導入事例

「人の成長=企業の成長」の実現を目指して
~"強み"を生かしたチャレンジを応援~

株式会社丸井グループ
目的・課題

自社の手挙げの文化に加えて、社員の自律的なキャリア支援や、強みを発揮できるようなマネジメントを推進していきたい。

SPI3の
活用方法

全従業員にSPI3 for Employeesを実施し、フィードバックガイダンスを実施。各職場でもSPI結果をコミュニケーションに活用する動きもある。

効果

ガイダンス満足度97%。フィードバックにより自己理解を深め、自身のキャリアを考える材料として活用できている。

企業文化の革新に向けた取り組み

私たち3人は、店舗の販促企画やバイヤー、フィンテック事業などさまざまなバックグラウンドを持っています。丸井グループでは「お客さまのお役に立つために進化し続ける」「人の成長=企業の成長」という経営理念を掲げており、私たちは多様なキャリアを経験するなかで、一人ひとりの社員の成長を支援する人事領域に興味を持つようになり、希望して異動してきました。

この経営理念は、創業当時からあったわけではありません。過去には個人の成果を追い求める風土であった時期もありました。2005年に現在の代表取締役社長の青井が就任し、企業文化を変革させるために、経営層が現場の社員と働く意義について何度も対話し新たな経営理念を創り、さらに自主性を大切にする「手挙げの文化」の浸透や「グループ間職種変更」「評価制度の変更」などのさまざまな取り組みを行いました。会社の文化を変革していくためには、時間をかけて丁寧に取り組み、徐々に浸透させていくものと捉えていたからです。

その甲斐があって、10年経つ頃には「手挙げの文化」という言葉は社員誰もが自覚できるほど定着しました。「手挙げ」とは何事にも一人ひとりが自らチャレンジできる仕組みです。学びの場への参加や異動も本人の意向を尊重しますし、新しいプロジェクトが発足する際には、会社側から一方的にアサインをするのではなく、社内で参加希望者を募る公募形式で集めるのが当たり前になっています。

また、当社のビジネスモデルの変革も大きな転機となっています。社外からは百貨店や小売事業の会社というイメージが強いかもしれませんが、私たちはフィンテックやスタートアップなどへの投資、DX推進など幅広い事業を展開し、「社会課題解決型企業」としてインパクトを実現していくことを掲げております。そのためには、社員一人ひとりがそれぞれの強みを生かしながらチャレンジしていくことができる組織であることが重要であり、企業文化を今後さらにアップデートしていくことが求められています。

そういった環境変化を受けて、今後どのような働き方を目指していくべきかを考え、人事部として社員の自律的なキャリア支援や、強みを発揮できるようなマネジメントのあり方を推進していくことを目指し、そのなかの施策の1つとしてSPI3 for Employeesの活用に取り組みました。

各部署の協力を仰ぎながらSPIの全社員受検を実現

丸井グループには、グループ内のさまざまな会社を横断して異動を繰り返し、イノベーションを創出する人材へ成長することを目的とした「グループ間職種変更」という独自の取り組みがあります。この異動に向けて、一人ひとりが将来チャレンジしたいことやキャリアの希望などを会社側へ伝える制度(自己申告制度)があるのですが、これまでの自己申告では、個人のやりたいことや興味があることに基づき申告することが多く、今後はそれに加えて、自分の価値観や強みを生かした働き方や仕事もキャリアとして描いてもらえるようにしたいと考えました。

そこで2022年にSPI3 for Employeesの社員受検と本人へのフィードバック・価値観理解のためのガイダンス開催等の施策を実施しました。もともとSPI3は採用場面で、個人の資質を知ることができる適性検査として活用していました。社員向けのSPI3 for Employeesは、個人の志向や価値観、コミュニケーション特性をさらに広く測定することができ、項目も具体的だったので、自己理解やチームビルディングに活用できる可能性を感じました。

受検に対する社員の抵抗感はほとんどありませんでしたが、取り組みを推進していくうえで理解を得られるための工夫は行いました。目的を伝えることに加え、SPI3 for Employeesはあくまでその人の資質部分を見ているだけで、その人のすべてではないという趣旨や位置づけをしっかりと社員に説明しました。また、理解促進のため、報告書の読み取り方のレクチャーや、マネジャーとメンバー向けに内容を分けたガイダンスを複数回実施しました。

全社員の受検が実現したポイントとしては、各部門の協力体制が得やすかったことも挙げられます。グループ内にはさまざまな職種があり、就業場所によっては受検環境が万全に整っているわけではありませんでした。そこでシステム部門にはアクセス環境を整備してもらい、店舗内では共有PCを貸し出したり勤務シフトを調整してもらったりするなど、さまざまな部署の協力を得ることにより全員が期間内に受検できました。

このような協力が得られたのは、職種変更によりグループ内での異動が多く、他部門の業務や事情の理解が進んでいるため、組織の壁を感じずに、お互いに協力しようとする姿勢が根付いていることも背景にあると思います。

「キャリア形成」や「支援するマネジメント」の実現に向けたガイダンス開催

SPI3 for Employeesの結果を一人ひとりのキャリアや仕事との向き合い方に生かしてもらうため、「マネジャー向け」「メンバー向け」と2種類のガイダンスも実施しました。

マネジャー向けガイダンスでは、報告書の基本的な読み取り方に加え、メンバー本人が気づかない適性に着目した声がけができるようなワークも実施しています。
ワークを通じて、マネジメントのバイアスに気づくと共に、自己開示や他者理解を促す効果がありました。またマネジャー間で悩みを分かち合うことで、横のつながりが芽生える副次効果もありました。

メンバー向けガイダンスの工夫としては「WILL-CAN-MUST」を整理できるような設計にした点です。自己申告はやりたいこと(WILL)で捉えがちですが、自分のできること(CAN)や会社から求められていること(MUST)を含めた、立体的な視点でキャリアを考えてもらいたかったという思いがあったからです。

自己理解をさらに促すために、ワークはあえて少し距離が遠い部署のメンバー同士を組み合わせるようにしました。普段の仕事では接点が少ない社員同士だからこそ自己開示しやすい環境をつくるためです。相互インタビューでは最初は恥ずかしい素振りを見せる参加者もいましたが、徐々に打ち解け、対話の時間が足りないぐらい盛り上がるシーンもありました。

マネジャー向けのガイダンスは事前のWEB動画と組み合わせて3時間に凝縮して実施するようにし業務への影響を抑える工夫を行いました。また、実施時期をフィードバック面談の前に設定し、実際のメンバーとのコミュニケーションに反映しやすくなるように工夫しました。既存の人事制度と組み合わせることで、新しい取り組みの実効性をより高めることを目指しています。

ガイダンス満足度は97%以上。各職場でも自主的なSPI活用が進む

ガイダンスの満足度は97%以上と非常に高く、ただ受検してもらい結果をフィードバックするだけでなく、グループワークを組み込んだガイダンスの場を組み合わせることで、理解を深めることができました。

嬉しいことに、ガイダンスで終わりではなく、各職場でSPI3 for Employeesの活用も進んでいます。

私たちから特別な働きかけをしたわけではないのですが、「自分のことを知ってもらおうとオリジナルの動画を作成してみた」や「対話会を開催したことでチーム力が上がった」などの自主的な取り組みを各職場で実施している、という声が届くようになりました。このような事例をもっと増やしたいと思い、社内のポータルサイトで事例を紹介するなどして社内に広がるように支援しています。

「仕事が楽しい!」と思える状態をつくり、一人ひとりが活躍していくために

さまざまな取り組みを実施したことで、一人ひとりが今後のキャリアを考えていく視点にも徐々に広がりが感じられるようになりました。

当社では、自己申告に向けて「キャリアデザインフォーラム」というイベントを開催しています。各部門がパネルディスカッションを実施し、その部門で実際に活躍している社員の仕事での工夫や課題の乗り越え方を話してもらっているのです。

今年は「SPI3 for Employeesのタイプごとにどう課題を乗り越えるか」「強みを生かしてどう成長できるか」という視点をパネルディスカッションに加えて開催しました。参加者の感想文から、より個々人の強みをキャリアに生かす意識が芽生えるようになったことを実感しています。社員の声も踏まえ、今後はデータを活用して自分のキャリアの描き方や職種とのマッチングの提案をするなどの支援も検討していきたいと考えています。

また、一人ひとりのやりたいこと(WILL)を引き出し、強み(CAN)を生かしたチャレンジを応援するためには1on1が重要であると考えており、今後はより効果的な場とするために、SPI3 for Employeesを活用した取り組みの推進を検討しています。

私たちは、自分の強みが発揮され、価値観・仕事観がマッチした状態で働いている職場では「仕事が楽しい!」と感じられるのではないかと考えています。そして、「仕事が楽しい」と感じられることは、より一人ひとりの創造力が発揮され、失敗を恐れずに新たなチャレンジすることへつながり、その結果として組織としてイノベーションが生み出されていくと思います。そうした働き方を実現していくことはまさに経営理念の実現であり、当社が掲げるインパクトを創出していくことにもつながると信じています。

人事部    人事企画担当 梅溪 祐紀恵様  杉浦 夏実様 春日井 宏幸様

株式会社丸井グループ

従業員数:
4,677名(グループ全体/2023年3月31日現在)
業種:
流通・小売 
課題:
  • マネジメント
  • キャリア自律
  • 配属・異動

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