導入事例

「一人ひとりが主役」
~新入社員も育成担当も共に成長する人材育成~

株式会社公文教育研究会
目的・課題

新入社員の成長スピードを上げるため、一人ひとりに最適化された育成を実施する

SPI3の
活用方法

育成担当者と新人がSPI3 for Employeesを受検、共同ワークショップを実施することで相互理解を高めると同時に、新人も育成担当も一緒に成長する仕組みを作る

効果

全社員の行動指針である「一人ひとりが主役」を体現し、個々人で異なる成長のゴールを描き、みんなで成長していこうという雰囲気ができつつある

人材育成は企業理念・ビジョンを体現しているべき

KUMONは、多くの社員が教室発展をサポートする部門での業務を経験しています。私たちも年数に違いはありますが教室サポート業務を経てから人事に異動しています。もともと「人の成長に関わりたい」という想いが強い社員が多く、人材育成にも反映されています。

自社理念である「個々の人間に与えられている可能性を発見し、その能力を最大限に伸ばす」ということを、人材育成において特に大事にしています。「一人ひとりが主役」という想いは、全社員の行動指針としています。
理念を頂点に置き、全社で目指したい風土や社員像を設定し、等級ごとの成長要件に組み入れて展開しています。また、学び合いや研修・育成体系も、すべてこの理念をもとに、リーダー研修や育成担当研修を行っています。KUMONでは、新人育成制度として、ブラザーシスター制度というものを導入しており、その担当者を「BS(ビーエス)」と呼んでいます。理念と日常業務のつながりを重要視しているので、例えばBS制度を考える際は、「新人育成を通して、BSも成長する」と捉えています。

このような「人の成長によってビジョンを実現する」方針は、今後も貫いていきたい考え方です。

新入社員の成長スピードを速めるためのサポートが必要に

以前より、人事としては自社の未来を担う社員の「入り口」の支援に力を注ぎたいと考えていました。

新入社員の多くは、公文式教室サポート業務の地域拠点である事務局に配属され、コンサルティング業務を担当することになりますが、独り立ちまではBS(育成担当)がサポートについてOJTを行っています。

2017年入社の新入社員までは、1年間、自身で教室を運営する経験を経て、入社2年目後半にコンサルティング担当としてデビューしていました。入社後2年間は研修期間と位置づけ、時間をかけて育成していたのです。

しかし2018年からは、BSと共に実務を担当しながら学び、入社1年目の2月でデビュー(独り立ち)するスタイルに変更しました。それぞれの育成方法にメリット・デメリットの両方があるため、社内でもさまざまな議論はありましたが、若手社員の成長スピードを今まで以上に上げることを期待して変更を行いました。環境変化が激しい時代なので、時間をかけてじっくりと研修で育成するよりも、一定の研修を経た後は現場で実践を積みながら学んでいく方がより早く一人前になりますし、社員として提供できる価値も大きくなるのではないかという考えがありました。

その分、独り立ちまでの限られた時間の密度を上げるために、BSから新人への関わりを強化し、チーム全体で育成に関わる風土を形成したいと考えました。それでなくても新入社員は覚えることが多いので、BSやチーム全体でOJT的により密接に関わる必要があったのです。

また、BSも比較的キャリアの浅い社員が担うようになりましたが、OJTを行いつつ、丁寧にフォローしながら育成を行っています。「BSになりたい」「BSの経験を通じて自分自身も成長したい」と考える若手社員たちが増えてきたのは、みんなで育成に関わる風土による1つの成果だと考えています。

個性・違いの理解促進のため、SPI3 for Employeesを活用したワークショップを開催

独り立ちの早期化にともない、一律の成長は想定せず一人ひとりに合ったスタイルを身につけてほしいと考えていました。
半年後・1年後の到達イメージは設定しているものの、新入社員全員が同じスピードでそのレベルに達することを目標とするのは現実的ではありません。その事実から、自分なりのやり方を身につけることが大事と考えたのです。

そこで一人ひとりの個性に着目した際、採用で活用していたSPIに思い当たりました。「SPIの人物特性の情報が新入社員の育成にも使えるのでは?」と考えたのです。

これまでも、新入社員のSPIデータは配属のタイミングでBS(育成担当)と上長に共有していました。
しかし、採用の際アセスメント目的で見ていたSPIの人事用の報告書と、今回活用したSPI「育成支援報告書」はかなり観点が異なり、「個々人の理解」により特化しているので、新入社員の理解に役立ててほしいという狙いがありました。

<オプションサービス:上司/育成担当者向け「育成支援報告書」>

今年からはさらに新入社員理解を促す、新しい施策を展開しています。
まずBS自身にもSPI3 for Employeesを受けてもらいました。これには自分の結果を元に、新入社員の個性や自分の特徴との違いなどを理解してもらうという目的がありました。先ほど申し上げたように、BS社員も比較的キャリアの浅い社員が担当することが増え、身近で親しみやすい半面、人を深く理解し相手に合わせて関わっていくという観点では成長途中の側面もあります。それをサポートするためのツールとしてもSPI報告書は活用できるのでは、と考えました。

そして報告書を送付するだけでなく、人物の特徴をさらに深掘りするためのワークショップを開催しています。
ワークショップのセッションの場ではワークシートを活用して自分の特徴を記載して、BS同士でシェアして話し合うグループワークを実施しています。

このグループワークが大変盛り上がります。もともと「人を知る」ことが好きな社員ばかりなので、自己理解や他者理解が進むことにポジティブなのだと思います。

フラットに相手を知ることで、共に成長できる風土へ

4月・7月にBS(育成担当)向けのワークショップを実施しましたが、アンケートでも前向きなコメントが多く、良い機会になりました。新入社員が入社する4月には、BS自身の特徴を再度理解し、報告書を元に方針を立てるワークショップを行いました。そして、数カ月一緒に過ごした7月のタイミングでは、再度報告書とそれまでの行動を振り返り、新人の特徴や強みを生かすために今後どう接していくべきか整理するという一連の流れができたのが良かったと思っています。

BS自身もキャリアが浅い状況で、新入社員を育成するのは大変なことでしょう。
SPI3 for Employeesは、客観的に相手を知ることに役に立ったと思います。ついつい、自分の見方で相手を判断したり、自分の言い方で注意したりしてしまいがちですが、フラットに相手の立場に立って考える姿勢が浸透しつつあると思います。

「あの新入社員はSPIでいうと、このタイプに該当するから、特徴を踏まえて、こういう関わり方をすると良いのではないか?」などという会話をBS同士でも交わしている場面を目にすることがあります。積極的に新入社員のことを知ろうとして育成方針を話し合うことが増えています。そういう会話を繰り返すことで、BS自身の育成力も鍛えられ、成長することができます。一方的に新入社員を「育成」するのではなく育てる側も含め「一緒に成長する」風土に近づきつつある手応えは感じています。

新人の成長度合いがどう変化したかについても、今後検証を行い、施策のブラッシュアップにつなげていきたいと考えています。

自己開示ができる心理的安全性が高い風土へ

人の成長に関わるということは、相手が子どもであっても大人であっても同じだと思っています。
新入社員もBS(育成担当)も、もちろん教室に通う子どももみんなで成長していこうという雰囲気ができつつあるのは大きな成果だと思っています。

大事なことは個人ごとに異なる成長がある点でしょう。一人ひとりが主役になるべく、個々人で異なる進め方や成長のゴールを描くことにSPI3 for Employeesは役立ったと思います。

また、今後はSPI3 for Employeesが持つHRアナリティクスの側面も育成に活用したいと思っています。
例えばもともとどんな特徴を持った社員が、どういう課題を克服し、どのような成長の歩みをしていくのかなど、データがあることで振り返ることができます。この点は、新入社員以外の育成の企画にも展開していける可能性を感じています。

自社理念を体現した組織であり続けるために、社員育成の風土はどんどん進化しているという手ごたえがあります。
チーム内でお互いの違いについてやり取りする場面も増え、そのことでサポートし合えることが増えています。
今後もオープンに自己開示ができ、心理的安全性が担保されたなかで、成果と成長を最大化できる組織を目指していきたいと思います。

人事部採用育成チーム 澤﨑 久恵 様 人材成長推進チームリーダー 佐坂 一憲様 人事部部長 湊 泰成様

株式会社公文教育研究会

従業員数:
3,800名(グループ全体/2022年3月時点)
業種:
教育・人材 
課題:
  • マネジメント
  • 組織開発

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