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コラム-採用

2010年10月続・今あらためて考える「採用で本当に大切にしたいこと」
人材開発トレーナー 西垣 範隆

西垣 範隆プロフィールはこちら

先月のコラムでは、採用への私の思いをお伝えしました。連日の猛暑の中、思いのたけを少しお話ししすぎて、読者の皆さまは暑苦しくはなかったか・・・と心配な面もありますが、いかがでしたでしょうか。実際の採用は、当然、思いだけでは立ちゆきません。今月は、採用活動の実践場面で、どのように「思い」を体現していくかについて経験を交えてお話ししたいと思います。前回と同じく新卒採用をベースにお話ししますが、基本的なことは中途採用でも同じだと思っています。

採用のプロセスすべてに一貫したメッセージを

西垣 範隆

採用を始めた当初、一緒に担当する女性スタッフから「学生は小さなことにも敏感ですから、相当配慮して下さいね!」って言われたんです(笑)。私自身は、就職活動を一生懸命やったというタイプではないので、正直なところ、初めは「そんなに細かいことまで気を使うの!?」と思ってしまったのですが、でもやはり学生と接していると、そういう細部への気配りがいかに学生の心理に影響を与えるかがよく分かってきました。

例えば、面接者のちょっとした受け答えや、面接の受付の様子などからも、学生は実に色々なことを感じとっていて、採用広報や説明会とイメージが違うと小さな違和感を覚えたり、些細な引っかかりを残したりするんですね。そんな小さな点が原因で、最終的な入社につながらなかったりする。そういうリアルでシビアな学生の反応を知るうちに、「あぁ、プロセスすべてがコミュニケーションなんだ」と痛切に思うようになったのです。

よく「採用はマーケティングだ」と言われますよね。経営戦略に応じて採用したい人材像を定め、どんなターゲット層に、どんな自社の魅力を、いかに訴求していくかをプランニングし、実行する。大事なのは、それが採用広報や説明会だけの話ではないということですね。採用プロセスすべての場面でコミュニケーションが行われていて、そこで一貫したメッセージ(自社らしさ)を意識的に伝えられるか、これが大切です。辻褄の合わないことは簡単に学生に伝わり、悪印象になってしまいます。

具体的にはどうすることか。私の経験に沿ってお話しします。私たちが学生に届けたいと思っていたメッセージは「自然体」「リアル」「オープン」「相手の立場を考える」「約束を守る」などでした。自社の価値観でもあり、私自身が採用に重要なこととして学んだことでもあります。まず、説明会で登場する社員には、「素のままで」「等身大の話を自分の言葉で」語ってもらうようにしました。選考のステップはあらかじめ公開し、各段階で何を求めるかを説明。集団面接は避け、個人面接。学生への通知は、受け手の気持ちや事情を考えて何度も推敲。特に不合格者への連絡に配慮。面接の待ち時間は適切にコントロールし、スタッフがコミュニケーション。学生の活動しやすさを考えて選考結果は都度、合否いずれも必ず通知。連絡予定を明らかにして期限は必ず守る、などなど。

採用活動というのは、本当にわずかな期間、時間の中で、お互いの人生をかけた意思決定をするわけですから、そこにはできるだけ血の通った、豊かで効果的な「コミュニケーション」が欲しいな、と思うのです。企業・学生両者にとって幸せなマッチングなのか、お互い判断するためです。選考途中で、学生自らがセルフスクリーニングをかけたとしても、正しいメッセージや情報を伝えた上でそうなるなら、私は良いことだと思います。学生も企業を見極めているわけですから。私自身の経験から言えば、学生と丁寧にコミュニケーションを取ろうとしていくことが、結果的に採用における「自社らしさ」を作り、良い採用に結びついていったなという実感があります。

面接場面で「本当に大切にしたいこと」

さて、採用プロセスの中でも、とりわけ深く、長いパーソナルコミュニケーションを取れるのは面接です。企業は、エントリーシートや適性検査、グループディスカッションなどを初期段階で実施しても、最後の採否は必ず面接で判断しますよね。また、「この学生を欲しい!」と確信するのも、面接場面が多いと思います。一方で、学生への意識調査※1でも、「選考のどの過程で、最も志望度が高まりましたか?」という質問への回答のトップが、なんと「面接」なんです。約34%の学生が答えており、「社員との接触(約21%)」と合わせて5割強を占めるという結果です。

なぜ面接で一番志望度が高まるのか。つまり、入社に向けて動機づけられるのか。これは重要なポイントだと思います。面接をどう考えるか、どんな面接が良い面接かを判断するヒントもここにあると思います。

面接者が素晴らしかったからか。それもあるかも知れませんが、自らを振り返るとそうとは言い切れません(笑)。答えは学生の側にあります。面接は学生にとって、自分を知ってもらいアピールする最大かつ決定的な場面です。「自分のことを本当に分かってもらえた」「自分に関心をもってよく聞いてもらえた。理解しようとしてくれた」「思った以上に存分に話せた」・・・そんな気持ちになれれば学生の志望度はグンと上がります。そして、そういう会社から合格通知をもらえば、つまり「自分を深く理解してくれた会社」に、「君にぜひ入社してもらいたい、君の活躍の場がここにある」と言われれば、入社動機は強烈に高まるわけです。

このことは、「新入社員研修」を実施するときによく分かります。知名度がさほど高くなかったり、人気業種や職種でなくても、粒のそろった新人を、学生の専攻によらず幅広く集めている会社に出会うことがあります。そうした会社の新人に「なぜこの会社に決めたの?」と尋ねると、必ずといっていいほど「面接が良かった」「ここの面接は違った」「時間をかけて本当にじっくり自分のことを理解してくれた」という言葉が返ってくるのです。

つまり、良い面接とは「学生を深く理解する面接」ということです。学生に自分を十分に語らせ、多くを引き出し、採用判断の情報を得るとともに、学生に満足感を与える面接ということになります。学生を深く理解することは合否判断にとって重要ですが、それを学生の視点からも捉えられているかどうかが「入社に結びつく」面接、つまり、採用の最終目的にそった面接になるかどうかの分かれ目だと思います。

「深く理解する」のは「言うは易し、行なうは難し」です。学生も一生懸命準備し、応答訓練などしていますから。良い面接を実現するためには、学生の提供してくれる話題をもとに本人の本質を「掘り下げていく」質問のスキルや、短時間で「信頼関係」を築くスタンスなどを面接者全員が身につける必要があると思います。私どもの研修やスクールでは、この視点に立った面接者トレーニングを行っています。

面接者のマネジメント~一人ひとり、そして集団として~

ただ、面接の場をこうしたい、と採用担当者がいくら熱心に考えても、それを実行するのは、面接に出張っていく一人ひとりの面接者です。面接者一人ひとりの「面接の仕方」を、どのくらいマネジメントできるか。「面接者の鑑識眼にゆだねている」というケースや、企業によっては「面接者のジャッジには人事は何も言えない、聖域になっている」という話を伺うこともあります。

面接って、実は形だけなら誰にでも出来てしまうんですよね。
ましてや現場の方々は、「こんな学生が欲しい」「こういう人が活躍するんだ」という個人の経験からくる持論や暗黙の判断基準を持っています。そういう現場の肌感覚はもちろん大切ですが、同時に、採用の全体責任者である人事の意図が、実際の学生とのコミュニケーションの前線でしっかり行われるように気配りをすることは、採用マネジメントの一環として欠かせないと思います。
また、面接者個々人だけでなく面接者「集団」を形成し、「我々が次の世代を採っていくのだ」という当事者意識を高めてもらい、相互の自律的な協働を実現させることも同じく重要です。これらの徹底はとても難しいのですが、採用担当の存在価値を発揮する場面ではないでしょうか。

では、実際に面接マネジメントはどう行うのか。具体的な方法として、ここでは4つほどご紹介します。

まずは、面接者への採用ガイダンス(説明会)は、必須ですよね。その年の採用方針や人材要件、その背景などを、採用担当者・責任者、場合によってはトップから語っていく。特に、人材要件(求める人材像)については色々な意見、現場事情がありますから、策定段階から現場のキーマンを巻き込んでいくことが肝ですね。説明にあたっては、策定プロセスを明らかにしながら十分に理解・共有を図る。面接者がイメージでき、自分のものにしていただくことが大切だと思います。

また、面接に臨む基本的なスタンス・スキルを身につけていただくことも有効です。
前述した弊社の面接者トレーニングでは、冒頭にアイスブレークも兼ねて面接に関する○×ゲームを少しするのですが、「面接は企業が採用してあげる場だ」「エントリーシートなどの事前情報は読まずに面接する」など、「応募者の立場に立つ」「相手を理解する」というスタンスが薄い方々も意外と多いのです。また、頭で理解できていても、いざロールプレイングをすると威圧的だったり、通り一遍の質問で終わったり、質問することに汲々としてしまったりするものです。「こんな面接者だったら、俺は辞退するなあ」と受講者同士でフィードバックされることも少なくありません。
また、この場で面接者相互の交流が進んだり、人事との間で突っ込んだ意見交換などが起きることがあります。こんなコミュニケーションが生まれればしめたものです。こうした関わりを面接者集団作りの契機として、その後の面接マネジメントをスムーズに進めたという話を伺うこともあります。

3つ目として、過去の面接データをもとに面接者それぞれの判断基準を可視化して、すり合わせておく方法もあります。少し手間はかかりますが、誰がどんな人材を合格・不合格にしがちなのか、それはなぜか、今後どうしていくか・・・ということをしっかりと企業として再確認、再設定をしていくということですね。面接の実態をしっかり分析していくと、「この領域は初期段階のプロセスで確認して、面接ではこの領域の見極めをすることに時間を使ってはどうか」など、選考プロセス全体の見直しへもつながっていきます。

そして4つ目に、選考最中のマネジメントがあります。たとえば、誰が面接した学生がどこまで進んだか、といった進行状況を面接者全体で共有するしくみを持つことは経験上有効でした。面接者全体に一体感が生まれますし、それを見た面接者から重要な追加情報をもらえたりしました。また、面接後に、実際にやってみての意見を吸い上げ、対応方法の共有や追加指示などをタイムリーに行う、といったコミュニケーションも有効かつ重要だったと思います。

色々とお話ししてきましたが、結局は、コミュニケーションと信頼関係に尽きるんですよね。コミュニケーションの積み重ねから、信頼関係が少しずつ築かれていく。上司と部下との関係でも、はたまた恋愛なんかでも、どんなことでも人と人との間で起こっていることは、結局のところ、信頼関係に尽きるんじゃないかと思います。日本中の採用現場のあらゆる接点で豊かで効果的なコミュニケーションが起こり、「よい採用」が一つでも二つでも増えていくことを願っています。そして、そのためにできる支援があれば、私どもは最大限の努力をしますので、いつでもご用命いただければと思います。

※よろしければ、前回のトレーナーコラムも合わせてご覧下さい。

今あらためて考える「採用で本当に大切にしたいこと」

※1 出所:「2010年新卒採用 大学生の就職活動に関する調査」
リクルートマネジメントソリューションズ(現 株式会社リクルートキャリア インフローソリューションディビジョン)調べ

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