ぐるみで育成する"仕組みづくり"により定着率向上を実現


伊藤忠建材株式会社
目的・課題

指導社員1人だけでは、「新入社員の孤立」を防ぎきれないケースが発生。反対に新入社員指導が指導社員に任せきりとなり、「指導社員の孤立」も発生してしまっていた。

職場ぐるみで育成する“仕組みづくり”を通じて、新入社員と指導社員の負担を減らしたかった。

SPI3の
活用方法

新入社員と指導社員がSPI3 for Employeesで理解し合う「相互理解研修」を4月に実施

4月の「指導社員研修」と9月の「中間フォロー研修」で指導社員を支援し、職場ぐるみの育成を後押し

上司にも新入社員のSPIとSPI3 for Employeesの結果を伝え、理解を深めてもらっている

効果

職場ぐるみで新入社員育成をする事例が徐々に挙がってきた

新入社員の定着率が約10%UP

指導社員が中心となって職場ぐるみで新入社員を受け入れ育成する仕組みを作りたかった

私たち伊藤忠建材は、日本初の建材商社として1961年に伊藤忠商事の木材部門より独立し生まれた、伊藤忠グループの「生活空間」に関わる建材専門商社です。私たちは30年ほど前から、新入社員の受け入れ・育成施策として新入社員育成者(以下、指導社員)に対する「指導社員研修」を続けてきました。2019年から、そのバージョンアップ施策として、SPI3 for Employeesを活用した「相互理解研修」「指導社員研修」「中間フォロー研修」を実施しています。これら一連の施策について詳しくお話しします。

施策をバージョンアップした背景には、「職場ぐるみの新入社員の受け入れと育成」をより促進したい、という想いがありました。2019年以前は、新入社員指導に関して、指導社員1人に任せきりな状況が続いていました。通常業務に指導が純増した指導社員から、負担を減らしてほしいという意見も挙がってきており、部署内での「指導社員の孤立」が課題となっていました。

また、「新入社員の孤立」も課題として挙がっていました。当社は従業員数434名(単体:2026年3月31日現在)で、新入社員は毎年平均10数人ほどです。この組織規模では、新入社員が部署に1人だけ配属されるケースがほとんどで、特に地方支店では年の近い先輩社員がいないなど、職場内で孤立しやすいという構造的な問題がありました。そのために指導社員をつけているわけですが、指導社員と30歳年齢差があったり、指導社員が出張続きで対面指導が難しいなど、指導社員だけでは新入社員の孤立を防ぎきれないケースがありました。

そうした状況を受けて、私たちは指導社員の役割の明確化と、部署全体の教育体制構築に乗り出すことを決めました。配属先の部署全体で新入社員を受け入れ、育てる仕組みを作って、指導社員の負担を減らし、新入社員の孤立を防ぎながら、しっかりと育成していこうと考えたのです。そのためには、まず上司と指導社員の意識と行動を変える必要がありました。また、新入社員たちをよりスムーズに受け入れるためには、新入社員と指導社員が相互理解を深めることも大切でした。私たちは、これらの課題についてリクルートマネジメントソリューションズに相談し、「相互理解研修」「指導社員研修」「中間フォロー研修」を実施することに決めました。

新入社員と指導社員がSPI3 for Employeesで理解し合う「相互理解研修」を4月に実施

一連の施策の中心は「相互理解研修」です。毎年4月に入社する新入社員たちは、最初に2週間ほどの新入社員研修を受講しますが、その最終週に本研修を実施しています。相互理解研修には新入社員はもちろん、指導社員にもリアルで全員集合してもらっています。2026年度は新入社員14人とその指導社員が参加しました。

相互理解研修では、新入社員と指導社員がSPI3 for Employeesの本人フィードバック報告書を見せ合って、お互いの性格タイプやモチベーションの源泉を理解したうえで、配属後の望ましい関わり方などを一緒に考えてもらいます。指導社員は新入社員の性格タイプやモチベーションの源泉を知ることで、日頃どのように接したらよいのか、どういう伝え方で仕事を依頼するとやる気が高まるのか、といったことが分かりやすくなります。新入社員たちも指導社員の性格タイプなどが分かると、指導社員の言動を受け入れやすくなり、安心感が高まります(なお当然ながら、指導社員にも新入社員にも事前にSPI3 for Employeesを受けてもらっています)。研修は真面目な内容ですが、性格タイプ診断的な要素やグループワークもあり、毎年非常に盛り上がりを感じます。

例えば、私は今まさに指導社員を務めていますが、新入社員とは性格タイプが逆でした。研修中の説明で、お互いに性格タイプが逆だとコミュニケーションエラーが起こりやすいことが分かっていたため、相互理解研修では、新入社員へ指導する際の「伝え方」を一緒に決めました。新入社員は、「指導すべき点があれば、気を使って周りくどくせず、直球で伝えてほしい」との想いを率直に伝えてくれたので、その意向を踏まえて私は、「単に先輩後輩の関係ではなく、一緒に仕事をする同僚として接する」「逆に、先輩だからと気遣うことなく、意見があるときは遠慮する必要はない」と伝え、実践しています。もちろんすべてをド直球に伝えるわけではありませんが、こうして初めに関わり方の方針を立てられることは非常に安心です。相手の言動に違和感を覚えたとき、お互いに「自分とは逆だからこういう言動になるのか」という発想を持つことができるのは、心理的にずいぶん助かっています。

もちろん、各部署の上司の関わりも非常に重要な要素の1つです。私たちは、上司にも新入社員のSPIとSPI3 for Employeesの結果を伝えて理解を深めてもらうだけでなく、新入社員の配属前のタイミングで、配属先すべての上司を集めた説明会を実施し、SPIの読み取り方や関わり方のポイントを説明と共にスムーズな新入社員受け入れに繋がるような意識づけを図っています。また、上司には指導社員と密にコミュニケーションを取り、指導状況をしっかりと把握し、積極的に関わるよう繰り返しお願いをしています。このように新入社員と指導社員の関係構築だけでなく、部署上司の受け入れ態勢を万全にしておくことも、まさに職場ぐるみで育成する“仕組みづくり”に関する取り組みの1つです。

「指導社員研修」と「中間フォロー研修」で指導社員を支援し、職場ぐるみの育成を後押し

指導社員向けの研修としては、4月に指導社員研修、9月に中間フォロー研修をオンラインで実施しています。4月の「指導社員研修」では、その年の指導社員の皆さんに向けて、育成者の役割やお願いしたいこと、現代の若者の特徴や傾向、若者とのコミュニケーションの取り方などをインプットしています。また、この場で本人にSPI3 for Employeesをフィードバックし、報告書の見方を伝えています。これが相互理解研修の準備にもなります。

近年、指導社員の役割は単なる“育成担当”ではなく、“育成リーダー”としての役割へ変容しています。具体的には、指導社員には、部署内の誰がどの場面でどのように新入社員を指導するのかを決める「指導計画」を上司と共に立て、4半期ごとにレビュー・報告してもらっています。重要なことは、積極的に上司や他のメンバーに指導を振り分けてもらうことです。例えば、「指導社員が出張する際には○○新入社員を指導する」「事務作業については△△さんが中心となって教える」といったイメージで、自分だけで背負わずに周囲にどんどん任せる仕組みを積極的に作るよう、指導社員とその上司に伝えています。もちろん指導社員が新入社員のOJTを最も頻繁に支援する立場にあるわけですが、指導社員は単に育成リーダーのような位置づけであって、育成責任を担う役割ではありません(責任は上司が担う)。

毎年、指導社員から取得した意見や事例を研修に取り入れていますが、ここ数年、「指導社員に任せきりになっている」「周囲からの協力を得にくい」といった悩みが増えていました。そこで、“周囲の巻き込み方”に関するロールプレイングを意図的に研修へ組み込み、過去の指導社員が経験した課題をもとに「自分だったらどうするか」を指導社員各自が考え、意見共有できる場を創ることで、周囲との関わり方のヒントの獲得と、“一人で抱える必要はない”という意識の刷り込みを図っています。

9月の「中間フォロー研修」では、指導社員たちに半年間の育成について振り返りと事例共有を主に実施します。例えば、効果的な指導や役割分担を実践した人がいたら、積極的に共有してもらうようにしています。また、指導社員全員が新入社員育成に何かしらの悩みを抱えていますから、お互いに悩みを吐露して解決策を皆で考える時間も十分に設けています。
さらに、ケースワークを通じて効果的な関わり方をインプットするメニューもあります。参加者は総じて積極的・前向きな受講姿勢で、頼もしく感じる一方で、彼らにとっては、同じ立場の仲間たちと悩みを共有し、他部署のやり方を知ることができることは、ある種自分のやり方に自信を持ち、安心できる時間になっている様子です。せっかく指導社員という貴重な経験をしてもらっているわけですから、新入社員指導を通じ、指導社員自身の成長や今後の仕事へ繋がるスキルの獲得へ接続できるような意識づけも行います。

一方で、当然のことですが、職場ぐるみの育成の中心にいるのは新入社員本人であり、本人の頑張りが成長を最も左右します。本人が周囲と積極的にコミュニケーションを取り、主体的に人間関係を広げて、いろいろな人に力を借りながら業務を覚え、自ら成長していこうとする姿勢が極めて大切です。私たちは、新入社員研修や折々の機会で、新入社員たちに繰り返しそのことを伝えるようにしています。

職場ぐるみの育成風土の定着を実感しており、新入社員の定着率UP

一連の取り組みを続けた結果として、「新入社員育成は職場ぐるみで取り組むもの」という考えの定着を徐々に感じています。実際に各部署の指導計画を見ると、部署のメンバーへまんべんなく役割が割り振られている他、時には隣の部署まで巻き込んでフォローしている、という事例も挙がってきています。

また、少し話は逸れますが、リクルートマネジメントソリューションズの「INSIDES」も活用し、新入社員のメンタルを定点観測する仕組みも持っています。INSIDESの結果が悪ければ人事と本人で面談を実施する他、人事と上司で改善策を考える際の資料としてSPI3 for Employeesの結果を活用しています。
インサイズ(INSIDES):https://www.ms.recruit-insides.net/

そして今回お伝えした一連の取り組みの結果として、新入社員の定着率が10%弱向上しています。
数値改善の直接の要因であると断定することはできませんが、一定の寄与があったものと見ており、手ごたえを感じているところです。

<参考:基準日から直近5年間における新卒社員の定着率>
2021年3月末時点:86% ⇒ 2026年3月末時点:95%

今後も改善を続け、職場ぐるみで新入社員育成する“仕組み”をさらに根づかせていきたいと思います。
さて、繰り返し“仕組み”というワードを意図的に使ってきましたが(笑)、属人的な取り組みを続けるようなら、せっかく良くなってきた風土はいずれまた失われ、定着率も下がってしまいます。そうしないためにも、どんな社員・どんな部署であっても再現性のある“仕組みづくり”に引き続き取り組んでいきたいと考えています。なお、SPI3 for Employeesは、人事・上司・指導社員・新入社員の誰にとってもポジティブな情報で、関係者全員がそれぞれの立場で活用しています。今後は、SPI3 for Employeesを新入社員の配属などに活用することも検討しています。

人事総務部 人事総務課 鵜髙陽太 様 

伊藤忠建材株式会社

従業員数:
434名(単体:2026年3月31日時点)
業種:
専門商社 その他 
課題:
  • オンボーディング
  • マネジメント

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