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コラム-採用

2010年09月今あらためて考える「採用で本当に大切にしたいこと」
人材開発トレーナー 西垣 範隆

西垣 範隆プロフィールはこちら

一昨年のリーマン・ショックの影響で、経済全体が沈み、先行きも不透明となる中で、多くの企業が採用の凍結や、採用費用の削減を余儀なくされました。採用担当者の中には、やるせない思いを味わった方も少なくないのではないでしょうか。

一方で、この状況下だからこそ逆に、自社にとっての採用の意味や、真に活躍する人材について、採用活動のあり方についてなどを、あらためて問い直す機会にされた企業も多いようです。採用再開の兆しが見え始める今、採用で本当に大事にすべきことは何なのか、採用に携わる者としての姿勢や役割はどうあるべきかを、あらためて考えてみたいと思います。

今月と来月の2回にわたって、リクルートおよび弊社で約12年間採用業務に携わり、現在は弊社トレーナーである西垣範隆がお話しします。

写真:西垣 範隆

私自身は、新卒でリクルートに入社してまず人事に配属されてからの数年間と、その後別の業務を経てリクルートマネジメントソリューションズ(※当時は前身であった人事測定研究所)に転籍してきてからの8年、計12年ほど採用業務に携わってきました。

入社当時のリクルートは、事業を大きく伸ばそうとすごく勢いがあった時期で 、採用にかける本気、情熱、そしてついでに言えば費用も、半端ではなかったですね。でも、採用とは、面接とは、なんて教わることは実はほとんどなく、見よう見まねから始まり、少しずつ手ごたえを感じながら、無我夢中でやる中で身につけてきたというのが実際のところです。また、「人」の可能性に対する期待感、採用への並々ならぬ熱意を、企業DNAに近いレベルで持つ経営者と社員のいる環境だったからこそ掴めた信念や、経験し得たこともあるのだろうと思っています。

ただ、数え切れないほどの学生との出会いと、採用責任者としての葛藤や努力、そして結果的に巡り合えた社員の成長・・・それらを今振り返ってみれば、やはり私自身が大事にしてきたことはありますので、まずはそれをお話ししたいと思います。

ガツンと心に響いた、学生の本音
~一人ひとりの「個」と向き合うコミュニケーション~

私自身の、採用に対する思いと信念を支えてくれている、ある忘れられない出来事があります。

10年ほど前ですが、弊社での採用に迷いを感じ、何かきっかけがほしいと採用活動終了後に母校を訪ねて、ゼミの学生たちと話す機会を持ったのです。ところが、驚いたことにかなりの学生が、終えたばかりの就職活動を「苦い、楽しくない」思い出として語っていたのです。「もう二度としたくない」という声や、内定を獲得していても「なぜ自分が採用されたのか実はよく分からないし、就職はそんなに楽しみなことでもない」という発言もありました。挫折感や夢を失った空虚な感じを漂わせている学生が多かったのです。

世の中にいざ出て行こうとする、一番入り口の所で、こんなことが起こっているなんておかしい。これは一体、何なんだ。・・・と、その時はもう、自身もその一部を担ってしまっているのではと反省もし、学生に非人間的な接し方をしている採用活動の話を聞いては、同情や憤りも感じました。本来は就職活動って、プロセスが大事でしょう。色々な出会いがあって、自分を発見したり、ここで頑張ってみようと腹を括ったり、仕事や自分の将来に期待を膨らませたり、そういう人間的なプロセスが、結局は、入社後に頑張る原動力になるんですから。

それですごく、一人ひとりの「個」としっかり向き合ってコミュニケーションを深めることを、それまで以上に大切に、明確に意識するようになりました。採用広報でも面接場面でも "「素」で来てほしい、こちらも「素」で話します。"と伝えていましたし、採用活動に携わる社員の姿勢や言動も、学生への大きなメッセージになりますからそれも相当に徹底していました。学生に届ける案内や問い合わせの文面にも細かく気を配り、一貫性を大切にしました。これらは一つの弊社らしさとして、学生には伝わっていたようです。

採用数の関係で、採用活動で出会う大半の学生は、実際には自社で採用してあげられないんですよね。だからこそ、わずか一瞬のようなコミュニケーションであっても彼らにとっては貴重な社会との接点なんだ、という責任感をもって、彼らの「個」を大切にして採用に当たるべきだと思うのです。こういう私の思いは、ゼミで会った彼らのおかげでよりはっきりと確立させてもらえたのだと思っています。

真摯さと誠実さをもって、採用に携わるものとしての責任を果たしていく

また当時は、インターネットの普及と共に学生の準備も作りこまれてきて、似たようなもっともらしいことを話す学生が増え、人事としても見極めの難しさを感じ始めていた時期でした。採用担当としていかに学生の「素」を引き出せるかにチャレンジしていた時期でしたので、彼らの本音は余計に、企業にとっての採用課題や育成課題に直結しているのだと、身に沁みましたね。

学生の就職に対する作りこみや構えといった問題は、根本的には今もまだ続いているのではと思います。むしろ、情報の流れがより速く、多く、手段も多様になったことで、学生一人ひとりの「個」の見極めはより難しくなっているかもしれません。

しかし、新卒採用では、入社後の伸びしろ(ポテンシャル)や、行動の再現性といった見えづらいものを捉えて、短期間で判断するのですから、できるだけ表面的な会話ではなく、その人の、その人らしい根っこの部分を理解できるようなコミュニケーションに時間を取りたいのです。採用担当は、そのための効果的なプロセスを、できるだけ丁寧に組み立てることに全力を尽くさなければならないと思います。

「人」というのは、モノやカネでは替えることのできない、貴重で無限の可能性を秘めた経営資源ですよね。採用は、その最初で最大の責任を負っている仕事です。プロセスを少しでも疎かにしたり、実態と違うメッセージを伝えてしまったりすれば、それが結局入社後の不適応や、本人・企業双方にとっての不幸につながる、ひいては、自社の将来的な事業成長を左右してしまう。ここに採用担当の責任があると思います。これを腹に据えて、学生と自社の経営に向き合っていく「真摯さと誠実さ」が、採用に携わるものには不可欠だと私は思っています。

採用担当者こそ、情熱と志を持って

結局、採用の一番大きな目的は、採用した人が自分の個性を活かして活躍し、世の中に自社の提供している価値をより多く届けていきたいっていうことなんですよね。リクルートなんかは、ここへの熱意と信念が、ものすごい。時に、ありすぎるほどあったくらいです(笑)。でも、この「採用が事業成長に直結している」という情熱をもって採用に当たれるかということが、本当に肝になるんだと、私自身は思っています。

最近では、「一度内定すれば5年間有効の入社パス」という仕組みを作って、欲しい人材をちゃんと獲得できるように工夫している企業もあって、本当に採用にかける情熱を感じますよね。これを発想して、本当にやってしまうのがすごい。今、そういった人に対する情熱を、学生や自社の社員に感じさせることのできている企業がどのくらいあるのか、と心配になることもあります。

本当の成果がすぐに見えにくいのは採用の宿命ですが、だからといって、短期的に設定した採用目標や当面のマンパワーを確保することだけがゴールになったりしたら、「採る」ことに追われて採用は絶対に面白くない。私もそう感じた時期がありました。

採用をはじめ人事の仕事は、ある意味、ここまでやれば終わりというきりがありませんが、事業を成長させるんだ、組織を活性化させるんだ、っていう情熱と志を持って、もうひと踏ん張り、ふた踏ん張りしていただけたらな・・・と期待したいです。

いかがでしたでしょうか?
来月は、引き続き西垣が、具体的なコミュニケーション場面、特に面接で大切にしたいことをお伝えします。

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